【朗読】山本周五郎「法師川八景」~オーディオブック~ 朗読:京谷由香里

【朗読】山本周五郎「法師川八景」~オーディオブック~ 朗読:京谷由香里



身ごもって三月になる相手が馬に蹴られて急死する。親にも告げていなかった関係から、父に短刀を突きつけられ「そんなみだらな者を生かしておけぬ、自害しろ」と詰め寄られる。娘は「自害はしません」と言葉を返すが、そのあと、どうするのか?作者が戦前に探訪した法師川流域を背景にし、また井伏鱒二氏の『川』という小説に触発されて書き上げたと言われる作品です。

初出:「オール読物」昭和三十二年三月号 
現在は新潮文庫『町奉行日記』などで読むことが出来ます。
青空文庫未収録。

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◎主な登場人物
 伊田つぢ 書院番の頭、伊田勘右衛門の娘。佐藤又兵衛の許婚者
 久野豊四郎 久野摂津の嫡男、親から放蕩者とみられている。
 伊田勘右衛門 つぢの父で、役目を誇りにし、失態がないようにと努める ほかには微塵も気持ちにゆとりがない
 佐藤又兵衛 つぢの幼馴染みで許婚者、御側小姓
 久野摂津 先代の掃部源之から永代御一門にあげられ、藩侯さえ一目置くと評されている
 久野きや女 豊四郎の母

◆註釈(文中の表記、意味などについて)
 断崖(きりぎし)きりたったがけ
 奇勝(きしょう)珍しい景色
 題詠(だいえい)前もって題を決め、それについて詩歌を作ること
 家塾(かじゅく)個人の経営する塾。 私塾
 門扉(もんぴ)門のとびら
 凶事(きょうじ)不吉な出来事
 南画(なんが)中国の南宗画に由来する 日本的解釈の江戸時代中期以降の画派、画様の用語
 山水(さんすい)山水画の略。山水の美を描いた東洋画
 泉池(せんち)庭園に設けられる池
 奇禍(きか)思いがけない災難
 諫死(かんし)死を覚悟して目上の者をいさめること。また、自ら死ぬことによって目上の者をいさめること
 癇癖(かんぺき)かんしゃく
 失態(しったい)面目を損なうようなしくじり
 仔細(しさい)物事のくわしい事情 
 相恩(そうおん)親子代々、恩義を受けていること
 濡縁(ぬれえん)外側に雨戸のない縁側
 座興(ざきょう)その場かぎりの冗談や戯れ
 幼名(ようめい、ようみょう)おさない時の名
 健啖(けんたん)食欲が旺盛なこと、またそのさま

 ♫ お好きな場面からお聴きいただけるように ♫
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 全国の皆様の元へ「ミニ朗読会」をお届けするために、リスナーの皆様にSuper Thanksからのご支援をお願いしています。生で聴く朗読にはYouTubeで聴くのとはひと味違った面白さがあります。そしてYouTubeでは聴けない作品を朗読しています。第一回は2023年11月27日に東京で開催し、ご来場の皆さんにたいへんお楽しみ頂きました。2024年にも既に東京での開催を予定しています。(朗読会開催の希望がありましたら、コメント欄にてご記入下さい。詳細をご相談させて頂きます)

気に入った朗読がございましたら、その朗読1本1本に対して支援をすることが出来ます。金額は200円からで、いつでも可能です。
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◆動画制作に当たって、以下のサイト様の素材をお借りしました。
ありがとうございます。

Sound:DOVA-SYNDROME  KK様
    
Photo、イラスト:フリー素材サイト様から
 作品中に使用している写真等は挿絵のようなイメージ画像ですので、ご承知おき下さいませ。
  

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[音楽] 山本修郎 作宝川 [音楽] 八家宝子教は城下の北2里32丁に ある辻は豊の顔を見ていたくの郎の顔には 決意と戸枠の色とが交互に現れたり消え たりしたよし腹を決めようという表情と 困ったことになったどうしようという戸枠 の色とがこもれびの反転が明滅するように 不安定に現れたり消えたりし た辻は落ち着いた静かな目でそれを見守り ながら待ってい た打ち明けるまでの不安や恐れはもう なかったし豊郎がどう答えるかもほとんど 分かってい た城下の北口から五良境の地蔵岳に向かっ て伸びるのみが追川村を左折するとまも なく勾配のゆい坂に かかるやがて豊郎が言ったそれに間違い ないことなんだ ね辻は頷い た思い違いではなくはっきりしてるんだね ええはっきりしており ますそれならもう問題はないと豊郎は微笑 し た心祝に酒をもらってもいいだろう ね辻はどうぞと答え た豊郎の美称は人を引きつける綺麗な住ん だ目に温かさが称えられ目尻が少し 下がるそして不思議なほど純血な感じの する赤くて薄い唇を引き締めて上へ 持ち上げるのだがその目と唇の表す魅力は 際立ってい た辻はどうぞと答えながらその目に 微笑み返し たすると彼は衝動的に伸び上がり筋の肩へ 腕を回して引き寄せ荒々しく唇を吸っ た非常に素早い動作だったしその腕には力 がこもっていたので辻は避けることができ なかっ たあの時もこうだっ たいつもこうなの だそう思いながら辻は目をつっ たしかし彼が次の動作に移ろうとすると 激しくかぶりを振って行けませんと拒み 両手で彼を押しのけた豊郎は恨めしそうに 辻を見 たどうしてどうしていけないん だ辻は手を鳴らしながら言ったお酒の支度 をさせます わどうしていけないん だお分かりになるはずですと辻が た豊郎はしょんぼりと座り辻は立っていっ て少女を開け

たその座敷は谷に面していて狭い庭の 向こうに宝子川の対岸の切岸が間近に迫っ て 見える深い谷間には渓流の音が溢れて いる切岸のところまだに生えている小松や 神木の茂みがまるでその水音に煽られるか のようにさわさわと絶え間なしに揺れてい た坂道にかかって15丁あまり登ると王子 の滝があり道はそこから二上がりにして 宝川に沿った切岸の上に 出る後ろで豊郎が女中に思考の支度を命じ てい た筋は向こうの切岸の中腹にある小松の 茂みに目を 止め去年のあの時はそこに桜の若があって まに白い花を咲かせていたことを思い出し た谷の風が洗いためだろうその若は上へ 伸びることができず横へ枝を広げており その枝にパラパラと数えるほどわずかな花 をつけていた 初めて豊郎とそうなった後のこと だこの座敷には平部が回してあり彼はその 病夫の中で眠ってい た辻はそこを抜け出してきて生子をそっと 開け汗まんだ熱い肌に風を入れながら ぼんやりと対岸を 眺めそうしてその小松の茂みの中に若のの 咲いているのを見つけたのであっ た何を見て いる後ろから豊郎が辻を抱い た両手で辻の肩を抱きほりをし た辻はほりに答えながら向こうを指さし たあの切岸の大きく避けているところに 小物がひかもりしげっていますわね 豊郎はどこにと言いながら片手を辻の胸へ 滑らせ た辻はその手を避けようとしたが豊郎は 左手でそれをきつく押え右手で胸の膨らみ を包ん だあの小松がどうかしたの か去年あの小松の中に桜が咲いていたん です のほんのわかぎで鼻もまにしかついてい ませんでした けれど辻は身をもがいた行けません わではその桜は初々だったんだ などうぞおやめになっ てその桜が今はないというの か彼は強くほりをし指を細かく動かし た去年初めて咲いて今年はもう枯れたか人 に抜かれたかしたんだ なあんな切岸にあるのを抜きに降りるもの があるでしょう か辻は自分の胸にある彼の手を押え たそんな風になすってはいや伊ございます

からやめになっ てどうして痛いはずはないじゃないか 体のせいでしょうか痛いんですのよ ああそうかと彼は手を平らにしたそれは気 がつかなかったごめんよでもこうしている だけならいい だろうもう座りましょう女中が参ります わまだ大丈夫 だ彼は辻の体を柔らかく左右ににゆすっ たその時辻は1人でその桜を眺めていたの かあなたは眠っていらっしゃいました わ豊郎は筋を優しく抱きしめその時のこと を改装するようにややしばらく黙ってい た道が切岸へ出たところから奥の地蔵堂 までの愛 25兆を方子教といい五良内随一の気象で ある両眼を愛せしてそり立ち低いところで 7尺に余り高家は尺を 超える豊郎がため息をついていっ たここへ来たのはこれで5度目だ ね辻はゆっくりと頷いた 初めて来たのが3月次が6 月5月でございました わその次が10月10月からしばらく折り がなくて今年の正月そして今度だ辻はよく 私の頼みを聞いてくれた ねでももうそれも終わりですわ ねうん終わりだと彼は言っ た人目をしんで会うのも楽しかったが今日 でそれもおしまいに しよう私は母にそう言う よ辻は黙って頷い た母はうう感づいてるらしい父だって 難しいことは言わないと思うだが辻の方は いいのか佐藤のことで面倒が起こるんじゃ ないのか それは1年前に申し上げました わしかしまだ断ってはいないん だろう私のことは私がいしますと言って筋 は声を潜め た女中が来たようです わ豊は辻から離れ た思考を運んできた女中たちは2人の前に 前を直すと茶道具を片付けて去っ た前の上のものは鳥の入りにと小の煮浸し を除いて皿も蜂も昆布若め山吹目自念じ キノコ豆腐湯ごぼうなどを蒸したりごまで 会えたり焼いたり似たりしたものでワも1 つが白豆腐2つが梅干にきのめという具合 だっ た右眼は険しい山続きで道もないが左眼に は鬼のき七曲がり猿渡身がふなどの証券が あり自蔵の湯には両手を兼ねた当時宿が5 件 ある環境郎はその1つで皇員様美より

しばしば反抗のお当たりがあり商人料理を 自慢にして いる豊は辻より酒が弱く立ちまち寄って しまいするといつもの癖で甘え出し たちょっと向こうへ行こうちょっと だ辻はかぶりを振っ た頼むよと彼は締めっぽい声で言っ たここで会うのはこっきりだからね話が 決まれば2人は監視されるし式をあげる までは会えなくなる よ辻はまた静かに首を振っ た会えなくなっても辻は平気なの かほんのしばらくの辛抱です わ私はだめだ私は寂しくって我慢できそう もない よ10月の後は60日も間がございました わ それとこれとは違うよ今はこうして会っ てるんじゃないかこうして辻を見ていて これから会えなくなるというのにこのまま で別れるなんてひどいよ ねえと彼はすり寄って辻の手をつかん だ長くとは言わないほんのちょっとでいい から向こうへ 行こうちょっとででいいんだ頼む よ辻は体が萎えるように感じ た掴まれた手からしびれるような感覚が 伝わっていきそれが体全体に広がった上真 のところで熱く凝固するように思え た父は目をつり豊郎は素早く立って彼女を 抱え起こし た この家は名物は初日閉じ手作りの白豆腐湯 目若あゆの煮びたしなどであるが松のから の眺めはこれらの珍味にも増して絶景と いうに ふさわしい谷から湧き上がってくる渓流の 音が辻の耳には雨でも降っているかのよう に聞こえ たどうしたんだと彼がささいたねえなんで もないの か辻は答えなかっ たまるで冴えているようじゃないか 辻こっちまで冴えてしまうよ平気なの か水の音が雨のように聞こえます わああのことを気にしてるんだなそれで いけないんだ忘れてしまわなくちゃだめだ よこれがこうして会う最後じゃない か さあ井田カエ門は所員版の頭軽870国急 人ぶ75国妻千代の他長男郎その姉辻の西 あり屋敷はカラス5問外の辻の西側に ある環境郎で豊郎と別れた辻は一度追川村 の万兵の家へよりそれから城下の屋敷へ 帰っ

たそうして中2日おいてくの豊郎の休止し たことを知っ た明日は他関西のの稽古日で大A5種の 宿題があった関西は反の和がの市販であり 西端町に家畜を開いていた筋は門中でも 成績が良く初球のものには大稽古する くらいであるが歌を読むことは増えてで その時も宿題のご種に手を焼いていたする と午後の3時頃馬屋の方で馬を入れる物音 がし弟の一郎の声が聞こえ た彼は15歳になるが去年の春から馬術の 稽古を始めようやく面白くなったのだろう 今年になってからは稽古の後でもひどく ふりさしなければ毎日桜のババへ出かけて 飽きずに馬を乗り回すのであっ た両一郎は話しながらこっちへ来た相手は の国大桜らし両一郎の声はセカセカして 高く言葉つきも興奮していっ た早書きをしていたんだいっぱいに早書き をしていて急にたを絞ったんだどうして あんなことをしたかわからない私はこっち から見ていたんだけれどまるで何か目の前 へ飛び出したようにいきなりぐっと後ろへ 反り返りながらタを絞ったこんな風に だ彼はりをした らしいはみが下を断ち切ったかと思う くらいだったそれで馬はお棒立ちに3度 跳ね3度目にくさんは放り出されたそこへ 岡野さんの馬がつっかけたんだ よ馬は決して人を踏まないはずですが ね前足と後ろ足で2度踏みつけたんだ私は 見ていたんだ頭と胸をね野さんはを絞った けれど近すぎどうにもならなかったらしい 頭もひどくやられたし胸は肋骨を2本踏み かかれたそうだ よ辻は筆を置いて立ち窓の生子を開けた そこは裏庭ですぐ向こうに竹藪がありまだ 基でいる竹藪の中に先のったやつの花が 点々と赤く見え た生を開けた時筋の目にたのはそのつきの 花でああまだ花が残っているのだなと辻は 思っ た馬屋は竹藪の後ろにあるが両一郎と小 大作は藪の脇の井戸端で話してい た窓が開いたのに気づいて両一郎が 振り返り姉の顔を見るとすぐに鞭を持った まま走ってき たお姉様ババで大変なことがあったんです よと彼はまだ荒い息をしながら言ったくの さんがたさきを謝って落馬して辻は静かに さえぎったもう少しゆっくりおっしゃいな くのさんとはどのくのさんです かご一問のくのさんですこの豊さんです よ辻の胸にゆっ拳ほどの塊りができそれが 喉へ突き上げてきて呼吸が止まるように

感じられ たお怪我はと辻はどったひどいお怪我を なすったんです かひどいどころですか落馬したところ後 から来た馬に踏まれたんです頭と胸とすぐ に医者を呼んだんですけれど医者にも手が つけられなかったそうです よ あなたそばで見ていらした の医者が来てからのことは人に聞いたん です戸板で家へ運んで行きました よ辻は少女を閉め た生子を閉めると机の前へ戻る力もない ようにそのまま窓際に座っ た井の庭には古い勾配が2あるのほりに ある方が親で樹霊300年と言われカエ門 の今の外にある方はその子だと伝えられる がこれも樹霊は200年余りと言わ れる辻はこみ上げてくる吐き気を抑える ために片手を畳みについて前かになっ た呼吸は浅く早く途切れがちになり全身が フルフルと震えた 春の午後の日光が斜めに刺すので窓の生じ がまいほど 明るくういた辻の血の気を失った横顔が 青白く早気だって見え ただが心を決めるまでにさして時はかから なかっ たほどなく辻は立ち上がり足音をしばせて 中廊下を難度へ入るとしっかりしたで 着替えをし た今へ戻って神へ手をやりそれから弟の 部屋を抜けて裏庭へ出 た辻の裏道をカラスご問とは反対の方へ 行きクラウド町から大手筋へ出てまたその 裏道をお城の方へ急い だ宮町馬場外そこを右をれると手2番長で くのの屋敷はその角地を閉めており表もは 閉まってい たまだそんな時刻ではないのでぴったりと 閉めてあるモンピはそのまま教授のあった ことを示しているように思え た辻は門の万子に名を告げくぐり門を通っ て内玄関へ行っ たすぐ脇の友にの友と見えるものが56人 おり辻が1人で来たのをいかるように見た 辻は案内を来い夫人に会いたいと言って 自分の名を告げ たすると若い歌に変わって老女が出てき 丁寧ではあるが冷やかな態度でどういうよ であろうかと聞い たお目にかからなければ申し上げられませ ん と辻は答えたまた是非とおにかからなけれ ばならないの

です老女は下がって行き戻ってくると どうぞと言っ た通された客間は夫人専用であろう襖の 模様も華やかな色の千草で床の間には南画 風の山水をかけ水に待つと山桜が生けて あっ た縁側の方は生子が開けてあり戦地を囲ん で小の多い庭の一部が傾いた日を浴びて 明るく見えてい たく夫人が入ってきた時辻は床の間を 見守ってい た水盤に生けてある松と山桜とが3日前の ことを思い出させたので あるの夫人がそこへ座るまで疲れたような 目で常のを見つめていた辻は夫人の座る 気配で気がつき赤くなりながら座を滑っ たくのキアジは次女に茶を持たせてき次女 はすぐに去らせて自分で辻に茶を進め た辻は茶には手を出さず夫人の目を見つめ ながら郎の下に見舞いを述べ容態を聞い た夫人 は死にまし たと答え た辻はしっかりしてい たこって白く子を吹いたように早気だった 顔はほとんど生きている人間のようには 見えなかったし大きく見開かれた目は まるで2つの暗い空のようであったがそれ でも彼女はしっかりしてい た辻は静かに言っ たこを上げさせていただけますでしょう かまだその支度がしてありません からと言って夫人は不審そうに聞い た失礼ですが豊郎と何かご縁があるのです か 辻の目に取りすがるような色が現れ たあの方からお聞きになりませんでした でしょう か夫人は黙ってゆっくりとかぶりを振っ たつい3日前と辻は言ったあの方はお母様 に話すとおっしゃっていまし た夫人は黙って辻を見てい たするようにではなく珍しいものでも見る ような目つきであっ たあの方は豊郎様は申し上げたはず です辻は懸命な口ぶりで言っ た前からお母様に話すとおっしゃってい ましたし今度はお話もさなければならない わけがあったのです から私は何も聞いていませんけどけれど その訳というのはどういうことでしょう か辻は口びをふわせた下が釣るようですぐ には言葉が出なかっ たしかし筋は勇気を古い起こした自分の 一生が左右される瞬間だと思い少しもはる

必要はないと信じていた からさすがに顔はあげられなかったし声も 高くはなかったが辻は紛れのない調子で 自分が豊郎の子を見守って今みつになると 言っ た夫人はかなり長いこと黙っていてそれ から念を押すように聞き返し たそれは本当のことです か辻ははいと頷い た私にはとても本当だとは思えませんねと 夫人が言っ たあなたがお1人ここへ見えご自分の口 からそうおっしゃる勇気には関心いたし ます けれど私には到底本当だとは信じられませ ん ええ郎様から聞いていらっしゃらないと すればお信じになれないのが通りかもしれ ませんでも本当なのですから信じて いただかなければなりません わただ信じろと言われても困り ます何か証拠になるようなものでもお持ち です かあの方に愛していただいたということの 他には何もございませ んそれではただあなたのお言葉だけでその 子が豊郎の種だと信じなければならないの です ね辻ははいと頷い たあなたのご両親は知っておいでです か いいえ では他に誰か豊とあなたのことを知って いる方がいます か辻はいえとかぶりを振っ た夫人は辻を見守っていたがやがてどこで どうして豊郎と知り合ったのかと聞い たおば障の佐藤まというものをご存知 でしょうか筋が反問し た外3番長の佐藤殿なら豊郎のお友達だ そうで両三度ここへも見えたはず です私の母の身寄りに当たりますので 小さい時から雪気をしておりましたがあの 方とも佐藤でお目にかかったのが初めてで ござい ますそれ でその佐藤殿でもあなた方のことを知ら ないのです か辻ははいと言っ たおかしございますね郎とは友達あなたと はご親戚に当たるというのにそれほど深く なっている仲を知らせないと は何かわけでもあるのです か辻はは目を伏せてはいと低く頷い た聞かせてくださいます

か辻は少し考えていて言っ たいいえそれは申し上げられませ ん夫人はため息をつい た無理です ねいかにも無理ですと夫人は首を振り ながら言っ た私はあなたを存じ上げないし死んで しまった豊郎に実費をたすこともできず 証人も証拠になるものもなしではどう しようもないと思い ます辻は目を伏せたままで顔をまっすぐに あげ た目は伏せているがその顔には恥じている 様子もなくもちろん美した色も見えなかっ た無駄でしょうけれど一応主人に話してみ ます からちょっとお待ちになっていて くださいそう言ってく夫人は立ち上がっ たくは仙台の家門元之から体ご一文にあげ られて いる火力は1200国家臣から一文にあげ られたのはくだけでそれは家門の父の 守之助が先代の主君身の上の発のため28 歳で監視したこによるもので ある一問に列したから塩の席にはつけない が東台の設もつは睨みの聞く人物で反抗 さえ一目置くと表されている 妻キアとの間に豊秀野城の西があり秀野城 は19歳になって いる辻はしっかりと自分を支えていた正座 した肩も胸も張っており青白くこった顔に は何かに挑みかかるような色が現れてい た膝の上に重ねてある手は絶えず襲って くる震えを抑えるために力を込めているの で指のつま先が白くなってい たくのせが妻と一緒に入ってき上座へ座っ て辻を見 た彼は53歳であるが髪も眉もつやつやと 濃く超えた重々しい体に結晶のいい肌をし てい たいやなのるにには及ば ない筋が挨拶しようとするとせは首を振っ てそう言っ た話は妻から聞いた豊郎はしまりのない 若者でこれまでにも行く度か不始末があっ たしたがってそなたの言うことは事実かも しれぬ例えば事実だとしてそなたはどう せよというのか 辻は答えに困ったどうしてもらおうという 気持ちがあってきたのではないそんなこと は考えてもいなかったのでちょっと言葉に 詰まったがセツが何が望みだと畳みかける としっかりした声で言っ たお腹の子が無事に生まれましたらと郎様 のおとして引き取っていただきたいと存じ

ます バカな こととせが言っ たたえそれが事実だったにせよ親に隠れて 密通するようなものの子を孫だなどと 認めることができる かそんなバカなことは考えるだけ無駄だ他 のことで望みがあったら 聞こう筋は頭を垂れた 金がいりよであろう金はいりよなだけ申す が いい辻は黙っていてやがて顔をあげセツの 目を見つめながら言っ た いいえその他にお頼み申すことはござい ませ ん意地を張ると後悔する ぞ他に望みはございませ ん辻は言っ たただ一言申し上げたいことがござい ます今豊郎様のことをしまりのない若者と おっしゃいまし たその上に臆病も だあの方はしりのない若者でもなし臆病者 でもございません そう見えたとすればあの方のご証文をよく 理解していらっしゃらなかっただけ です彼の証文がどうだというの だ またと辻は構わずに続け た密通という言葉をお使いになりましたが これもお返し申し ます言葉ぐらいと大世かもしれませんが 使い用によっては言葉だけで人を殺す場合 もござい ます辻の声は震え た豊郎様と私は密通などはいたしませ ん決して密通などというものではござい ませんでしたこれだけははっきり申し上げ ておき ますそこで辻は口をみ静かに儀をし てこれで失礼いたしますと言っ たセツは黙って座っていいくの夫人が内 玄関まで送ってきた夫人は低い声で何か 自分にしてあげられることはないかと聞い た筋は声が出なかったのでそっとかぶりを 振っ た夫人は傷かわしそうな目で見つめながら これからどうするつもりかと言っ たわかりませんと辻が答え たでもまさか無分別なことをなさりはし ないでしょう ね今分かることはと辻が言っ たこの子を無事に生み丈夫ないい横に 育てるということだけです

そして釈をして外へ出ていっ た辻はまだしっかりしていた体はぐんまと 力が抜けるように感じたが気持ちはこれ までにないほどしっかりと充実し緊張して い た日はもう沈んだが空には残照で明るい雲 がありそれが辻の緊張した顔えまるで正規 を取り戻しでもしたような赤い繁栄を 投げかけ た家では辻を探していたようですぐに母に 呼ばれどこへ行っていたのかと聞かれ た辻は無断で外出したことを謝ったがどこ へ行ったかは答えなかっ たそうして湯気が住み父や弟が寝前へ去っ てから母に向かって自分が身を思っている ということを打ち明け た母親の知恵は聞き返し笑い出しそうな目 で娘の顔を見つめた が娘が冗談を言っているのではないと 気づくなり ああと口を開けその口を手で押さえながら 立ち上がるとうたえた様子でその部屋から 出ていっ た父の寝前へ行くのであろう辻は呼び止め ようとした父に話す前に母と相談したかっ たのであるが夫の完璧を極端に恐れている 知恵は娘の相談に乗るよりまず夫の怒りを 想像しのせ上がってしまったので ある今に始まったことではないと辻は目を つってつぶやい たお母様はいつもこうなのだお父様の機嫌 に触らないように怒らせないようにと絶え ずハラハラして いる昼も夜もお父様を怒らせまいとする だけで精一杯なの だ辻さん大丈夫 とをつったまま辻は自分に問い自分に答え ただ大丈夫よ私母になるんです もの母が戻ってきて恐怖に襲われたような 表情でお父様がお呼びですと言っ た起きて今にいるというので辻は 立ち上がって廊下へ出たが母はついて 来ようとはしなかっ たカエ門は火のない手ありを脇に 白けた顔で座ってい た彼は43歳になる所員番頭という役を 誇りにし役目に失態がないようにと務める 他には美人も気持ちにゆりのない人であっ た主材を聞こうと彼は静かに言った 落ち着いてよくわかるように 話せいきなりわき出すと思ったので辻は ちょっと戸惑いをし たカエ門はやはり静かに聞い た身ごもったことは分かった相手は誰 だ辻は答えなかっ

た相手の名を聞こ誰 だ申せませんと辻が言っ たなぜ言えないも言えないな男 かその方が亡くなったから ですカンエモの手が膝の上で震え た嘘ではないだろう な辻ははいと頷い たカエモはご拍子ほど黙っていてやがて また聞い たお前には佐まという言付けがある佐藤の 方はどうするの だ辻は俯いてもしよければ自分から謝ると 答え た親はないも同然だなと彼は言った親に 隠れて男を作り言付けへの詫びも自分で するお前には親などあってなきも同然 らしいそれもよかろだが自分をどうする 自分の始末をどうするつもり だ辻は答えなかったそこで初めてカエモン が怒鳴り出し た伊の親子勾配には毎年どこよりも早く ウグイスが来ると言われその季節には完売 を兼ねてウグイスを聞きに来る客が 多い春の半ばになるとウグイスは裏の竹に 移りそこに素でもかけるのか初夏の頃まで 泣いているのであっ たカエ門は娘に担当を突きつけて自害しろ とめえ た世間にもご先祖にも申し訳が立たぬ俺は お役をじして頭を丸めるお前も武士の娘 なら生きてはいられまいと彼は震えながら 叫ん だこれで自害しろ俺が見届けてやるから ここで自害 しろカエモンは自分の膝を打っ たそんなみだなものを生かしては受けぬ 自害しなければ俺が手にかける ぞ自害はいたしませんと辻が言っ た私はみだらなことをしたのではありませ んその方との中は真実だったの ですその方が亡くなりさえしなければ真実 だということが分かっていただけたの です黙れそんなことは申し訳にならぬ自害 するか俺が手にかけるか道は2つだ俺が手 にかけよう かそこへ母が来た襖の向こうで聞いていた のだろう泣きながら入ってきておろおろと 2人の間に座っ た 辻は追川村の万兵の家に預けられたそこは カエ門の宇の里で宇のお立つはもう なくなっていたがその孫にあたる助けが いだけで下男をしており律儀な党首の万兵 は伊家の2代騒音の主人と思っているよう であっ

た辻も弟の両一郎も幼い頃からよく訪ねて 行山狩つみ草水よぎなどをして遊んだもの だ万兵はもう45歳になり妻のおは1つ 年上で助け上吉みと3人の子がある21に なる助けは伊に方向してい19になる上吉 地と17歳の君が親たちと共に一丁部あり の田畑を耕していた 辻は亡くなったウバの隠居所へ入ったそれ は別棟になった6畳と2畳の建物で少し 高くなっている敷地の端の方にあり田んぼ や雑木林の向こうに方子橋へ行く道と宝子 川の流れが見え た川は少し上のところで東から流れてくる 枝川と合流しており宝子川は北へ伸びて 地蔵だけの谷前と消えて いるこれらの景色は隠居所の6畳に座って いて眺めることができ た家族の人たちは辻に霊たであったカエ門 からも構うなと厳しく言われたようだが親 の許さないものの子を見守っているという ことで律儀な万兵はすっかり腹を立て辻の ために自分でい た3度の食事と風呂の時以外は誰も隠居所 へ近うとしないし特に上吉と味とは口も 聞かなかっ た食事や風呂の世話はお言してくれるのだ がこれも万兵に言含められたと見えて必要 なことだけするとすぐに去りこちらから 話しかける隙も与えなかっ た辻にはその方がかった生じ同情されたり どくわを聞かれたりするよりも1人で そっとして置かれる方が落ち着くし気持ち も乱されずに住むからで ある追川村へ移って半月ほど経った時辻は 小福寺まで行ってきたいと万兵に告げ た万兵はいい顔をしなかったがおばあ様の 皆をもらってくるのだというとしぶしぶ 承知をしおことを共につけてくれ た小福寺は浪江村にある母子で辻は住職に 会い祖母の牌を作ってもらったそして帰っ てくると阪神に豊郎の俗名と年をかきその 牌の裏に張り付け た3弱の開きを片付けおことの持ってきて くれた古い物をを並べて牌をアチすると どうやら仏壇らしくなっ た筋はそれから朝と夕方には欠かさず透明 と先行をあげ市販時ほど今を読むのを日課 にし た人に聞かれると嘘は言えませんから あまり外へ出ないようにして ください万兵にそう言われたがお腹の子の ためにも動かずにいては悪いと思う 辻自身は少しもはじる気持ちがないので日 に1度は歩きに出かけ たはじる気持ちはなかった辻はいつも額を

上げていたしはっきりと物を行っ たそれで万兵はますます腹を立てるよう だったが辻は少しもめげなかっ た7月になったある日辻が縫い物をして いると縁先に静かに近寄ってくるものがが あった見るとそれは佐藤まであっ た10日ほど前に江戸から帰りましたとま が言った具合はどう です辻はしっかりと彼を見上げ た失礼ですけれど上がっていただくわけに はまいりませんの よ何ここで十分ですま は濡れに腰をかけ た傘を脇に置き手ぬいを出して汗を吹き そうして向こうの景色を眺め ながらこれはいいところだと呟い た彼の役はそば故障で一昨年の夏阪の友を して江戸へ行っ たそれから丸2年経っているがまるで昨日 別れた人のように姿にも態度にも変わった ところは見えなかっ たここなら女化にいるよりずっとマだ体の ためにもいいでしょうと彼は向こうを見た ままで言っ たずっと順調です かどうぞその話はなさらないで くださいその話をしに来たんですよと彼は 穏やかに言っ た5年前から言付けだったことは別として 幼馴染みというだけでもいいおつさんは前 には私のことをこんな時の相談相手と思っ ていたのではなかったか な辻は縫い物を置いてうれ た実を言うと今度のことについては私も 責任を感じているん ですあなたがと辻は目を上げ たまたが言っ た相手はこの豊そう でしょうお名前は申せませ んそう言い通したそうですねお父上には 理解できなかったようだし誰にもできる ことではないだろうが私はいかにもお通 らしいと思っ た しかしと彼は静かに振り返っ たあんなだらしのないあたれはどうして おつさんが好きになった かそれが私には分からない一体どうしたん ですどんなきっかけでそんなことになった んです か筋はまたうれてその前に聞くがあなたは どうしてあの方だと分かったのかと反問し たまは片手を上げてその手をまた膝へ 下ろし ながら責任を感じるというのはそこなの

だと言っ たうちでおつさんと会うたびに彼の態度や 言葉つきが違ってくるおつさんのことを私 に話す口ぶりまで我慢のならぬほど 甘ったるくなりそれを隠そうという神経さ えなくなってきた私はよほど出入りを 断ろうと思ったのだがおつさんの気象を 知っていたからそんな必要もあるまいと 放っておいたの です辻はうれていた顔をあげ向こうの宝川 の方へ目をやり ながらあの方はかわいそうな方でしたと つぶやくように あなたは黙って座っていらっしゃるだけで みんなに注目されみんなを引きつける力を 持って いらっしゃるけれどもあの方は違います 一生懸命に座を務めたり機嫌を取ったりし なければ誰にも認めてもらえませんし認め てもらってもすぐに忘れられてしまい ます私は外3番長のお家でそれを随分度々 見ておりまし たあの方が人の注意を集めるために汗を かいて座標を勤める姿もせっかく注意を 集めたのにすぐ忘れられてしょんぼりと 座っている姿も気の毒でかわいそうで だんだんとそのままに見過ごすことができ なくなったの です まは辻の顔を見たが何も言わず辻は名を 続け たあなたがずっと友達付けをなっていたの もおそらく私と同じ気持ちだった でしょう友達付けをなすっているあなたも だらしのない甘ったれなどとおっしゃるし あの方のお父様でさえしりのない馬鹿者だ とおっしゃいまし たあの親はこの細分を知っていました よ私はかわいそうで見ていられなくなり まし た彼はそこへつけ込んだんだとまが言った いいえ違います私の方であの方のお力に なってあげたかったのですと辻は言い返し た 私がそばにいればあの方に自信を持たせて あげ力もつけてあげられると思ったの ですそれ でまは手を上げ たわかりましたもう結構 です謝ったとすれば私自身であの方には何 の責任もございませ んこれだけは申し上げおき ます生意気なことを言いますねとまが言っ たしかしまあいいその話はもう十分 ですそして彼は立ち上がり裏の方へ去って

いっ た裏の書に泉があるそこで顔を洗ったの だろうほどなく濡れてぬいで襟を吹き ながら戻ってきた さてそこでと彼はまた濡れに腰をかけて いっ たこれからの問題だがこの先一体どうする つもり ですはっきり申し上げることはできません けれどおさんが住みましたらここで寺小屋 のようなことでもして子供を育てて行き たいと思います また兵は頷い たそれからふと辻の顔を見つめ ながら当ててみようかなと言っ たおつさんの気持ちの中にはもう彼の姿 など残ってはいない でしょう辻はあけに取られたような目でま を見上げたまは唇に微傷を浮かべ傘を取っ て立ち上がっ たその返事は聞くには及びませんと彼は 言った今日はこれで帰り ます辻は慌てたように言ったどうぞお願い ですからもうここへはおいでにならないで ください ましいや時々来ます よそう言ってまた兵は釈をしもう一度景色 を褒めてから 静かに去っていっ たこの土地は冬が 早く10月に入ると山に雪が 積もりそれが1日ごとに里の方へ伸びてき て11月には見る限り白一食に覆われて しまうそうして宝子川の流れだけがある時 は根性にある時は黒く また鋼いにきらめきながら決して凍ること なくせせらぎの音を響かせるのであっ た辻は11月の初めに男の子を産ん だ予定より10日ほど遅れたがウザにして は軽かったし子供もよく越えていて大きく 目方の重いのにサバを驚かせ たおそらくまの行為であろう七夜には見事 な鯛と酒が届いたので子供の枕元に祝いの 善を据え辻が自分で吉松と名をつけ たそれは豊郎の要明であっ たま兵は月に1度ぐらいの割で訪ねてき いつも濡れ縁にかけたまま半時ほど話して 帰っ た断っても相手にしないしまが来始めて から万兵の態度も少しずつ和やかになる 様子なのでしいて来てくれるなとも言わ なかったが10月に来た後年が開けるまで 姿を見せなかっ た実家からは毎月の仕送りをしてくるだけ で母はもちろん弟の両一郎も尋ねてはこ

なかっ たもちろん父に現金されているのだあろし 筋も来てもらいたいとは思わなかったが 正月の七草が過ぎてから久方ぶりにまが 現れ一緒に両一郎が来たのを見ると口を 聞くより先に涙がこぼれ た1年足らずの間に驚くほど両一郎は背た が伸び顔つきもずっと大人びて見え た今日はりさんが一緒だから上上がらせて もらいますよとまたが言った2人は雪靴を 脱いで上がり炉端へ座る前に寝かしてある 子供を覗きに行っ た大きな若旦那だお手柄ですねとまたが手 を伸ばしながら言っ た1つ抱かせてもらえますか などうぞ後でと辻が急いで止めた 今起こすと難かって困りますからどうぞり さんもこちらへ来てお当たりなさい な2人は炉端へ来て座っ たお見舞にも来なく申し訳ありませんと両 一郎は手をついて事業をし た隠れてこようと思ったんですけれど お母様があんまり心配なさるものだ から分かっています涼さんの来られない ことはよく分かっていました よそれよりも私のことでお友達などに嫌な 思いをさせられはしませんでした かいえと両一郎は首を振っ たそんな話はやめだとまが遮切っ た実は今日はお別れに来たんです よはドキッとしたようであっ た殿さの産金が繰り上がりましてね2月 初めに出と決まったんですそうなると多忙 で出られなくなりますからねりさんを誘っ てやってきたわけ です王子8万へ産経すると言ってきたん ですと両一郎が言った私もそうだと思った もんだから波湯村をこっちへ曲がった時は びっくりしてしまいました そういうわけで長いはできないんです若 旦那を抱いたらすぐに帰りたいんだがと 言ってまは枕病部の方を伸び上がってみ たまだ起きそうもありません な辻は2人から目を背け何もご馳走ができ ないから持ちでも焼きましょうと言って 立とうとしたがその時ふと思い出してお 七屋には結構なものをとまに礼を述べ たまはいやと言いかけたがそのまま曖昧に 口を濁し た辻の持ちを健太に食べながらまと両一郎 は半時あり話していった何を話していたか 辻はほとんど覚えてい ないまが江戸へ行ってしまうことと1年の ありも会えなくなるということで胸が いっぱいになりいくら気持ちを引き立て

ようとしても寒々とした心細さからどうし ても抜け出ることができなかっ たではまた来年の夏と雪靴を履いてから またべが言っ た坊野を抱けなかったことは残念だったと よくそう言っておいて ください辻ははいと言って深くれ たお母さんになってから優しくなりました ねとまたべが言っ たその方がお通さに似合わ しい別れにはこの上もない選別ですでは これ で辻は黙って抵当した一郎の挨拶にも答え られなかった喉が詰まったようになって声 が出ず涙がこぼれそうで顔を上げることも できなかったので あるそれから6畳の橋へ出て行き丘をくっ て遠ざかる2人を見送り ながら辻は歯を食いしって越し た2月の下旬になって江戸からの手紙が来 た無事についたこととこちらの消息を問う だけのごく短いものだったが辻には胸の ときめくほど嬉しかっ たいく度も読み返した後じっとしていられ なくなり吉松を抱いて宝川まで歩きに出 た宝川は雪解の水で膨らみ水際には びっしりと水々しく競りが伸びていた 朝の日を浴びた河は温かく猫柳はもう歯に なってい た辻は癒されるような気分になり少女の頃 を思い出しながら吉松を河に座らせて競り を積み代を積ん だ一時近くも遊んだであろう吉松がかり 始め眠る時刻だと気づいたので辻はセとを 持って家へ帰っ た重へ寄って積んだものをおことに渡すと おことが声を潜めてお客様ですとさい た辻は軽減そうな目をしおはさらにくの様 という方ですと告げた辻は反射的に吉松を 抱きしめ たうちの人がお相手に出ていますお待ち かねのようですからすぐいらして ください辻の顔は青ざめたがしっかりした 歩きぶりで陰居所へ行き濡れ園のところで 立ち止まっ た6畳にくせと夫人のキアジがおり万兵は 2条の方にかしこまっていたが筋が来たの を見るとすぐに立って出ていっ た筋は黙って立ってい た オルスに邪魔をしていましたと夫人が言っ たこちらへ上がって ください孫を見に来たのだそれが吉松かと セツが言った孫という言葉が筋の胸を差し 貫くように響いたその率直な一言はどんな

弁名よりはっきりと夫婦の気持ちを表して いたし筋のをくじけさせ た辻が6畳へ上がると夫人がすぐに吉松へ 手を出した吉松は不思議そうな顔をしたが 泣かずに大人しく抱かれ たこっちへよこせとセツが言ったこらしも なく咳たて奪うように抱きとるとこれは 重いこれは重いと言いながら乱暴に上げ 上げし松はびっっくりして泣き出した辻は もう眠る時刻なのですと言い自分の方へ 受け取って2人に釈しながら父を含ませ た今日は孫に会う方々お前を迎えに来たと せが言った俺は先に帰るから詳しいことは これに聞いてくれお前はくの嫁だくの嫁と して恥ずかしくないことをお前は自分で 証明し た俺の口からはこれだけしか言えない腹の 立つこともあるだろうがこっちにも主材が あったのだよくわけを聞いて納得したらく へ来て くれその時改めて謝罪を しよう そして待っているぞと言うとさっさと立っ て出ていっ た夫人がそのままという手真似をしたので 辻は送りには立たなかっ た辻さん堪忍して くださいあの時はあのような挨拶しかでき なかったのですと夫人は静かに言い出し た今だから打ち明けますが私はあなたの ことを聞いていまし た辻はきっと夫人を見 たあなたと奉仕教へ行って帰った晩に 初めてあれが話したのです私は主人に相談 しましたが主人は受けつけませんでし た豊郎のような人間にろな女が見つかる はずはない おそらく金でも目当て だろう夫人はちょっと頭を垂れ たごめん なさいこれは主人だけでなく私もそう思っ たことなの ですですからあなたがいらした時お人柄が あまりに違うので主人にそう話したの ですせも自分であってみて辻が想像した ような女でないことを認め たしかしそれだけで嫁と認めるわけには いかなかっ た生まれてくる子が男ならくの後継になる その子の母としての資格があるかないかは 確かめてみなければならないそう考えた 結果あのように無常な足をしたのだと夫人 は言っ た人間が人間を試すなどとは誠にやしい 振る舞いです

けれど豊郎があのような将文でありあなた という方を少しも存じ上げなかったのです からやえなかったと思って堪忍して ください夫人はそこで頭を垂れ両手の指で 目を押さえ たあなたが家へいらして主人に返しを なすっ た豊郎がしまりのない若者でもなし臆病者 でも ない今でも覚えてい ますあの時私は嬉しく てそれからその仏壇にある 牌俗をくの郎と書いてあるのを見て主人も 私 も 辻はそっと立ち上がっ た吉松が眠ったので ある南道を開けてヤグを出し枕平部を回し て子供を寝かしつけながら辻はじっと目を つっ た私どもがあなたのことを知ったのはある 方のおかげですと夫人は湿った声で続けた あなたにいい名付けがいらしたことも豊郎 とそういう中になったお気持ちもご両親に 責められながらとうとう苦の名を出さ なかったこともそうしてこちらへ来てから の少しも悪びれない倫としたお暮らしぶり もみんなその方から伺いまし た辻はぎゅっとつむっために力を入れ たそうだと辻は思っ たこの子が生まれたことも屋がいつだと いうこともその人が知らせたの だあの祝いの体と酒はその人の知らせでく から届けてきたの だ辻はそう気づいて目の裏にその人の顔を を思い描い たくへ来て ください来てくれますね辻 さんと夫人がまた言っ たウバも雇ってありますくへ来てくの娘に なって ください長くとは言いません1年もいて くだされば いいの後言いましょう か辻は いえと言っ た自分に向かって微笑みかける人の顔が 見えるように思えたから だ夫人は立っていって3弱の開きを開け 火打を打って透明と先行を上げ た豊郎は運の悪い生まれつきだった けれどあなたという方に巡り合えて幸せ でし たと夫人が言っ たこれからはあなたが幸せになる番です

[音楽] よ [音楽]

3 comments
  1. 暖簾を潜って…
    女将さんお早うございます…
    在所の雪は思った程降らず安心しました… 一時は緊張しました、南岸低気圧が…お江戸は大雪警報が…
    ニュースを見てハラハラドキドキしました… 在所は雪も凍れも大したこと無く…
    二十四節気の立春、節分が過ぎ大寒も抜け春を桜を待っだけですが… 女将さんの地で は大きなトンネル車事故が… 亡くなられた方、家族の皆さんにはお悔やみを…
    在所にも八甲田連峰を抜ける長いトンネルが有り積雪期には何度か死亡事故が起きて下ります…在所も女将さん地もまだまだ春は遠い…幸い今回の南岸低気圧は在所は大したこと無く済みそうですが北海道はどうですか…? 札幌は凍れ雪もまだまだでしょうから時節柄がらお気を付けて下さい…(うまい具合に南岸低気圧は房総半島から遥か太平洋上に抜け北上しませんでした…)

    法師川八景聴かして頂きました… さる方の朗読を聴かして頂き好きに為った作品ですが女将さんの朗読を聴かして頂き新たな感動を頂きました…‼️
    「ちづ」は同情と愛情を履き違え許嫁の佐藤又兵衛を裏切り密通では無いと言い放つ… また我の強さを見せる… 私が居なければ、私でなければの言い分は思い上がりでお嬢さん育ちから来ると思う。女将さんの朗読作品に在る「いしが奢る」の「おいし」の云う言葉は幼い時分の苦労、貧しさから来る言葉で在り愛する人を慮る言葉だと思う… 裏切った又兵衛に気遣いひとつ見せない「ちづ」に腹が立つ…其の同情も又兵衛の気遣いと犠牲に成り立つ… 理解在る又兵衛は折りをみて結婚を申し込むだろうが「ちづ」はどの面さげて行くつもりだろう…
    私的には「ちづ」では幸せになれないと思う…
    何故なら「ちづ」は同じ間違いを犯す様な気がする⁉️

    感動の朗読をありがとうございます❗
    感謝です…‼️

  2. 暖簾を潜って…
    女将さんお早うございます…夕べ女将さんのチャンネルを覗き新作が…
    で夕べ「法師川八景」聴かして頂きましたが、寝落ちして仕舞い今朝早く聴かして頂きました…がコメントを投稿し再度聴かして頂きました。
    女将さんの「法師川八景」は十分に特徴的な朗読です…
    改めて其れゞ読み分けもしっかり出来て下り相変わらずの朗読です…
    改めて聴かして頂き、「ちづ」は塾頭を務める程の秀才が謌を詠むのが苦手とは謌を詠むには大いに想像力が豊かに発達しなけば謌が詠め無い…其れが欠如とは其の行いが周りにどれ程の影響を及ぼすか欠徐して居たと思われる…
    改めて「ちづ」との結婚は又兵衛を不幸すると私的に思う

    感動の朗読をありがとうございます❗
    感謝です…‼️

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