【光る君へ】14話 秋風の和歌がストーリーに関係?兼家の見事な幕引き。枕草子、蜻蛉日記&シナリオ解説

【光る君へ】14話 秋風の和歌がストーリーに関係?兼家の見事な幕引き。枕草子、蜻蛉日記&シナリオ解説



大河ドラマ『光る君へ』第14回 をネタバレでレビュー&解説。

第14回の舞台は永祚2年(990年)。熾烈な権力争いの中で一族の栄華の礎を築いた藤原兼家が亡くなります。名優・段田安則さんによる兼家の見事な幕引きでした。兼家が「ものごとのあらましが見えている」と評していた道長は、父の遺骸を抱きかかえ何を思ったのでしょう。和歌の会でまひろが読み上げた秋風の歌がストーリーに関連していた?平安時代の女性に、妻や母として以外の自己実現の道はあった?気になる存在・乳母のいとの過去がついに明らかに。息子が天皇に即位し皇太后となった詮子が権威を振るうのは、不遇な時代を過ごした憂さ晴らし?同じ月を見上げるまひろと道長が直面した平安時代の厳しい現実とは。

●取扱い作品
大河ドラマ「光る君へ」(2024年)
主人公は紫式部(吉高由里子)。 平安時代に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた女性。©NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/

●参考文献
道長ものがたり 「我が世の望月」とは何だったのか ― 山本淳子 朝日新聞出版
わたしの蜻蛉日記 ― 瀬戸内寂聴 集英社
平安貴族サバイバル ― 木村 朗子 笠間書院
『源氏物語』のリアル 紫式部を取り巻く貴族たちの実像 ― 繁田信一 文春学藝ライブラリー

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おつかれ様です シネマリンです 光る君へ第14回 星落ちてなお 観ました 宮中の出来事としては 永祚2年西暦990年 に起きた 藤原兼家の死 そして跡継ぎに 指名された 道隆の摂政就任 そこから始まる 中関白家の絶頂期が 描かれました 三兄弟を呼び寄せ 出家する前に これだけははっきりさせて おかねばと 跡継ぎに道隆を 指名する兼家 激昂した道兼は とっとと死ねと 暴言を吐く始末でしたが これも兼家が 家のためを思ってしたこと 最後に自らが 悪者になって 兄弟間の権力争いに 終止符を打つ 狙いだったのでしょう 死の間際まで すべては家のためという 自分の志を貫く 兼家でした 後に栄華を極めた道長は 満月を眺めて望月の歌を 詠むことになりますが 兼家が人生の幕引きに 万感の思いで見上げた月は 三日月 それがやがて赤く染まり 兼家も 色々と悪事を働いてきた 自分が円満に 死ねるわけがないと 悟ったような表情に変わり そして絶命 翌朝 もぬけの殻となった兼家を 道長が一番に発見して 抱きかかえるという展開は 納得感がありました 兼家が ものごとのあらましが 見えていると 評していた道長 父が偉大な リーダーだったことは 道長が一番よく 分かっていたのでは ないでしょうか 実際にもそうだったようで 平安文学を研究されている 山本淳子教授は 道長は兄たちよりも ずっと自然に迷わず 父兼家の生き方を真似たと 指摘されています 道長が15歳で元服した時 兼家は52歳で 既に右大臣という 政界トップ3の 地位にありました そこから兼家は長年かけて 朝廷のトップまで 登りつめていきます そんな政治家として 脂の乗った父を 道長はじっくり 観察することが できました 民のための政を目指すと まひろに誓いましたが 現実問題 宮中で権力を持たなければ 世の中を変えることも できません 後ろ盾を得るために 左大臣家の倫子 天皇の孫という 特別高貴な生まれの明子と 結婚した道長 物事がよく見えている 道長ですから 政とは家のためにするもの という兼家のやり方から 学んだものも多いでしょう 兼家の何を引き継ぎ 何を変えるべきなのか 道長はこれを 自らに問いかけ 迷いながら この先の栄達の道を 歩んでいくのかもしれません とにもかくにも 名優段田安則さん 兼家の見事な幕引きで 有終の美を 飾られていました 兼家から関白の座を 継いだ道隆は 若干17歳の息子伊周を 一足飛びに蔵人頭に任命 更には 定子を中宮に据え 権力基盤を 絶大なものにします これは公卿たちが 皆動揺していたように 皇后と中宮が 並び立つという 前例がないものでした 幼い一条天皇は 道隆の言いなり 彼の独裁政治が 始まったのです そんなふうに宮中が 大きく揺れ動く中 今回第14回の 裏テーマとして 私が感じたのは 女性の幸せとは何か というテーマでした 伊周の妻選びのための 和歌の会で まひろが読み上げた歌 この和歌がこの裏テーマを 象徴するものだったように 思います 秋風のうち吹くごとに 高砂の尾上の鹿の 鳴かぬ日ぞなき 文字面通りに聞けば 秋風が吹く度に 鹿の鳴き声が 聞こえるという 涼やかな秋の風景を 詠んだ歌ですが 秋風の秋に 女性に飽きたの飽きが 掛かっていたりと あなたに飽きられた 気配を感じる度に 私は不満と哀しさで 毎日泣いているという 歌意が掛けられています この第14回 藤原道綱母こと寧子や 源倫子など 夫を待つ妻たちの 複雑な心情というのが 垣間見える エピソードでした この歌が 今回のエピソードの 通奏低音となっているように 思いました この秋風の歌から 連想する女性といえば やはり一番は 藤原道綱母 そもそも彼女の書いた 蜻蛉日記が 他の女性に心を奪われ 道綱母の元に通う 足が遠くなった 兼家への不満と嫉妬を 書き連ねたものでした 皆さんもご存じのように 当時の結婚制度は 一夫多妻制 夫はその度量次第で 何人妻を持ってもよく 夫が妻の家に通っていく 通い婚でした 妻は自分の育った家で ひたすら夫が来てくれるのを 待ちました 作家の瀬戸内寂聴さんは 道綱母について 嫉妬は愛情の 裏返しですから 彼女の嫉妬の苦悩は 夫への並々ならぬ 愛の所産ともいえます と考察されています この日記に書かれた兼家は 颯爽として頼もしく 容姿も美しい 魅力的な男性です 兼家が 輝かしき日々であったと 口にしていたように 出世し栄華を極めていく 兼家の姿が記されています 病の床について 風前の灯火の兼家が 藤原道綱母こと寧子の歌を 諳んじていました 兼家も彼女の 蜻蛉日記を 読んでいたのです 兼家のことをそれだけ 強く愛していた寧子 兼家との絆を感じて 嬉しかったことでしょう 妾の寧子と兼家の間に 確かにあった 絆が感じられる 名場面でした 前回13話で 道長が大切にとっておいた まひろからの文を もう一人の妻 源明子からのものだと誤解し 自分には一通も くれなかった文を 明子とは やり取りしていたのだと 動揺した倫子 そこへ帰ってきた道長は 直前にまひろと 遭遇したために 上の空でした 娘の彰子が父上 と呼んでも上の空 着替えを手伝うという 倫子の申し出も断ります 心ここにあらずの道長に 倫子の表情が 曇っていました この人の心は 明子女王のところに あるのかしらと 頭をよぎったかもしれません そんな倫子をよそに 道長はああよい風だと 呟きます このシーンも先ほどの 秋風に飽き風をかけた あなたに飽きられた 気配を感じる度に 私は不満で哀しい という歌を連想させる ように思いました 後の場面で倫子は 子が流れてしまった明子を 見舞った道長に 私も気張らねばと 牽制するような言葉を 口走っていました 寧子も倫子も 妾であっても 嫡妻であっても 通い婚であった当時 待つ女の気苦労や 寂しさは絶えないわけです 一方兼家を呪詛した明子 まさに人を呪わば穴二つ 前回兄の源俊賢が お腹に子がいるのだから やめておけと 警告していた通り 呪詛が祟って お腹の子が流れてしまった のではないでしょうか そこへ父兼家の喪に 服しているにも関わらず 穢れの身の明子を 見舞いに来た道長 そなたのせいではないと 慰める道長のやさしさに 明子もほだされた 様子でした そんな 夫の一挙手一投足に 心揺さぶられる 妻たちとは対照的に わたしはわたしの志のために 夫を捨てようと思いますの わたしはわたしのために 生きたいのですと きっぱり言い切った ききょう まひろも驚きつつも 感銘を受けた様子でした ここでききょうが言っていた 和歌の会に来ていた 姫たちのような女性が わたしは一番嫌いだ よりよき婿をとることしか 考えられず 志を持たず己を磨かず 退屈な暮らしもそうと 気づく力もない という台詞は 清少納言が実際に 枕草子にしたためた 言葉です 更に女房に出るなどと 恥ずかしいことは やめてくれと言う夫は 下の下だと 痛快にけなしていましたが これも枕草子の 同じ段にあります 妻や母としての 生き方だけでなく それ以外の道での 自己実現を追求する ききょうは 現代的な感覚を 持っていると 感じられたかもしれませんが 実際はこの平安時代 結婚して子どもを持つ 多くの女性が 宮中で働いていました 例えば源氏物語に登場する 桐壺更衣 桐壺帝に見初められ 光源氏を生んだ 桐壺更衣ですが この更衣というのは その名の通り 天皇の着替えを手伝う女官 という職のことです 今回のドラマで倫子が言う 着替えをお手伝いします という台詞は 男性の着替えを 女性が手伝うのが 一般的だった 当時の背景を 反映したものでした また清少納言や 紫式部のように 宮廷に女房として仕えた 歌人や作家たちは 一級の知識人として 認められている存在でも ありました 高貴な生まれである 必要はありますが 結婚してからも 宮中で働いたり 知識人として キャリアを追求したりと 妻や母という役割以外の 自己実現ができる環境が 平安貴族の社会には あったということですね 今回は 乳母のいとの過去にも スポットが当たりました かつていとが流行り病で 夫と生まれたばかりの 子どもを亡くした時に 惟規の乳母として 為時の家にやって来た ということだったんですね このいとが 私食べなくても 太ってしまう 体でございますので と言うシーンは その後の 為時のリアクションも含め 本当に笑わせてもらいました 家が困窮していき 少しでも食いぶちを 減らさなければ という状況だと いとは考えたのでしょう そんな中で 沢山食べているわけでは ないのだが この大きな体で家にいるのが いたたまれなくなってしまった 緊張感ある場面が多い 光る君へ いとを演じる 信川 清順さんの ユーモラスな芝居に いつも救われています 平安時代は 后となった女性が 政治に強い影響力を 及ぼした時代でも ありました 一条天皇のもとを 訪れた詮子 詮子が現れた途端に 定子 伊周 高階貴子の間に ピリッとした空気が 流れました 円融天皇の時代 天皇のたった一人の子を 産んだにも関わらず 中宮に選ばれないという 辛酸をなめた詮子 彼女なりに長年鬱憤を 溜め込んでいた詮子は 実際自分の息子が 天皇になるやいなや それまでの憂さを 晴らさんとするかのように その権威を振るい始めた そうです 実資は 上臈の執り行ふは 首尾を知らざるに似る 公卿たちが天皇以外に 顎で使われたのでは 朝廷の身分秩序が 崩壊してしまうと 愚痴をこぼしています もうその片鱗が 見え始めていますが 今後道隆伊周定子ら 中関白家サイドと 詮子道長の 仲良し姉弟サイドの バトルは どんどんバチバチに なっていきます これは今後ますます激しく なっていくと思うので また次回以降 お話しできたらと思います 今はそれぞれ別の道を行く まひろと道長ですが この2人の葛藤は 離れていても どこか繋がっている ところがあります 今回2人は 同じ月を見上げながら それぞれが直面した 平安の身分制度の現実と 自分の無力さに 思いを巡らせていました まひろは 文字の読めない人を 一人でもなくしたいという 思いから 庶民の娘たねに 文字を教えます しかし たねの父親から 文字なんて 教えないでくれ 俺たちはお偉いさんの 慰み者じゃないと 突っぱねられてしまいます 道長の方はというと 直秀のような者の命が 無残に扱われることのない 世を作ってくださいとの まひろの言葉のままに 検非違使の改革案を 何度も提出していたんですね ここは胸が 熱くなりました そして これまで曖昧だった 直秀が殺されてしまった 理由ですが やはり流罪の手間を 省きたいがために 検非違使がしている 不正だったんですね 道長は検非違使の 非道なやり方を正すために 動いているんですが その改革案は 却下され続けている 逆に道隆は 下々の者のことは 下々の者に任せて おけばよいと 道長を叱責する始末です 平安の身分制度の壁は 強固ですね 身分が上の者からも 下の者からも 余計なことはするなと 言われる 身分が低いがために 虫けらのように 殺されてしまった 直秀と心を通わせていた まひろと道長だからこそ 他の貴族たちと違い 民の気持ちが わかるのですが 今の自分の力では どうすることも できないという 現実を思い知らされます 2人がやるせない思いで 見上げる月ですが 道長とまひろが 第12話で 決別して以降は 見上げる月が 満月ではなく 半月になっていますね 半分欠けた月が 2人がソウルメイト 魂の片割れを 求める気持ちのように 思われて なんとも切ない気持ちに なってしまいます というわけで 光る君へ第14回 星落ちてなお 語ってまいりました 平安のゴッドファーザー 藤原兼家の 見事な退場劇に 眼も心も奪われつつ 女性たちの 十人十色の生き方 そして志も 印象に残った回でした これからも できる限り毎週 光る君への動画を 投稿していきますので よろしければ チャンネル登録 お願いします いいね コメントも お待ちしております 今回も最後までご視聴 ありがとうございました それではまた次の動画で

7 comments
  1. いとさん、主君家族のこと真剣に考えるめっちゃ良い人だし、為時もいとに深く感謝しているのが分かって私も和みました。

  2. 秋風の(飽き風)の和歌が今回の第14回を貫いてるテーマという指摘はとても素晴らしいですね。

  3. 腑抜けてしまった道長を、柄本佑さんは実に巧く演じてましたね。感心しました。
    まひろの努力の甲斐もあり、現代日本では識字率も上がり、古文の授業でききょうの「枕草子」を学ぶことも出来ています。ただし「源氏物語」の方はなかなかの難物ですが…🤔

  4. いつも優しい語り口で和やかな気持ちで動画拝見しております
    わかりやすい解説ありがとうございます
    今後の動画も楽しみにしております

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