「在日として生きていくのは簡単ではない」全国唯一の“交換授業”で見えた朝鮮学校の今「安心して学校生活を送ることが自己肯定感に」国どうしの対立を超えた友好も

「在日として生きていくのは簡単ではない」全国唯一の“交換授業”で見えた朝鮮学校の今「安心して学校生活を送ることが自己肯定感に」国どうしの対立を超えた友好も



国家どうしの争いや、異なるルーツがある人たちへの攻撃があいつぐなか、何十年にもわたり交流をつづけている場所があります。
在日コリアンの子どもたちが通う道内唯一の朝鮮学校です。日本人と国籍や民族をこえた交流に、分断を越えるヒントをさぐります。
全国で唯一!朝鮮学校の“交換授業”日本人の教師が見た教育現場
・日本の公立学校の教員(授業の様子)
「ひっかけて前に出す、これと同じ仕組みがスマホとかコンピュータの中に入っている」
先生が話しているのは日本語ですが、教室に貼られているのはハングル文字。
ここは札幌市清田区にある、北海道朝鮮初中高級学校。
この日は、日本の公立学校で教える先生たちとの「交換授業」です。
・北海道朝鮮初中高級学校 朴大宇校長
「わからないがゆえに差別や偏見が生まれる場面もたくさん見て来た」
・日本の公立学校の教員(高校)
「学問の世界では分け隔てなくみんな一緒なので、こういう機会があれば参加したいと思って参加しました」
・北海道朝鮮初中高級学校 朴大宇校長
「民族教育はこういう教育をしているというのをどんどん発信していきたい。わからないがゆえに差別や偏見が生まれる場面もたくさん見て来た。そうではないということを知らせていきたい」
・教員(2024年・北海道朝鮮初中高級学校)
「手で(音階を)表現してみよう」
6歳から15歳まで、27人の在日コリアン4世、5世が通っていて、民族の歴史や文化、朝鮮語を学びます。
好きなアニメやスポーツは、日本の学校に通う子どもたちと変わりません。
「在日コリアンとして生きていくのは簡単なことではない」
・北海道朝鮮初中高級学校 朴大宇校長
「在日コリアンとして生きていくのは簡単なことではないので、何か自分で得た答えがあれば堂々と生きていける」
毎年開かれている「交換授業」も、去年で30回目。日本の教員が教壇に立つのは、全国でも唯一の取り組みだといいます。
・日本の教員
「みんなじゃんけんぽんってなんていうの?」
・生徒
「どーるがっぽ!」
ことしは、2、30代の日本の教員も教壇に立ちました。
・北海道朝鮮初中高級学校の教員(20代)
「国と国が対立する構図を人と人の対立として落とし込もうとするのを感じるけど、支援してくれる日本の方たちがたくさんいることを身をもって実感した」
・OG保護者「安心して学校生活を送ることがより自己肯定感を持てる」
太平洋戦争が終わるまでの間、日本は朝鮮半島を植民地支配しました。
職を求め、あるいは強制連行により日本に渡った朝鮮の人たちのうち、生活上の理由などから、帰国しない道を選んだ人たちもいました。
朝鮮の文化を学ぶことができる場所を作ろうとする動きが全国で強まり、道内では1961年に創立。
しかし、1994年には東京で女子生徒の制服が切られるなど、朝鮮学校への攻撃の声はSNSにも広がっています。
卒業生であり元教員の李慧娘さんは、長女が朝鮮学校に通っています。
自分のルーツに、誇りを持てる経験をしてほしいと話します。
・OG・元教員・生徒の母親 李慧娘さん
「日本の社会で成長する過程で、朝鮮人として生まれたくなかったと思うかもしれない。安心して学校生活を送ることがより自己肯定感を持てる」
しかし、朝鮮学校は高校無償化の対象外。運営費は、学費のほか在日コリアンや日本の支援者からの寄付金で賄われています。
「朝鮮学校を守ろう」を合言葉に、日本人と一緒に続けてきたイベントは他にも…。
「はだしで植えなきゃならないんだけどいいですか?」
空知地方の長沼町ではかつて、ソビエトや朝鮮半島の有事を見据えミサイル基地の建設が予定されていました。
1976年、日朝の平和を願う日本の団体が、ここで育った米を朝鮮学校へ贈りました。それ以来、米や野菜の寄贈が続いています。
・中級部の生徒
「汚くなったけどやってよかった」
「いつもよりお米もおいしく感じるかな」
去年の夏、学校のグラウンドには全国の朝鮮学校の卒業生や、日本人の支援者らも集まりました。
・イベントを主催したOB 崔輝勇さん
「ひととひとの関わり合いを大切にしながらコミュニティを広く深くしていくことが青年たちができる役割だと思っている。(母校は)いつでも帰ってこれるふるさとだと思っているので、これからも大事にしていきたい」
国籍をこえ、人と人が生み出す「平和」は、目を凝らすと私たちの目の前に存在しています。

堀啓知キャスター)
いま日本で暮らす外国人のかたも、その地域でコミュニティをつくっていますが、朝鮮学校のように学校がコミュニティの場として大きな役割を果たしているかが分かりますね。

世永聖奈キャスター)
札幌のように、地域の日本人との交流が長く続いているのは全国の朝鮮学校でも珍しいということです。

堀キャスター)
外国人に対する排斥の動きが高まっていますが、攻撃するのは交流のない地域外の人たちかとも思いますが、朝鮮学校のようにどう交流していくかがヒントになりそうです。地域に共に生きる仲間として、何ができるか。そばにいる誰かを思うように、ひとりひとりが考えていきたいですね。