長引く物価高が家計を直撃する中、子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりました。しかし学校の給食がなくなるこの時期、生活困窮世帯の親たちは毎日の食費や光熱費の工面に頭を悩ませています。子ども食堂やフードバンクなどの地域支援、行政の取り組みが手探りで続く現場を取材しました。
広がる「子ども食堂」”支援の場”から”地域の居場所”へ
夏休みが始まり、札幌市東区の寺に子どもたちの声が響いていました。
子ども「ウインナー食べたい」
3児の母親
「月に1回来ています。子どもが無料で大人が500円でありがたいですし、遊び場もあるし交流もあったりで、楽しいし美味しいし」
運営側は、支援の場としてだけでなく、親子が気軽に立ち寄れる、地域の居場所を目指しています。
母親「ここは勉強とかもできるし、いいと思う」
「給食のない夏休み」物価高で追いつめられる困窮家庭の実態
その一方で、物価高は親や支援の現場に重くのしかかっています。
子どもたち「(ホタテ)初めて食べる うますぎる!」
中央区で月に1度開催される「むすび祭り 子どもの遊食会」です。
弟と一緒にやってきた中学2年生の翔大さん。この夏の楽しみは、部活のバドミントンです。
子ども「焼き鳥ちょうだい」
翔大さん兄弟は、学校があるときも2つの子ども食堂を利用しています。
翔大さん「きょうは楽しかったです。毎日楽しみにしてる」
息子の誕生日祝うスマホの動画 「ハッピー バースデー ディア 翔大」
翔大さん兄弟の母親 「こういう風に必ず小さいときから撮り続けています」
画面を見つめる翔大さん兄弟の母親。2人の息子と暮らすシングルマザーです。夏休みを迎えて真っ先に考えることは―
翔大さん兄弟の母親
「(給食が無いから)昼食、どうしよう。ですね。食べ盛りなので4合炊いて1日で無くなる。白米に麦を入れて量を増やしている」
6年前にうつ病とパニック障害を患い、いまは仕事を離れています。限られた生活費の中で、食事はいつも子どもが優先です。
翔大さん兄弟の母親
「メインは子どもたちなので。『あなたたちが食べて、残ったらママが食べるからいいよ』っていう感じ。」
食費に加え、夏の電気代も重くのしかかります。
翔大さん兄弟の母親
「(1人の時は)私はエアコンを使わないで、扇風機だけで過ごす。子どもたちが帰ってきたら、除湿して涼しくなるように使っています」
支援の需要急増…「届ける側」にも限界迫る
食堂まで来られない家庭には、別の支援もあります。
フードバンクイコロさっぽろでは、夏休みに向けた食品支援では、定員400人に対し、3倍ほどの申し込みがありました。
お礼の言葉が寄せられる一方、家計が限界に近づいているという声も届きます。
NPO法人・フードバンクイコロさっぽろ・片岡有喜子理事長
「『3食子どもに食べさせるのが難しい』『自分は1日1食にしたり、お風呂の回数を減らす』『節約をこれ以上できない』という苦しい声が届いています」
届ける側にも、物価高の影響が。
NPO法人・フードバンクイコロさっぽろ・片岡有喜子理事長
「段ボールも値上がりしているし、ビニール袋も値上がりするという中で、寄付される方にとっても買える分量が目減りしてしまうっていうのはここ2年くらい拍車がかかっている」
行政の模索と問われる国の抜本的対策
行政も動き出しています。
札幌市は、保護者の弁当づくりの負担を減らそうと、学童保育で昼食を提供。1食500円以下で食べられます。
子ども 「美味しい!」
ただ、いまの価格を維持できるか、不安もあります。
札幌市子ども未来局 長尾義教係長
「提供している事業者からもですね、なかなかお弁当の維持の価格は難しいような声もきているので、この物価高の中でこの価格を続けていくっていうのは、どこまで可能なのかは分からない」
地域や民間、行政が、それぞれ支援を続けています。しかし、必要とするすべての家庭に、十分な支援が届いているわけではありません。
翔大さん兄弟の母親
「自分がどうのこうのではなくて、子どもたちが優先で、どういう料理作ろうか、休みの日にはどこに連れて行こうかって。めちゃくちゃ支援を上げろ、というわけではなく、(国による支援が)ちょっとあればもっと助かる家庭があると思う」
民間の善意にも、自治体の工夫にも限界が迫る中、長引く物価高のしわ寄せを、いつまで家庭に背負わせ続けるのか。即効性のある国の対策が問われています。
子どもの食を維持するセーフティーネットを作るべき
世永聖奈キャスター:政府は物価高対策として子ども1人につき2万円の手当を支給・給付しています。現在、来年4月から食料品の消費税を2年間1%に引き下げる方針が示されています。
堀 啓知キャスター:その消費税の減税もさまざまな課題があると言われておりますし、そして、すぐにそれも実施できないので時間もかかるということです。鈴木さん、これは素早くやる対応どうすればいいのかってことですよね。
鈴木 徹さん(北海道新聞 特別編集委員):子どもの栄養の問題ですからね。これは食のセーフティネット、家庭の自己責任に任せてはいけない問題だと思いますね。いろんな形で行政、民間のいろんな支援が出てきているんですけども。その民間のボランティアや善意に頼っていていいのかっていう問題。で、お母さんがおっしゃってたけども、やっぱりこれはね、ちゃんとどこの地域自治体もさることながら、やっぱり国として、子どもの食を維持するセーフティネットを作るっていうことはやるべきじゃないかなと、思います。
堀キャスター:どの地域に住んでいてもってことですよね、はい。満島さんいかがでしょうか?
満島 てる子さん(女装家):そうですね。あの、食って生活の根本なので、速やかな支援が、今困ってる多くの家庭、子どもたち届いてほしいなっていう風には思うんですけど。その支援を大いに担っているであろう、子ども食堂やフードバンクといった取り組みやワード自体が、かつてよりはるかに自然と、なんかポピュラーになっている風潮というか現状が非常に心配というか。これってある意味、今この国の経済力や社会福祉がどれぐらい、もろいかっていうのがあらわになっていることと同じだと思うんですよね。なので今、食に困っている人をどうするかはもちろんですけど、困難を抱える人を作らない、あるいはそういう人をどうやって救い上げられるような社会にするためにはどうしたらいいんだろうってことも同時に考えていかなきゃいけないことなんじゃないかなと思います。
堀キャスター:今のそういった支援がイレギュラーな状態にできればいいんですけど、当たり前になっちゃっていて、ということですよね。支援団体によると、やっぱり物価高で買える食料品の量は減っている、でも一方で支援を求める人の数では年々増え続けていて、今年も去年を上回る数になっているということなんですね。ですので、求められているのは、まず今困っている人に届く迅速な対応ということです。