【ヒグマSOS】20代男性襲われた死亡事故から1年…知床で続くヒグマ対策の葛藤 相次ぐ登山道閉鎖、保護と安全のはざまで揺れる現場

【ヒグマSOS】20代男性襲われた死亡事故から1年…知床で続くヒグマ対策の葛藤 相次ぐ登山道閉鎖、保護と安全のはざまで揺れる現場



■危険と隣り合わせの現場―知床財団による日常的なパトロール

知床財団によるパトロールです。

知床財団・保護管理事業係金川昇大係長
「知床はヒグマの生息密度が高いので日常的にクマの出没がある。早めに察知するために車でパトロールしている」

対岸に設置したカメラを回収へ…。大声をあげ、人の存在を伝えながら、向かいます。

知床には、400から500頭のクマが生息するとされます。

危険と隣り合わせのパトロール。
悲劇を繰り返さないという、強い思いがありました。

■死亡事故から1年ー。「捕獲基準」にも変化

片山侑樹記者
「後ろにある雄大な羅臼岳、この山の中で1年前男性がヒグマに襲われて亡くなるという悲惨な事故がおきました」

2025年8月14日午前11時ごろ…。知床半島の最高峰、羅臼岳。

登山をしていた20代の男性が、子連れのクマに襲われました。

片山記者
「羅臼岳上空です、登山客らがヘリで救助されていきます」

登山中の約70人を避難させ、翌朝、警察やハンターなどが捜索を始めます。
しかし…。

中明カメラマン
「これは人でしょうか…いま道警のヘリに吊り上げられています」

男性は命を失いました。

男性を襲ったクマは、現場で駆除されました。

クマの親子は、事故前からたびたび目撃され、追い払いも行われたとみられています。

知床財団による、1日2回の定期パトロール。目撃情報があれば、昼夜を問わず出動します。

知床財団事業部・山本幸部長
「多い時には1日10件ほど出没するので、1日中、外を走り回っている」

パトロール中はほぼ毎日クマに遭遇するといいます。

この日はクマが秋にかけて食べる、ハイマツの実のりを確認。
出没しそうなエリアを、事前に把握します。

知床財団・保護管理事業係金川昇大係長
「今年も実りがいいのでクマがこの辺りに停滞するかなというので警戒している」

去年も続けていたパトロール。それでも、事故は防げませんでした。

あの日を境に、知床はクマとの向き合い方を、変えることになります。

2025年8月、羅臼岳で起きたヒグマによる死亡事故。対応の強化が、知床でも迫られました。

人につきまとったり、人の食べ物を口にしたりするなど、危険性が高い個体が、これまで捕獲の対象でした。

しかし事故後、追い払いで改善しない、いわば危険予備軍も、捕獲対象となり、今年も1頭捕獲しました。

知床財団・保護管理事業係金川昇大係長
「クマを保全しないといけないのもそうだが一方で観光客の安全も確保しないといけない。そのはざまで試行錯誤しながら対策を行っている地域」

ヒグマの生息地・知床で続く、野生動物の保護と、人の安全を守る取り組み。
知床で、葛藤は続いています。

■「ヒグマ警戒レベル」の導入と登山道閉鎖を巡る迷い

羅臼岳の山開き。約1年ぶりに、登山道が再開されました。

ところが4日後、再び閉鎖へ…。
登山者に、クマが付きまとう事案が発生したのです。

山小屋を管理する男性は、あの事故を境に、状況が一変したと話します。

木下小屋管理人・四井弘さん
「めちゃくちゃ減っています。あれだけの事故だから怖がっているんじゃないの」

知床財団や環境省らで作る「知床ヒグマ対策連絡会議」は、事故を受け、登山道の危険性をヒグマ警戒レベルでランク分け。

問題行動を起こすクマが確認された場合、速やかに登山道を閉鎖すると決めました。

ただ、現場には迷いもあります。

知床財団・保護管理事業係金川昇大係長
「登山というアクティビティは基本的に登山者がリスクに備えて判断して行うもの。それはどこの山も一緒だと思うので、閉鎖するというのは登山を否定するような措置だと思う」

安全を守るための閉鎖。ただそれは、知床らしい自然との向き合い方なのか。

答えは、簡単には見つかりません。

■グッズの貸出や情報発信強化―それでも「届かない」現実

この日、羅臼岳を訪れていた登山者です。クマスプレーに加え、万一に備えた装備も携えていました。

登山者
「難しいですよね、北海道なので山に限らず、町でもそういう危険があるので、出来る限りのことをして利用させてもらうということしかできないのかな。何かあった時には何かしら規制が出るのは仕方がないのかな」

知床自然センターなどでは、クマ対策グッズのほか、遭難時の位置情報を把握する「ココヘリ」の貸し出しも始めました。それでも、課題は残されています。

知床財団事業部・山本幸部長
「登山道の情報発信は強化したり見せ方を変えたりはしているけれど、全員に届いていない感覚はある。スプレーなんかも本数を倍にしているけれど、正しい使い方がどこまで浸透しているのか把握できていない」

行政だけでは、事故を防ぐことはできません。

山に入る一人ひとりが、情報を知り、備えること。
その積み重ねが、同じ悲劇を繰り返さないための第一歩です。

■求められるのは”人間の謙虚さ”と”正しい知識を持つこと”

世永聖奈キャスター
知床財団では、クマの出没ポイントにカメラを設置しています。クマの行動だけではなく、訪れる人が危険な行動をとっていないか、そうしたデータを集めながら対策に活かそうとしています。

堀啓知キャスター
人とクマの不要な接触が人を恐れない人になれてしまう危険な個体を生む要因にもなっているわけですけれども、このクマの生息地ですから、人の安全を守っていくというので本当、葛藤が続いているわけですけれども、鶴岡さんどう見ました?

コメンテーター鶴岡慎也さん
前提として、このクマが生息しているところに人間が入らせてもらっているという気持ちで考えると、クマって人間と会わないための対策ってしないわけで、人間、我々がそういったところに行かせてもらってるのは、こっちが対策して、できるだけ会わないように、出会った後も被害を最小限に食い止めるような準備っていうのは、人間がしっかりしていかないといけないですよね。

堀啓知キャスター
人の側がね。知床はクマの生息地だという前提で、訪れる私たちも例えばクマ具スプレーを正しく使えているのかとかね、そういう正しい情報を把握しておくってことが大事になるわけですが、須田さんいかがでしょうか?

コメンテーター須田布美子さん
はい、やはりヒグマが人里に出てきて人間が今危ないというような場合の駆除する話とは違って、元々ヒグマが住んでいるところでどういう風に安全を図っていくかっていうのは、ちょっと人間の側も謙虚になりながらやっていかなきゃいけない、共生を目指していかなきゃいけない問題なのかなと思います。

世永聖奈キャスター
そして来月9月12日に「クマを巡る暮らしと社会」を考える講演会を開催します。ゲストは直木賞作家の川上健一さん、タレントの鈴木崇大さんが登壇します。詳しくはHBCのホームページでご確認ください。

堀啓知キャスター
例えばこういった講演会に是非みなさん出席してもらって正しい情報を知って、で、その正しい情報をより多くの人と共有して、で、実際に備えると。痛ましい事故を防ぐためには私たちのこう一歩一歩、1人1人の出来る事をやっていくということですね。

2 comments
  1. 知床のヒグマはもう手遅れかも😢馬鹿な観光客のせいで😢人間=餌の認識が高い餌やりも含めだけど😔

  2. 知床の方の言っていることが理解できない。熊警戒レベルを設置して登山者に警戒度を知らせて登山するかどうかを登山者個人の判断に委ねるいい措置ではないでしょうか?去年付き纏い・問題行動のあるヒグマがいたのに駆除も、通達もしてなかったのであの20歳の子はヒグマに食われたんでしょ?寧ろちゃんと通知をしてそれをリスクとして評価し登山者が減っているのは人間側もまたヒグマ自身にとってもいいことではないでしょうか?一体何を心配しているのでしょうか?

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