【猟銃許可取り消し訴訟】判決見直しか最高裁弁論、原告ハンター「汚名返上し安心して活動できるように」被告の北海道側「危険性を過小評価することは許されない」

【猟銃許可取り消し訴訟】判決見直しか最高裁弁論、原告ハンター「汚名返上し安心して活動できるように」被告の北海道側「危険性を過小評価することは許されない」



8年前、北海道砂川市でクマの駆除をめぐり、猟銃の所持許可を取り消されたハンターがいます。ハンターにとって魂ともいえる猟銃を取り戻すため、27日、最高裁の法廷で語りました。

北海道猟友会 砂川支部長 池上治男さん(76)
「7年だよ、7年、長いな…、長かったわ。7年の長きを耐えて今日東京に行くってやつだな」

新千歳空港に向かう、北海道猟友会・砂川支部長の池上治男さん76歳。目的地は、最高裁判所です。

池上治男さん
「札幌高裁の判決は事実をねじ曲げたような話になっている。最高裁では調べ尽くしてくれると思う」

池上さんの手にはいま、猟銃がありません。北海道公安委員会に、許可を取り消されたからです。

池上さんは最高裁で、どうしても問いたいことがあります。

池上治男さん
「われわれハンターは農家や地域住民のために労力を惜しまずやるけども、後から鉄砲を取り上げるとかおかしくないかということ」

■きっかけは、要請を受けて発砲したクマ駆除

池上さんが猟銃を取り上げられたきっかけは、2018年、砂川市内に現れたクマを撃ったことでした。

自治体から、強い要請を受けての駆除だったといいます。

北海道猟友会 砂川支部長 池上治男さん(76)
「住宅密集地域ではないし、地域住民も怖がっているので、実際に朝窓を開けたらクマがいたと。どうしても駆除してほしいと」

現場には、警察官や市の職員も立ち会っていました。

池上治男さん
「現場の警察官も、市の職員も、みんなで良かったなと」

ところが翌年になって、「住宅に弾が当たる恐れがあった」として道の公安委員会によって、猟銃の所持許可が取り消されたのです。

池上治男さん
「この場所で安土(バックストック)がなくて水平で建物が見えていたら撃たない」

■1審の札幌地裁は訴えを認め、2審の札幌高裁は一転して…

池上さんは、猟銃所持の許可取り消しは違法だとして、道を提訴。

1審の札幌地裁は、池上さんの訴えを認めました。

一方、おととしの2審・札幌高裁は、弾が障害物に当たって軌道を変える“跳弾”が建物や現場にいた警察官らに当たる危険があったとし、逆転敗訴を言い渡しました。

北海道猟友会 砂川支部長 池上治男さん(76)
「近距離で撃って、あちこち跳弾すると言われたら、誰も撃てなくなる。札幌高裁の判決の本当に重要な点は、常識が通らなくなったこと」

■猟銃を所持せず7年間、毎日パトロール

池上さんは猟銃がない7年間も、パトロールを毎日続けてきました。

池上治男さん
「シカを一生懸命食べてます。逃げる気配はありません。?箱わなクマノイズ」

出没があれば、ほぼ全ての現場に駆けつけます。

■去年12月、最高裁が弁論開始を決定

そんな池上さんのもとに、去年12月、追い風が吹きました。最高裁が弁論の場を開くと決めたのです。

最高裁は、弁論なしに高裁の判決を変えることができません。弁論を開くことはすなわち、結論が変わる可能性が高まったことを意味します。

村田峰史カメラマン
「午後2時30分です。池上さんが最高裁判所に入りました」

27日、最高裁の法廷に立った、池上さん。

砂川市から要請を受けて出動し、住民の避難状況や斜面にいたクマの状況などを十分に確認したうえで発砲したと述べ、処分の取り消しを求めました。

池上治男さんの意見陳述
「私は、何年にもわたって農家、地域住民の安全を念頭にハンターを続けてきました。“銃を持たないハンター”の汚名を返上し、正常で安心してハンター活動ができるようにしていただきたい」

これに対し、被告の北海道側は、池上さんについて、「草木が茂り、見通しの悪い斜面に向けて撃ち、見通しが悪いときは発砲しないことなどに違反している」「ヒグマ駆除の場合でも危険性を過小評価することは許されない」などとして、上告の棄却を求めました。

■弁論を終えた池上さん「人のために役立つハンターでいたい」

北海道猟友会 砂川支部長 池上治男さん(76)
「弁論の場で、短い時間だけども言いたいこと、大事なことを言ってきたつもり。私の信念である人のためにということ、銃を持った以上は人のために役に立つようなハンターでいたい。今日の弁論があったことで、多くの人がある程度理解をしてくれていると思う」

■被告の北海道側「危険性の過小評価は許されない」上告棄却求める

世永聖奈キャスター)
池上さんの裁判をめぐっては、ほかのハンターの間でも「自分も発砲の際に責任を問われかねない」との懸念が広がっていて、最高裁判決は、駆除の在り方にも関わってきそうです。

堀内大輝キャスター
最大の争点は「自治体の依頼で出動し、バックストップがあると判断して発砲した池上さんに対し、猟銃の所持許可の取消が、重すぎるかどうか」です。

池上さんの側は「高裁判決は、ハンターの公務としての性質や許可取り消しの影響を十分に考慮していない」などと主張。処分の取り消しを訴えました。

一方、道の側は、「ヒグマ駆除の場合でも、危険性の過小評価は許されない」などとし、上告の棄却を求めました。

世永キャスター)
最高裁の“弁論”は、かなり珍しいということですが、全国でクマの問題が相次いでいることも影響しているのでしょうか?

堀内キャスター)
元札幌地裁の裁判官でもある内田健太弁護士に聞きました。

■最高裁の弁論「社会的に重要な問題、しっかりと議論」と判断か

▽判決は8年前の状況を前提に判断されるので、社会情勢の変化に左右されない。
▽ただし「社会的に重要な問題のため、しっかり議論をした上で判決を下すべき」との価値判断があった可能性は高い。

世永キャスター)
池上さんは来月で77歳。高裁への差戻しではなく、最高裁が自らその場で判決を出してほしいと望んでいます。判決は3月27日に言い渡されます。

3 comments
  1. 最高裁の判決は重い。サラ金の上限金利等が決まったとたん、社会情勢も変わってサラ金産業は衰退した。
    銃免許取り上げと言う判決が出れば、ハンタ-もクマを撃たなくなるだろうし、箱罠の設置場所も民家から5km
    位離れた山奥でしか罠をしかけれない(3km位の場所で箱罠のクマを撃ったら当たらなくて民家に届く可能性があるとか
    言われかねない=何を言い出すかわからない程極端な可能性で判断した高裁だから)

    全国のハンタ-が撃たないなら警察が新たな内部組織を立ち上げて駆除するしかない。と言うか何故今まで
    そうしなかったんだろう、国民の生命と財産を守る義務があるんだから、民家に近い場所へ出てきたら国または
    その下部組織(警察)が対応していれば問題なかったのにね。環境省(国立公園内)林野庁、市町村との
    調整なしに新しい熊駆除組織が独断でどこでも駆除できるシステムを作れば一番いいよ

    趣味や人の役に立ちたいとも思いで、激安の報酬で対応してくれた方ハンタ-さん達にこれ以上お願いするのは辞めるべき。
    そういう意味で最高裁は棄却しても良いかと。そのうえで公安の判断は重すぎるとして1時間の講習で免許を再交付

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