北海道の食の未来を考える「いっちゃんおいしいHBC」。今回取材したのは、日高町でワイン造りに励む91歳の馬場幸一さんです。
お酒とは無縁の人生を歩んできた馬場さんが、88歳でワイン造りを始めた背景には、「町に特産品を」という長年温めてきた夢がありました。
孫の名前を冠したワインがいま、海を渡りアメリカへ――。
地域を思い、挑戦を続ける91歳の瑞々しい生き方に迫ります。
初めてのワインは『デフィ88アンス(88歳の挑戦)』
馬場幸一さん(91)
「ごめんください」
2025年の暮れ、帯広市のワイナリーに、1人の男性がやってきた。仕込んだワインの、チェックのためだ。
馬場幸一さん(91)
「(Qこれが馬場さんの?)これがそう。赤、これは赤ですね。ロゼもしたらちょっと…」
相澤ワイナリー・相澤一郎さん
「ちょっと色濃いですけど、まだ発酵している」
手がけるのは馬場幸一さん91歳。初めて「ロゼ」に挑戦した。
馬場幸一さん(91)
「これまた全然違う。(赤ワインと)匂いが違う。味も違う」
“生涯ワインひと筋”そんな職人にも見えるがそうではない。ワイン造りは、まだ4年あまりだ。
これが初めてのワイン。フランス語で『デフィ88アンス』、『88歳の挑戦』とラベルに記した。
馬場幸一さん(91)
「いや嬉しかったよ。味はわかんない、自分は飲まんからね」
アルコールとは無縁の人生。それでも、なぜワインを作るのか。
ぶどう作りは「生きがい」畑を案内してもらうと…
馬場さんの畑は、日高町にある。かつて農家だった実家の土地で、ぶどうを育てている。
馬場幸一さん(91)
「(Q『生きがい』って書いてある?)生きがいって、ぶどうを作ることによって長生きできるかなと思って『生きがい』とつけた」
品種は、寒冷地に強い「山幸(やまさち)」と「清舞(きよまい)」。木は919まで増えた。
馬場幸一さん(91)
「(Qまだまだ植える?)千本でやめておく。自分一人でやるなら。何でもやってみたいもんだから」
この広さを、一人で管理しているという。
子どものころから気になったら“何でもやってみたい”
日高町には、醸造所がない。ワインは100キロ離れた帯広で仕込まれる。
相澤ワイナリー相澤一郎さん
「150本くらいなので30分くらいで終わると思う。コルクやってもらおうかなと。覚えている?」
馬場幸一さん(91)
「コルク覚えている、3年やっているから」
日高町の農家に生まれ育ち、子どもの頃から、気になったら“何でもやってみたい”そんな性分だった。
馬場幸一さん(91)
「(Qスマホ使いこなしている?)普通のカメラもいいけれど、こっち方が手っ取り早い。いつも持って歩いているし」
”日高町に特産品を”ぶどう栽培の原点とは・・・
町の職員として、スキー場で定年まで勤める。その後も、79歳まで働き続けた。
ただ、長年、果たせずにいた思いがあった。
馬場幸一さん(91)
「(スキー客から)『日高に来てもなんもお土産ないね』って話からね。それで何かを作りたいなと」
日高町に“特産品を…”。42歳で抱いた思いが原点に―。
83歳の時、特産のジュースを造ろうと、ぶどう栽培を始めたのだが。
馬場幸一さん(91)
「『量がたくさんなきゃダメですよ』とか『うちは町営だからさ、町外の人は無理です』とか。簡単だと思ったら何とも大変。『あんた、そのジュースを作るんだったらワインにしなさい』って。88歳の時。それで“88”。最初のワイン」
2年目は肺炎を患って休んだが、3年目の2025年できたのが、こちら『デフィ90アンス』。
90歳で育てたブドウは、418本の赤ワインとなり、ふるさと納税の返礼品にも選ばれた。
”何でも挑戦してみたい”札幌駅から向かった先は…
馬場幸一さん(91)
「10年ぶりに来た。田舎の方がいいな、せわしくないもん。田舎育ちは田舎だね」
この日、向かった先は…こんな場所だった。
東峰優華アナウンサー
「いっちゃん美味しいラジオ。こんにちは。HBCアナウンサーの東峰優華です」
番組からの出演依頼。“何でもやってみたい”また一つ、初めてに挑んだ。
東峰アナ
「元気な若さの秘訣はなんでしょうか?」
馬場幸一さん(91)
「自分としてはね、何でも挑戦してみたい。何でもやってみたい。それを完成させてみたい。いつも頭の中にある」
日高町からアメリカへ…91歳初めての「ロゼワイン」
【画像で詳しく見る】”挑戦は心臓が止まるまで”91歳が挑む究極のワイン造り
去年、初めて挑戦した「ロゼワイン」。アメリカへ渡ることが決まっていた。コルクを乾燥から守るロウ付け…ラベル貼りも手作業だ。
馬場幸一さん(91)
「緊張する、失敗…(ラベルが)斜めになった」
今度のラベルには、何やら名前が記されていた。
91歳の馬場幸一さんが、初めて手がけた「ロゼワイン」。
帯広のワイナリーから、アメリカへ出荷される。
ラベルには「Tsukasa(つかさ)」とある。孫の名前だった。
馬場幸一さん(91)
「うれしいよね。“孫”がアメリカに行くんだからさ。8年目でようやく…長かったよね、8年間って。ワインを造ったら10年かかるって言われた」
雪解けとともに、畑に立った。
2026年、新たに挑むのは『一枝一房(いっしいちぼう)』。
一本の枝に、ひと房だけを実らせる贅沢なぶどう栽培だ。
馬場幸一さん(91)
「1つの枝に1つの房。今年からやります。どういうことになるかやってみて。どういうワインができるか。これが答えだってことないからさ。だからずっと追求していきたいな。(Q何歳まで続けていきたい?)命が続く限り心臓が止まるまで」
今年92歳…馬場幸一さんの人生は、今もその途中である。
馬場幸一さん(91)
「味分かればいいんだけど、わかんないのさ全然」
4月18日に92歳、元気の秘訣は「よく食べること」
堀啓知キャスター
常に挑戦している、追求している。でもワインの味は分からないっていう(笑)
もう本当に最高ですね。本当に馬場さんってバイタリティありますね。
コメンテーター井田芙美子さん
こっちまで元気もらっちゃいますけど、本当に「生きがいぶどう園」って書かれてましたけど、何よりも生きがいを持って過ごすっていうことが健康長寿の秘訣なのかな、と見てて思いましたね。
世永聖奈キャスター
常に目標持ってますもんね。そんな馬場さんですが、4月18日に92歳のお誕生日を迎えられました。おめでとうございます! ご本人によりますと、元気の秘訣は「よく食べること」。ラーメンや豚丼、すき焼きなど、油っこいものに目がないそうです。
堀キャスター
まさか!逆だと思ってましたけど(笑)
世永キャスター
食べるのは元気の秘訣ですね。
コメンテーター鶴岡慎也さん
人生の大先輩として、すごく勉強になったVTRだったなと思いますし。馬場さんが作ったこのワイン、本人は味分かんないって言われましたけど、飲んでみたいですね。元気になって長生きできそうな感じがします。
堀キャスター
ご長寿なワインみたいですよね。ラベルが88、90ときて、いつか100のラベルが……。アメリカに行くということで、ぜひ現地の人にも飲んでほしいなと思います。
世永キャスター
まもなく赤ワインも完成するということです