【演劇】MOTHER 君わらひたまふことなかれ 劇団福井青年劇場2000年上演作品

【演劇】MOTHER 君わらひたまふことなかれ 劇団福井青年劇場2000年上演作品



23年前のお芝居です。映像がケーブルテレビさんのしか残っていないので使わせてもらっています。ごめんなさい。記録ということでどうかご容赦ください。

劇団福井青年劇場第55回公演
MOTHER
君わらひたまふことなかれ
作/マキノノゾミ 演出/佐々木雪雄

与謝野晶子と与謝野鉄幹
そして彼らをめぐる人々の
おかしくも涙ぐましい物語

会場 ハートピア春江小ホール
日時 2000年6月9日〜11日
後援 春江町文化振興事業団

演出より

人を恋うる歌   佐々木雪雄

「妻を嫁とらば才たけて、御目麗しく情けあり……」

 劇中歌われるこの歌は、与謝野鉄幹の詩である。与謝野晶子を妻とした鉄幹は、確かに才たけた女性を選んだわけだ。「御目麗しく」の方はどうか……。

 与謝野晶子といえば「山川登美子」という名を思い浮かべる方も多いと思うが、ご存じのように、この二人の女性は、同時期に鉄幹を師と仰ぎ、且つ恋の対象としていた。今回の稽古に入る当初、数々の資料を集めて演出の糧としたが、その中には晶子と登美子の写真もあって、見比べてみると、どうみても登美子の方が美人なのだ。では鉄幹は「御目麗しく」よりも「才たけた」方を選んだのか?いや、これは僕の想像だが、晶子と登美子の性格の差というか人間性の差というか、当時妻子ある身であった鉄幹の元へ強引に押し掛けたのは晶子であり、登美子はというと、郷里の小浜で持ち上がった縁談を受け入れて、鉄幹の元を去ってしまうのである。(夫となった男性が結核で亡くなり、彼女は再び鉄幹の元へと出ていくのだが、すでに夫からうつされていた結核で登美子自身も死んでしまう。)これは、何事にも控え目で「晴れがましい」ことをきらう若狭人のなんとも奥ゆかしい性質を、如実に表しているなぁとつくづく思ったのである。ちなみに晶子は、劇中にも萬里が語るように堺の菓子問屋の娘、大坂人なのだ。土地柄がつくる人柄(!?)の違いではないだろうか?「想い」は強くもっているのに、一歩を踏み出せないでいる登美子に、歌・恋のライバルの晶子はこんな歌を送っている。

「星の子の あまりに弱し 袂あげて 魔にも鬼にも 勝たむと云へな」

 「人の世の 才秀でたる わが友の 名末かなし 今日秋くれぬ」

恋敵にでもエールを送る晶子。そんな晶子に情の深さをも感じてしまうのは僕だけだろうか?

§余談§
今回の舞台装置の中に扇子がおかれている。この扇子には、山川登美子直筆の和歌(鉄幹への恋情だと思う)と、それに対する鉄幹直筆の評が書かれている。客席からは見えないと思うので紹介しておく。

「手づくりの いちごを君に 含ません その口紅の 色さめ始むまで」 登美子

「濃情あふれたり」 鉄幹:評

キャスト
与謝野晶子 内田博子
与謝野 寛 高橋秀典
北原 白秋 重盛政史
石川 啄木 内嶋淳浩
平野 萬里 大西順二
佐藤 春夫 榎ちひろ(深海シガレットムーン)
大杉  栄 松並雅也
管野須賀子 三上光代
平塚 明子 宇城智子
刑事A(蕪木貴一郎)湯浅弘祥(演劇団MAFF)
刑事B(安土兵助)岩永利明(賛助出演)

スタッフ
演 出 佐々木雪雄
装置プランナー 打田チカオ
装 置 音無惣一郎
照 明 松並 雅也・宇城 智子
衣 装 木村 明子・田中佳余子
小道具 岩堀由佳代
効 果 重盛 政史
オペレーター 禿氏真樹子(深海シガレットムーン)
制 作 大西 順二・三上 光代

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