ダウン症があり、幼いころの病気の影響で声を出すことができない30歳の息子との生活をありのままに伝える男性がいます。
かつては息子の将来に不安を感じていましたが、考え方が変われば、日々幸せや愛おしさ感じることを、多くの人に知ってほしいと願っています。
楽しみは福祉施設でお絵かき
福岡市に住む田中彰悟さん。この日は、父・伸一さんと一緒に自宅近くの福祉施設にやってきました。
田中伸一さん「ちょっと隙間があくんで、そこは私が後で詰める」
ダウン症と知的障害のある彰悟さん。部屋に新聞を敷き詰めて始めたのは・・・彰悟さんは絵を描くことが大好き。
毎月、この施設に通って、思うままに筆を走らせます。絵の具が飛び散るのもお構いなし!勢いよく画用紙に色をつけていきます。田中伸一さん「こういう自由にできるのは楽しいからですね。こんなの家でされたらとんでもないです」
ダウン症そして声も失う
彰悟さんは今年、30歳になりました。
田中伸一さん「かわいいでしょう」1996年6月、田中家の第二子として生まれた彰悟さん。生まれて間もなく、ダウン症と診断されました。田中伸一さん「ダウン症の可能性があると言われて、彰悟がどうというよりもそれがすごく重くのしかかっている感じでしたね。生まれて42日目に初めて退院して、それまでは間近で見られなかったから、将来どうなるんだろうとそれまで思っていたんですけど、一緒に暮らし始めると、そういう想いが吹き飛んでいった。この可愛い彰悟と楽しく暮らしていきたいと思った」しかしその後、彰悟さんの様子が急変。肺炎を発症しました。
田中伸一さん「急に夕食後にむせびだして、肋骨がぼこぼこなるような感じで死にそうな状況になって病院に行って、気道がふさがっていて管を入れて、そこからはもう大変でしたね」気道がふさがり口から呼吸ができなくなってしまった彰悟さん。声帯もふさがってしまい、声を出すことができなくなりました。
繰り返し手術を行いましたが、なかなか状態はよくなりません。
田中伸一さん「7歳の時の大きな手術でいったん開通はしたんですよ。穴をこじ開けて。けど、誤えんしたり、特殊なチューブを万一のときために入れているんですけど、それがとれたりとかして、危なくなったりしたんで、(チューブを入れ続けることを)あきらめて」
障害は不幸?息子との生活で価値観に変化
彰悟さんが生まれてから不安を抱えていた伸一さんですが、我が子と過ごす楽しい日々の中で、気持ちが大きく変わったといいます。田中伸一さん「障害があることが不幸なことだと私は思っていたから、不幸だと思ったら不幸だけど、そのおかげでこれができる、だからこそこうだと、見方を変えると大体のことが幸せにつながっていく、つらかったり苦しいこともあるけどそれがあるからそうじゃない喜びとかがより大きく膨らんでいく。自分の価値観を見直させてくれた彰悟との人生だなと」
そして、彰悟さんから学んだことをたくさんの人に伝えたいという思いが芽生えました。
障害がある息子から学んだことを伝える
伸一さんは講演会を開くなどして、彰悟さんとの30年間で感じたことを自らの言葉で伝えます。
田中伸一さん「娘の十五歳の誕生日と息子の十二歳の時の退院祝いの時に、私と妻と娘が『乾杯』ってしたらですね、なんとですね、息子がですね、初めてですね、自分から、主体的にグラスを持って、私たちのコップに、こう、くっつけるわけです。『乾杯』って。で、なんかもう、息子が乾杯できるとは思ってなかったから、もう乾杯してくれたことがめっちゃくちゃ嬉しくてですね」
かつて抱えていた葛藤も、すべてありのままに語ります。田中伸一さん「大人になっても、私たちがしてるような会話ができなかったりとか、普通に学校に行ったりとか、仕事したりとか、できないんじゃないかなとか思って、なんか息子の将来がもうなんか灰色にしか思えなくなって」
そして何より伝えたいのは、彰悟さんから学んだ価値観と感謝の気持ちです。
息子のおかげで幸せ
田中伸一さん「何が一番自分の人生にとって影響大きいかなって言ったら、やっぱ考え方なんですよ。考え方や価値観なんです。同じ状況でもそれが不幸と思うこともあれば、そのおかげで幸せだと思うこともあるんで、なんかそういうことを息子が生まれてくれたおかげで感じたり体験したりすることができて、本当にありがたいなと思ってますね」伸一さんの講演を聞いていた人は心を動かされたようです。講演を聞いた人「子どもさんの笑顔見ながら、田中さんも喜んでいらして、奥さんも大変だっただろうけど、温かい家族を感じました」
講演を聞いた人「30年前って今と全然医療・時代も違うからその時に告げられたことってショックだったと思うんですけど、それを受け入れられて、家族がチームになっているという感じがすごくいいなと思いました」
伸一さんも講演を通して、今の日常の尊さを改めて実感しています。田中伸一さん「息子のおかげで幸せなんだというのを話すのが楽しかったし、それは伝える価値があるんじゃないかなと思って、障害があるのはあるんですけど、毎日かわいいし、毎日幸せだし、毎日ニコニコして、ちょっと思い通りにならないこともありながらも、それを受け入れたりとか、日常が幸せ満タン。これで十分これがずっと続けばいいと思いますね」喜びや幸せに満ち溢れた彰悟さんとの30年間。伸一さんは、穏やかでかけがえのない家族の日常をこれからも伝えていきます。
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/3002133