田舎の川
俺はジボタヤ今年で31歳になる サラリーマン人と少し違うところがあると したら車椅子ユーザーなところだろう学生 の頃趣味の登山の最中の怪我で車椅子の 生活となったこんな怪我をしてもう山には 行きたくないだろうといろんな人に言わ れるけど俺は今でも山に登る現在はフリー クライミングにのめり込んで いる職場は大手自動車部品の工場だ労働 条件に不満もないし人間関係も良好俺は 本当に人に恵まれているなと思っている ずっとこの工場でお世話になるものだと 思っていた俺に突然の移動事例があったの は春のこと本社勤務の事例が出たのだこれ には工場長をはめとして工場のみんなが 驚い た障害者を積極的に採用しているという 企業イメージを全面に押し出したいとと いう上層部の考えがある らしいそんなことで右から左に動かされ 迷惑先番ではあるが俺はサラリーマン上の 指示に逆らうことが 難しいこうして俺は慣れ親しんだ工場を 離れ知り合い1人いない本社へと移動に なっ た移動先は本社の総務部思った通り障害者 の採用枠だった俺を迎え入れるために色々 と夫てれたのが担当フロアの机の配置など から感じられる社長から時々に不自由な ところは改善すると言われ今後雇われるで あろう車椅ユーザーのために一肌ぬきに なっ た初めまして上久保舞ですジボさんが本社 になれるまでの指導がかり ですそう言って右手を差し出してきたのは なんだか動物に似ている可愛らしい女性 だった大抵のことは1人でできますが助け が必要な時はよろしくお願いしますそうお 願いするとはいと元気な返事彼女とは うまくやっていけそうだと少しだけ緊張が ほぐれたような気がし たああ君がジボ君んだね厄介なものを 押し付けられてうちも迷惑なんだよ ねが多いのか酒焼けした声で俺に話しかけ てきたのは課長の高田さんだ40代後半 くらいだと思うけど見るからにビールバラ で肌つやも悪い第一印象は不健康な人だ なって感じだったそっちに気を取られてい たので相当ブレなことを言われたのにも 気づかなかったジボですよろしくお願いし ます高田町の嫌みを無視したような感じに なったのが余計に悪かったのかもしれ ないに対して何も反応しない俺を食えない やだと認識したのだろう高田課長は苦しい 表情で自分のデスクへ
戻る気にしないであの人嫌みしか言わない からまさんが眉間にしを寄せて言う高田長 はあまり部下に好かれていないようだこう して俺の本社勤務がスタートしたはんと いうには取るに足らないことだと俺は思っ ている仕事はでもやっていたことと同じ ようなジムでマニュアルも整っており問題 はなかった少しだけ困ったことがあると すれば麻衣さんのことだ多分彼女は車椅 ユーザーに接する機会が今までなかったの だろうと思う何かと俺を特別扱いして しまうのだあまりに気を使われすぎて逆に 居心地が [音楽] 悪いあ私が取ってきます書類のファイルを 取りに行こうとした時麻衣さんが俺が動く より先に立ち上がろうとした大丈夫だよ 自分で取れるからできないことはちゃんと 自分から頼むからね俺の言葉に彼女は はっとした表情になるその表情を見てこれ は他の誰かにも同じことを言われたことが あるなって思った次の瞬間自分の行動を 恥じたように彼女の方が赤く なるちょっと今晩デートしようか俺がそう 言うとまいさんがえと聞き返してくる デートしようって言ったんだよだめ彼女は 戸惑ったような表情ではいと言った俺は 彼女の返事を聞いてからハンドリムを握り くドリを押す車椅子は俺の体の一部のよう にスムーズに 動く書類ファイルの棚の前でデスクを 振り返るとさんが心配そうにこちらを見て いる俺は大丈夫だよの意味を込めて小さく 彼女に手を振っ たこの日の仕事終わり俺は麻衣さんを食事 に誘った俺車通勤なんだよね駐車場まで 一緒に歩いてもらっていいかな待ち合わせ は本社の玄関彼女はちょっと不安そうな顔 をして俺を待っていた車椅子の俺はどうし ても彼女より視点が下になりげるになる 見上げた彼女は仕事中とは違うリップを つけていたメイクを直したのだろう仕事中 とは少しだけ違う彼女の横顔に少しだけ 見れてしまう別に俺が惚れっぽいわけじゃ ない彼女が魅力的なだけ だ車運転するんですね私なんてペーパー ドライバーで恥ずかしそうに笑うまさん何 でも表情に出てしまう彼女は正直な人いい なって思って しまうなんだお前ら2人でどっか行くのか ジボが入れるような店があるのか店を探す だけで夜が開ける ぞちょうど通りがかった高田長がガハハと 大声で笑いながら嫌みを言ってくるこの人 はずっとこうだ俺にだけじゃない部下に
対して失礼な言動が多いし差別的なことも 言う自分の失敗は部下になすりつけ知らん かをしているのも日常 高長は社長の娘向こらしくどれだけブレで も仕事ができなくても誰も意見できないの だと周りの同僚が教えてくれ [音楽] た高田課長にご心配かけて申し訳ないでも ちゃんとデートできる場所はリサーチ済み です俺は笑顔でそうすすると高町は悔し そうにちっと舌打ちをしたどんなを言って もダメージのない俺に苛立っているの だろう面白くなさそうな顔をして足早に 去っていっ た嫌みしか言うことがないのかなあの人 高田町の後ろ姿にまさんがべーっと舌を 出して呆れている俺は高々町の嫌みよりも 彼女の可愛い仕草が気になって少しだけ 笑っ たまさんはデートの間驚いてばかりで誘っ たとしては満足だっ た車に乗る際車椅子を畳むのを手伝おうと 彼女が手を伸ばしてきた俺がそれよりも先 にさっと車椅子を畳み座席の後ろへ置くの を見て彼女が目を丸くして いる店に着いた時も同様で自分で車椅子を セッティングして乗り換える俺を見て本当 に何でもできるんですねという大抵のこと はねできないこともあるよその時はどう するんです か予約したレストランの玄関へ向かう スロープでそんな会話をしたそりゃ助けて くださいって言うよできないことはでき ないんだからさ恥ずかしいことじゃないし そう言いながらレストランのドアを開けて 彼女をエスコートするまいさんはちょっと 照れくそうにありがとうと笑ってくれた今 は車椅子で入れる店も増えた俺は初めて 行く店を予約する時分が椅ユーザーである ことを伝えているそうしておくことで店側 も慌てることもないし同行者が変な気を 使うこともない予約席は大きな窓からこの レストラン自慢のイングリッシュガーデン のライトアップが見える特等席だっ た急にデートなんて言ってごめんねでも 指導がかりの君には俺のことを知って もらった方がいいかなって思ったん だ注文を一通りした後俺は急に誘ったこと を詫びるそしてはっと気がついたごめん 彼氏とかいるかな誤解され ないもし彼女に付き合っている男性がいる のなら大変な迷惑をかけてしまう危険性が ある焦る俺を見て麻衣さんは爆笑涙が出る ほど笑っている残念ながらそんな人いませ ん
から涙を吹きながら彼女が言う今更何を 言い出すのかと思っておかしくなったと 爆笑の理由を教えてくれたなんだか 笑い合ったおかげで彼女との距離が近づい た気がするそして彼女は誰にも言ってい ない秘密を俺に教えてくれた私も昔大怪我 をして一生歩けないかもって言われたこと があるんです思いがけない彼女の告白に俺 は驚いた麻衣さんは障害魔術をしていたの だという高校生の頃練習中に落馬し大怪我 をしたそうだその時意から総宣告された らしいあの時の絶望感を思い出すと今でも 夜目が覚めることがあるん ですそれは俺も経験したことだ今まで普通 だったことが普通じゃなくなるこれからの 自分の生活がどのようになるのか不安に 飲み込まれそうだった全く動かない自分の 足を見つめて涙をこぼしたこともある誰の 励ましも心に響くことがないそんな時期が 俺にももあっ た麻衣さんは幸運にもリハビリと手術を 繰り返し歩けるようになったそうだ今では あの事故は夢だったのではないかと思う時 があると話してくれた彼女が俺を必要以上 に気遣ってくれたのは自分が絶望した未来 を俺が体現していたからだろう本当に 優しくて正直な人だなって改めて思っ たジボさんと私は全然違うって分かってる んですでもどうしても自分と重ねてしまっ てすまなそうに頭を下げる麻衣さん俺は 謝る必要なんてないよと首を横に振った もう上場はしてないの俺の問いかけに彼女 は少し悲しそうな顔で頷くどうしても怖く てできなくなったのだと言っ たそっかあのさ今度の休みだけど俺は次の 休日彼女をまたデートに誘った 町に待った休日俺は麻衣さんを車で迎えに 行った目的地は内緒にしてあるできればお 弁当を作ってほしいなと図々しいお願いを しておい たまいさんはジボさんって神経太いですよ ねとちょっと呆れた顔で笑ってくれたから きっと用意してくれているのだと 思う車を走らせ着のは山の中にある崖の下 ここは不思議そうにそり立つ崖を見上げる 麻さん今からあれに登るから見ててよ俺が そう言うと麻衣さんは目を丸くする岩の下 にはいつものメンバーが顔を揃えていた俺 が車椅ユーザーになる前からの登山仲間 たちどうしても山を諦められない俺のため に手助けをして くれる大丈夫なんです 何でもできるって言っても大丈夫見てて俺 は彼女が心配そうに見上げる中友人たちの フォローを受けながらするすると岩を登っ
て見せる頂上までたどり着き彼女に手を 振ると彼女はなんだか泣き出しそうな顔で 手を振り返してくれた降りる時はロープと 加工機を使ってあっという間に地上に 戻るね大丈夫だっただろだからもも1度 チャレンジしてみない乗りたいんでしょ 本当は馬 に俺の言葉に麻衣さんが泣きながら何度も 頷いたずっと我慢していたのだろう もちろん上場に対する恐怖を自分が感じて いたのも嘘ではないと思うそれ以上に麻衣 さんは自分を大切に思ってくれている人 たちの心配を気にして上場から距離を置い ていたのだと思うこれ以上大切な人たちに 心配をかけたくない俺ははクライミングも 登山も諦められなかっ た彼女もきっと同じだと 思うしぼさん私胸を張って両親に大丈夫 って大丈夫だから心配しないでって言える 気が するまいさんの顔は涙でぐちゃぐちゃで ちょっとマスカラが剥げたりしてたけど やっぱり魅力的で綺麗だっ た本社に移動になってから2週間が経った 頃総務科で歓迎会を開いてくれることに なった歓迎会の場所は高級寿司屋普段自分 では足を踏み入れることがないような店だ 寿司は俺の大好物歓迎会を俺は楽しみにし てい たしかし当日事件が起きる俺が歓迎会が 開かれる高級寿司屋に到着したのは他の みんながほぼ集まった頃だった店に入ると 小さな階段が見えるカウンターの後ろを 通り階段にたどり着くには車椅子の幅が 邪魔して無理寿司屋の大将も俺を見て驚い た顔をしている多分車椅子ユーザーが来る と聞いていなかったのだろう高級寿司屋だ 接客だって素晴らしい店のはず本来なら俺 がこんなところで立ち王場をするはめに なることはないの だろうどうしたものと考えていると階段 から高々町がニヤニヤしながら降りてきた あらそこ通れないだめじゃないかそんな ものに乗ってるから通れないんだよ俺の 後ろにいた麻衣さんや数の同僚が息を飲む 高田町はもう少し酔っているようだった だらしなくネクタイを緩めながらヘラヘラ と笑うあそうだそれが通れないだけだから さ地べたを生ってここまでくればいいんだ 高田長は自分の言葉に自分で爆笑場の空気 は一気に凍りついた俺の頭の中をよぎって いたのは寿ってだけで正直高々町なんて 相手にもしたくもなかっ たほら張ってこいよ寿司食いたいって言っ てたじゃない
かこの檻でぶち切れたのはまさん俺の横を すり抜けてずと高々町に 近づくそしてのまま高高町のネクタイを 掴ん だ恥を知りなさいよこの豚 が麻衣さんが低い声でそううったその場に いた誰しもが一瞬空耳だと思った だろう高田町は麻衣さんの迫力にちょっと ひんでいるだめだこのままでは店内で乱闘 になりかねない俺はニコっと笑って大将を 見るそして明るく大将にお願いをした 大将俺どうしても大将の握った寿司が食べ てみたいですでも生るのは無理みたい特上 寿司を織りでお願いできませんか大将は よっしゃ任せとけと袖をまくる麻衣さんは 汚いものを投げ捨てるように課長の ネクタイを振り払って私にもと言った俺と 麻衣さんが大将が握ってくれた特上寿司を 持って歓迎会の会場を後にする同僚に聞い た話では主役の俺がいない歓迎会は白けた ムードでおつやのように静かだったそう だみんな高々町を睨みつけながらうまい 寿司を放ったらしいなんだか申し訳ない ような気がしたけどみんな寿司はうまかっ たと笑ってくれたのでちょっとだけ安心し た俺とマさんは高級寿司屋を後にして近く の公園で寿司を食べた怒りに任せてひょい パクっと寿司を口に放り込む麻さんちょ もっと味わって食べた方 がうるさいです私怒ってるん です怒りながら寿司を頬張る彼女を眺め ながら俺は高級寿司を堪能する大将の サービスだろう握りは普通の特上寿司より も多く入ってい た翌日会社に出社すると昨晩の出来事が 大変な騒ぎに発展した い高高町の態度に部下たちがぶち切れ一致 団結し人事と上司に訴えるという話にア然 としていたら君のことはただのきっかけだ よと同僚の1人が教えてくれた以前から 高々町の態度に不満を持っていたが社長の 娘向こという高々町の立場に我慢をし続け ていたのだというしかし昨晩の俺に対する 打を見てこれは人として許すことはできと みんな立ち上がったらしい俺としては寿司 は食べたしもういいかなってそんな気持ち でいたのだけどまさんに次に採用される人 のためにもですと言われ自分の無責任さを はじる俺は自分がご機嫌でいられればそれ でいいと思っていたところがある後の人の ことなんて考えてなかった人事が聞き取り 調査を始め俺の順番が来た調査のためにれ た会議室には社長も同しているこの事件を 重く見ている証拠 だろう娘向こが申し訳ないことをした私の
監督不届きだ許して ほしいいきなり社長に頭を下げられて恐縮 してしまう俺より先に聞き取り調査をされ た麻衣さんが昨晩の事件をこと細かに説明 しこれまでの経緯も全て話したらしいそれ 以外にもの同僚たちから高田課長の不正 なども聞き取りできたそう だジボ君高田は攻殻させて本社から去って もらおうと思っているそれで少しは君の気 も晴れるだろう か社長にそう言われ俺は少し考えるそれで は何も解決しないような気がするのだ再度 社長に高田課長をどう思うと聞かれ俺は 正直に自分の考えを伝えることにする かわいそうな人だなって思いますきっと 想像力が足りないだけですよ会ったばかり で何とも言えないですけど高田町のこと私 は嫌いじゃない [音楽] です社長は俺の言葉に驚いたように目を 見開いた俺はこう前置きした上で同僚たち から聞いていた高々町の嫌がらせを全て 社長と人事課長に証言 するそれでもやりチャンスは誰にでも必要 ですもちろん高か町にも ですきっと今回の騒ぎで心を入れ替える だろうと俺は社長に信言する俺は独身だ けど高田町には嫁も子供もいる守るものが 多い人ですチャンスを上げてください俺は そう言って社長に頭を下げ た君の心の広さには完封する私の娘向こを 許してくれて娘の家族を守ってくれてあれ のギフとして霊を言うよ ありがとう社長の言葉は俺の心にしみいる 言葉だった人のために心から頭を下げる ことができる人この人が会社の頂点なら この会社は安泰だいい会社なんだなって 改めて思っ た高田町のことを許したんだって ねにある休憩所でさんが 言う最初から怒ってないし許すってなんだ か存に聞こえ ない公園で一緒に寿司を食べてからまさん の態度はぐっ砕けたものになっていたほら 俺神経が太いでしょそれが取だしもう住ん だことだしじとっと横目で睨んでくる麻 さんに務めて明るく俺は振る舞う彼女が俺 のために怒ってくれているのだ 本当びっっくりするほど太い驚いちゃう器 もでかいし人間でき てる俺に合わせるように驚けてみせるま さんもう怒ってないって顔で笑いかけて くれる今度上場に行かない私の勇を見て ほしいなもちろん音もします俺の返事に まいさんは苦しないと笑う彼女の笑顔を見
てへの移動も悪くないって心の底から 思えるようになっ たその後高田課長からは土下座され どん引きした俺鼻水を流しながら抱きつい てこようとしたので全力で逃げたその様子 を見て同僚たちは笑いが止まらないふっと 風通しが良くなった瞬間だったと思うま さんも涙が出るくらい笑っていたちょっと 笑ってないで助けて よんでも自分でできるジボさんとは思え ないセリフですねそんな返事をされて俺は 困ってしまう高田課長はジボと言いながら 俺に抱きつくことを諦めてくれない私を 彼女にしてくれるなら助けてあげます俺に だけ聞こえる声で麻衣さんがそっとさいた 彼女は見かけによらず大胆なところがある そんなところも彼女の魅力 だ彼女と言わず結婚しよう よ俺の返事によしと椅子から腰をあげた 麻衣さんは高田町の前に仁王立ちになる私 の未来の夫に鼻水つけないでいただけます 彼女のこの一言でカがどっと湧いた あちこちから気の早い祝福の声が飛んでき た俺たちの未来は最高に幸せな はず結婚式が待ち通しなんて気が早すぎる だろう か俺の名前は石川正29歳 サラリーマン現在は大手アウトドア製品 製作会社の工場に勤務しているこの会社に 就職したのが二十歳になった頃だった最初 はアルバイトだったある日工場長から社員 にならないかと言葉をかけてもらっ た俺の学歴はちょっと変わって いる最終学歴は中学になる一応高校には2 年間通っていたんだけど結局卒業はし なかっ た勉強が退屈だったとかそういうわけじゃ ない俺にとって学校自体が退屈だったの だ幸い俺の両親は変わった人たちで俺が 高校に行かず山にのめり込んだり ケービングに夢中になったりしても笑って い たそのうち俺はバイトで金が溜まると山に こもり岩を相手に奮闘するように なる登山はもちろん好きだでも1番惹かれ たのは岩を登るクライミングだっ た現在でも働いて金がたまれば長期の休み を取り海外へ登りに行くそのために働い てると言っても過言では ないお前の仕事は丁寧だから助かる よ工場長は俺のことを買ってくれていて 何かと気にかけてくれて いる中途採用で入ってきた中卒後温かく 受け入れてくれて本当に感謝して いる工場長そんなに褒めたら図に乗る
よ久しぶりに聞く声が俺のことをからかっ ている工場で働く俺たちと同じ作業技を着 ていても彼女の魅力は隠しきれていない 加藤理科は本社勤務のメンテナンス担当だ 昨晩から調子の悪くなったシステムの確認 に本社から来たのだろう長い黒髪はどこ までもまっすぐで肌はしっとりとした当期 のよう左目の下に2つ並んだ鳴き袋が 可愛い俺は初めて会った時から彼女に夢中 だっ たなんだ来てたんならさっさと顔出せよ 嬉しくてつい軽口を叩いて しまうまさに会いに来てるわけじゃない から ねべーっと下を出して俺に言返す彼女は 無邪気に 見えるただ俺は知ってい た無邪気に見えるだけだということ を大体こんな返な場所にすぐに来る物好き なんて私くらいだよ工場長もさもっと丁寧 にシステム扱ったよ ね彼女の口の悪さは車内でも工場でも有名 だ飛び切りの美人なのに口が悪く 変人男どは荷の足を踏んでいる らしい今日は止まってくの俺の隣開いてる けどこの軽口もいつものこと俺が彼女に 夢中なのは工場内で周知の事実だだって顔 を見るたびに口説き続けているでも彼女は のらりくらりとそれをかわし続けてい た心が折れそうになる時もあったけどまあ ゆっくり口説き落とそうと思って いる工場長まさが投げがしたいって言って ます よいつも通り俺の言葉をかわしてリカは クスクス笑っ たその後リカは長と大事な話があると言っ て事務所に消えていっ た窓から見える工場長はすごく嬉しそう だ何かいいことがあったの だろうは俺が本社勤務です か仕事終わり工場長に呼び出されて言われ たのは本社へのA点だっ たもちろん 出世ということに なるどうやらリが例を持ってきた らしいお前は若いし仕事もできる本社で 働いても恥ずかしい人材じゃない若いお前 にはもっと上を目指して ほしい工場長は俺に向かって熱弁を 振るう俺は突然のことでちょっと戸惑った 会社からの事例だから拒否権はないの だろうけど俺はここが気に入っている第 本社なんて都会の中だ俺の生活の根本で ある山も岩肌もないこれは会社を辞める時 が来ただろうかと俺は真剣に悩ん
だ工場長が言うには俺のことを本社に押し てくれた らしい完全なる善意だったのだと 思う事例は出たんだから拒否権はないよ 本社には独身料があるからそこに住めば いいよリカはそう言って独身料の資料を 渡して くる俺は呆然としながらそれを受け取っ たまさの考えていることは分かるでもさ何 もやらないまま逃げるのはチキンってやつ だ ね彼女の言葉に俺は自分を古いたたせる 逃げるのと自分が選ぶのは 違う逃げるわけないだろやって やる売り言葉に買い言葉と言われればその 通り だこうして俺は慣れ親しんだ山奥の工場 から大都会の本社へと移動となったの だ本社への移動が決まり引き継ぎや 引っ越し準備でバタバタの毎日だったが やっと落ち着い た本社のビルを見上げるとあまりのでかさ に自然と口が開いてしまう人が頻繁に 出入りする様子を見ているだけでが回り そうだっ たしかもこのビル禁煙 らしい俺は最近片見の狭い喫煙車本社ビル に来て最初にしたことが喫煙所を探すこと だった受付けに社員賞を見せ自分の部署を 確認した後喫煙所の場所も教えて もらう修行時間にはまだ時間があっ た俺は一服しておこうと喫煙所に向かう やっぱりここに直行か よ細くて長いタバコは彼女の細い指に 似合って いる俺を待ち伏せしたのか彼女の ルーティンの一部なのかわからないけど朝 1番に会えたのは吉重 だおはよう火貸して よタバコを加えてると彼女はすぐに火を つけてくれる使っているのがのライター俺 が彼女の誕生日にプレゼントしたもの だ使い方が荒いのか傷がついている新しい のに変えたらどうかと聞いた時この傷が いいのだと彼女が言っ た小さな喫煙所で話もせずにお互いに タバコを ふかすいちいち会話を探さなくてもいい 彼女と一緒にいるのは居心地が いいえ あれ1本吸いを割って2本目を加えた瞬間 俺は彼女の姿を改めて見てしまっ たいつも工場で会う時は作業技なのだが 今朝の彼女は黒のスーツ姿にハイヒール だっ
たロングのスカートにはスリットが入って いるこんな姿を見るのは初めてで意識し 始めると同機が止まらなくなり俺は加えて タバコをそのまま灰皿に 押し付けもったいない吸わねえ の挙動不審な俺を見て機嫌そうに眉を 寄せるそしてふっと見たことないような 優しい顔で笑っ たあんたは神経が太いから大丈夫緊張すん な よ彼女は俺が初出勤に緊張して挙動不審な のだと勘違いしたらしい はっきり言って初出勤なんて屁でもなく 全くもって緊張などしてい ない俺を緊張させ挙動不審にさせているの が自分自身だという自覚を持って欲しいと 思ったあそれとまさの配属先の女上司 めちゃくちゃひどい女だから覚悟し て喫煙所の狭い出入り口を肩を並べて出た ところでリカが そして彼女の言葉の意味を俺はすぐに知る ことに なる俺の部署は理科の部署の絵花にある この広さだ顔をしょっちゅう合わすなんて ことは無理 だろう配属先に行くと廊下の階段で不穏な 空気が感じられ回れ右をして帰ろうかと 一瞬思っ たしかしリカに励まされたことを思い出し へのドアを 開けるこんな簡単な仕事にいつまでかかっ てるの残業台はあんたの小遣いじゃないの よドアを開けた途端鼓膜がキンとする くらいの金切り声が聞こえてき たキンキンと尖った高い声でその女性は 男性社員を前にして怒鳴りつけているどう やら彼女がリカの言っていた女上司だろう 小柄なのに迫力満点大きなはずの男性社員 がどんどん小さくなって いくできないならできないって言いなさい 能力がないのなら仕方ないわ今更努力し ますなんて言葉聞きたくないの よ男性社員が一言喋るたびに彼女はマシン ガンみたいに怒鳴り続けているよくあんな に人を罵る言葉が出てくるなって俺は変な ところに関心してしまった 全くこれで今日から中卒が入ってくる なんて私がいくら頑張っても足を引っ張ら れてばかり中卒を押しつけて私のキャリア を潰す つもりなるほど彼女の怒りの目先は俺の ようだ怒鳴られている男性社員が 八つ当たりの犠牲者といったところ だろう申し訳ないことをし た初めまして本日からこちらに移動になり
ました石川正中卒 です俺は挙手をしながらフロアに響き渡る くらいの声で最初の挨拶をかまして やるフロアが一瞬静まり返った怒り散らし ていた女上司もあけに取られ次の言葉が出 てこない 様子よろしくお願いし ます女上司に向かって頭を下げると彼女は はっと我に帰ったようだっ たその後の朝礼はまるで針のむ 状態女上司は俺を紹介する時に何かにつけ て中卒工場勤務中途採用を強調し たまるでそれが俺の価値を決めているよう な口調で正直聞いている途中で胸くそが 悪くなる本社の看板に泥を塗る未来しか 見えないけどせいぜい頑張り なさいなる上から目で俺にそういう女上司 は名前を井上のかさんと 言う39歳で課長だからなかなかのもの だろう彼女は出世欲が強いようで二言目に はキャリアと口にし た中卒ですがそこそこ使えるので安心して ください俺はニコっと笑ってそう げる大体卒なんてにされるのはれっこだ 平気な顔をしている俺を井上さんは 睨みつけて くるどうも俺の態度が気に入らない らしいあなたね仕事を簡単に考えすぎじゃ ないの定学歴のあんたに仕事を頼むなんて 恐ろしいわねみんなもそう でしょまるで小学校のホームルーム だしかし井上さんに同意をする社員が 少ないようでみんな一様に苦笑いを浮かべ て いるその様子に井上さんは悔しそうに歯を 食いしった綺麗な人なのに笑って見せて ほしいな今日まだ美上さんの笑顔を見て ないですよ 俺呑気な俺の言葉に井上さんはぶち切れて しまうバカにしないでよ今朝の朝礼の 終わりの挨拶はこの言葉だっ た本社でのの仕事は工場で俺がしていた 仕事と全く違うことばかりで戸惑うことも 多かったありがたいことに同僚たちは みんな優しい人たちで知らないことを聞け ば丁寧に教えて くれる初出勤の日の朝礼が良かったよう だ井上課長は毎日俺に対してひどい当たり で同僚たちは眉を潜めて いる大半が俺に同情的だったその理由は 簡単な こと俺は昔から仕事はしっかり丁寧にする 方で仕事ぶりで突っ込まれるようなことは ない井上課長が俺に文句をつつけるのは ほとんどが学歴について
だ根拠のない嫌がらせに近い様子に同僚 たちもそろそろ呆れてきて いる山が恋しいんじゃない の喫煙所でふっと支援を吐き出しながら 言われ俺は短くまあねと 答える朝と昼ここでリカと会うのが習慣に なってきたランチに誘ったこともあるが人 と食事をするのが嫌いだと断ら れるだから俺は彼女と食事に行ったことも 飲みに行ったこともなかった食べてるのを 見ないようにするからさ飲みに行か ないすると彼女は小さくため息をつき言っ た私ね人が食事してるのを見ると興奮する からだめ耳元でそうささやかれゾクっと する彼女は最後に丁寧にふっと息を 吹きかけて笑っ た完全に俺をからかっているのだあそう いえば午後からバイト君がマたちのフロア に配属になるよ優しくしてあげ て彼女の情報網は驚くほど精密で広い色々 な部署にメンテナンスで出入りをしている からだと教えてくれたけど車内の情報屋 みたいだリカが教えてくれた通り自分のフ に戻ると新しいバイト君の姿が見え たまだ若い彼の目の前には不機嫌な顔をし た井上 課長井上家長の迫力に押されバイトの彼は うきがち だ卒の次は高卒うちの部署を潰すきなの かしら君もよくうちのアルバイトに応募 できたわね自分の学歴が恥ずかしくない のまだ高校を出たばかりくらいの相手に 井上課長は辛辣な言葉を投げつけて いる彼女はハーバード大学を卒業している そうだそれは本当に誇れる学歴だと 思うただそれを鼻にかけて他の同僚たちを 全員隠し扱いする態度には壁whil だほらなんとか言ってみなさいよ高卒じゃ 語意も少ないのかしら情けないわ ね社会に出ていきなりの洗礼にバイト君の 体が少し震えているのに俺は気づいたそれ に気づくとダメだった気づいた時には彼と 井上課長の間に入り彼女を睨みつけていた 普段はヘラヘラ笑っている俺が睨みつけて くることに井上課長はちょっと動揺して いるようだっ た学歴がそんなに大切ですか初めて社会に 出てきた彼があなたに何か迷惑をかけまし たか温かく迎え入れ社会を教育していくの は社会人の先輩である俺たちの仕事じゃ ないです か普段とは違う俺の態度にフロアが 静まり返る 睨みつけられた井上課長は唇を噛みしめ た彼女は自分が理不尽なことを言っている
のは承知なのだろう承知だけど言わずには いられないの だ課長の私に中卒の平社員が立つなんて 自分の立場を湧きまえてないのね 図々し課長こそいい加減に気づいたらどう ですかあなたのせいでこの部署の雰囲気が 悪くなるってお互いに一歩も引かないと 睨み合う中卒が高卒を庇うのまあ底辺は 底辺同士で気が合うのかしら見苦しい わ馬鹿にしたように井上課長が言った全く 反省をする気はないようだあんたさ学歴 だけで人を笑うって最低だな今の自分の顔 見てみろよ習学すぎて笑うぞ 俺のこの一言で井上課長はぶち切れた今 まで溜まっていたストレスや不満が一気に 噴火したような様子で 驚くもはや聞き取ることができないような 早口で俺のことをのり 続けるあんたなんかこの部署から追放して もらう からそう言い残し井上課長は部長室へ 駆け込んで いくどうせ部長たちにのことを言い当てる つもり だろう部長室から社員として不適合ですと めく井上課長の声が聞こえてき たバイト君はすっかり怯えてしまって いる俺は彼の肩を抱いてこう言ってやっ たこれ以上のことはそそうないから免疫が ついたと思ったらいいと思うよ俺の言葉に バイト君は泣き笑いみたいな表情で小さく 頷いた 井上課長の報告が元で部署全体が人事と 部長の聞き取り対象となる1人1人部長と 人事担当との面談となった俺は騒動を 起こした長方人ということで1時間ほどの 聞き取りと面談があった何も隠すことも ないので俺は正直に全て 話す上司である井上課長を多少なりとも 罵ってしまったことも話した [音楽] 俺は本社に必要のない人間かもしれません 工場勤務に戻していただけれ ば最後にこれだけは言っておこうと思って いた自分の意思だけはしっかりと伝えて おく俺の言葉に部長は何も答えてはくれ なかっ た最終的に下ったさは驚くべきものだっ た社内不適合者の楽をされのが俺ではなく 井上課長の方だったので ある部長室から出てきた井上課長は少水し きってい た移動の事例を握りしめ今にも倒れそうに フラフラと歩いてデスクに 戻るそのまま黙々と私物をダンボールに
詰め何も言い残さず部署を去っ た井上課長の移動先は俺がいた山奥の工場 あかさな左川人事だっ た数ヶ月後俺は久しぶりにあの工場に顔 出し たメンテナンスに行くリカに同行したの だリカは仕事だが俺は有給休暇を使っての お 休み最近ソロキャンプを始めたというリカ と夜は一緒にキャンプをする予定だ ウキウキしないわけが ないお土産をだし工場長に挨拶をし たなんか立派になった なちょっと涙ぐんでいるようでひょっと すると息子が帰ってきたような気になった のかもしれ ないこんなことにどれだけ時間かけてるの 残業台で小遣いを稼ぐつもり規制中じゃ ない事務所内から相変わらずの声が響いて くる井上課長の怒鳴り声 だ数ヶ月経過したが反省の色は全く見え ないらしい毎日パートさんたちを 怒鳴り散らしたり社員をばかにしたりと 忙しいそうだ二言目にはハーバード大学を 卒業した私がとこの現場にいることを嘆い ている らしいそんな態度だから職場では浮き まくりもちろん好意な社員もいなく数ヶ月 が経過したそう だネは悪い子じゃないとは思うんだけど ね工場長は困ったように頭を描い たリカは井上課長の怒鳴り声を気に止める ことなく事務所のドアを全開にする突然 ドアが開き井上課長が驚いたようにこちら を見 たリカの後ろにいる俺の姿を見つけ鬼の ような行走になる以前よりも凄んだような 顔になったなと思った 井上さん今からあなたは有給を消化して くださいこれは人事からの命令 ですリカはそう言ってさっさと井上課長の 休暇届けを書き工場長に反抗くださいと 差し出す勝手なことしない で休暇届を取り返そうと腕を伸ばすがリカ との査で奪い返すことができないそのまま カは井上の腕を これからキャンプですよ嬉しいです ねそう言って笑っ たきょとんとした表情の井上さんをその まま事務所から連れ出し乗ってきた俺の車 に 押し込む私キャンプなんか行かないわ よ井上課長のこの叫びをスタートの合図に 俺はアクセルを踏み込ん だ機嫌直してくださいよ井上課長
パチパチと焚き火の中で木がはぜる音が 響く焚き火を囲んで俺たちは座っていた 強引に連れて来られた井上課長は作業儀の ままむすっとした表情で座って いるリカは俺が作った魚介のアヒジを クリームパスタに味変するのに夢中 だあんたに何が分かるの私には私の教示が あるの 不思議なもので夜に焚き火を囲むと本音が こぼれ落ちてくることが あるふっ井上課長の肩の力が抜けたような 気がし たあんたたち男は私たち女に言うじゃない 女だからとか女のくせにと かだから私も言うのよ自分の唯一の武器で ある学歴を武器に戦ってきたの男性社会で 生き残るって大変なの わかるぽつりぽつりと話す井上課長の声は 聞いたことがないくらい 弱々しい彼女の告白の合にリカがずるずる とパスタをすする音が 響くリカパスタはすするな 亀俺の言葉にリカは一層大きくパスタを すすっ たそんな俺たちを見てクスクスと井上課長 が 笑う加藤さんはそんなこと美人も考えた ことなんてないみたい ねそんなこと言う男は実力で踏みつけるば 黙る からリカはそう言って物騒な笑を 浮かべる井上課長は学歴がなくても井上 課長ですよ人を下めなくても自分の足で 生い上がれる でしょ社会に出たら学歴なんて関係ないと 思いますよだけどあなたの学歴を警視して いるわけじゃ ない俺はなるべく伝わるように言葉を選ん で真剣に井上課長に 伝える変に誤解をさせたくなかっ たそうね君の言う通りねちょっと頑張り すぎてたかも 私ふっ笑った井上課長はやっぱり美人だっ た一瞬井上課長に見れた俺に気づいたのか リカがパスタをずるずると生大にすっ た翌朝俺は久しぶりに岩に 取りつくフリークライミングの勘を 取り戻すのにそんなに時間はかからなかっ た対岸の下でリカと井上課長が俺を見上げ て いるあれは売薬済みですよ 突然静かな参観にリカの声が響き 渡る一体何事かと思い岩から降りた後井上 課長にこっそり聞いてみ た加藤さんに聞いたのよ石川君の彼女なの
ってそしたら彼女にっこり笑ってあれは 売薬済みですよだっ て井上課長は私も憎からずを思っているの に残念と 笑う突然のき到来に挙動不審になりそう だリカの口から直接その言葉を聞くまで俺 は頑張り ます井上課長に頭を下げて総宣言 する彼女は振られちゃったわと笑った