第八回は、「十五、魅惑 十六、客間の女王」をお送りいたします。
前編一〜九話の総集編も配信しております!
「十五 魅惑」
では、青木淳が死の間際に託した時計の持ち主を探すはずの信一郎が、美貌の瑠璃子夫人に心を奪われていく様子が描かれる。最初の夜の帝劇デートとも呼べる密会シーンがあり、信一郎の人生観や家庭生活すら揺るがすほどの“魅惑”が強調される。
「十六 客間の女王」
では、“夫人の私邸で二人きり”と期待して訪ねた信一郎が、実際には多くの男性客と相席し、文学論を交わす場に巻き込まれます。そこで、夫人の社交スキルの高さと“女王”ぶりをまざまざと見せつけられ、自分が想像したほどの“特別扱い”ではなかったことを痛感し、失意と嫉妬を味わう。
「瑠璃子夫人は、あくまで自由奔放かつ社交性に富み、同時に自分を唯一無二の存在だと思わせる魔性を備えている」
信一郎の内心の揺れ動きが鮮明に描かれる。時計の謎や故・青木淳への責任感は一時かすみがちになり、甘美な危うさをはらんだ恋愛模様が加速していく!
■この回の登場人物
渥美信一郎(あつみ しんいちろう)
主人公。新婚ながら、亡くなった青年(青木淳)の遺した“時計の返却”をきっかけに瑠璃子夫人と出会い、その魅惑に強く惹かれていく。
静子(しずこ)
信一郎の新妻。夫が外出するたびに無邪気に見送るが、信一郎はそんな静子に後ろめたさを感じはじめている。
瑠璃子夫人(るりこ ふじん)
美貌と気品を兼ね備えた女性。慈善音楽会に信一郎を招待し、さらに夜の帝劇へと連れ出すなど、奔放な振る舞いを見せる。青木淳との関係、腕時計の真の持ち主か否かなど、多くの謎をはらむ。
青木 淳(あおき じゅん)
既に故人。作中には登場しないが、信一郎が忘れられない“死の間際の青年”として回想され、瑠璃子夫人と事件を結びつける要因となる。
セザレヴィッチ兄妹
露西亜から来た若い音楽家の兄妹。上野で催された慈善演奏会で演奏を披露する。妹は「アンナ・セザレヴィッチ」、兄は「ニコライ・セザレヴィッチ」。
アンナは人形のように美しい少女で、兄は天才肌の奔放な演奏スタイルを持つピアニスト。
小山男爵(こやま だんしゃく)
外務省に勤める青年。貴族的な態度で文学論を語るが、信一郎とも口論気味になる。
永島 龍太(ながしま りゅうた)
洋画家。
三宅(みやけ)
帝大文科の学生。将来は作家志望。紅葉を通俗小説として一刀両断するなど、文学談議で信一郎と対立。
後に登場する秋山正雄の“受け売り”とも揶揄される。
阿部さん(あべ さん)
慶応の理財科に在籍。第一銀行重役である阿部保の息子。
深井さん(ふかい さん)
日本生命へ勤める若い男。高等商業(高商)出身。
寺島さん(てらしま さん)
近代劇協会に所属していたことのある人物。演劇方面に関わりのある青年。
芳岡さん(よしおか さん)
伯爵家の令息。名門の子弟ということで来客のひとりに名を連ねる。
富田さん(とみた さん)
政友会の少壮代議士として知られる政治家。若手議員の一人。
秋山 正雄(あきやま まさお)
“赤門派”の新進作家。かつて一高(旧制第一高等学校)時代の先輩にあたる。
信一郎の挙げた尾崎紅葉を「通俗小説」とばっさり切り捨てるなど、辛辣な批評を行い周囲を圧倒する。
瑠璃子夫人とはすでに旧知の仲らしく、邸宅にあらわれるなり文学談義をリードする。
愛と憎しみ、復讐、そして社会的階級の葛藤を描いた長編小説です。
『真珠夫人』は、1920年(大正9年)に連載が始まった作品です。菊池寛によって執筆され、『読売新聞』で連載されました。その後、長編小説として刊行され、大正時代を代表する名作の一つとして広く知られています。
今から約105年前、1920年(大正9年)に執筆されております。大正時代という日本の近代化が進む中で書かれ、当時の社会情勢や価値観が色濃く反映されています。
菊池寛は、この作品を通じて人間の心理や社会の矛盾、特に女性の立場や道徳観に鋭く迫りました。これが現代でも読まれ続ける理由の一つです。100年以上経った現在でも、そのテーマ性や人間描写は古びることなく、普遍的な魅力を持っています。
1920年(大正9年)は、日本が大正デモクラシーと呼ばれる時代の中で、大きな社会変動と近代化を経験していた時期です。
『真珠夫人』は、当時の日本社会における女性の立場や、家族や社会的な制約の中での葛藤。特に、女性の自立と愛憎の複雑な感情がテーマが描かれています。
・愛と復讐のはざまで揺れる人間の心の弱さと強さ。
・社会的階級や家族の期待に縛られた女性の苦悩。
・復讐や成功によっても癒されない孤独と空虚感。
女性の自立と誇り:
瑠璃子は、当時の女性像とは異なり、ただ受け身でいるのではなく、知性と意志を持って戦う。
階級社会の矛盾:
貴族階級が衰退し、新興成金が台頭する時代背景が色濃く描かれている。
復讐と正義:
瑠璃子の復讐は、単なる個人的な恨みではなく、不正な社会構造への抵抗として描かれる。
この物語は、単なる恋愛小説ではなく、社会批判と人間ドラマが融合した作品であり、ドラマ化もされるほどの人気を博しました。
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ここまでのお話
1. 奇禍
信一郎は青年青木淳と偶然出会い、不幸にも事故に巻き込まれ、青木淳が命を落す。最後の言葉「瑠璃子」と腕時計が、信一郎の運命を大きく変えていく。
2. 返すべき時計
信一郎は青木淳から託された時計を「瑠璃子」に返そうと決意する。
3. 美しき遅参者
瑠璃子が登場。信一郎は彼女の魅力に惹かれていく。
4. 女王蜘蛛
瑠璃子は周囲の男性を惹きつける「女王蜘蛛」とよばれる女帝だった。
信一郎も瑠璃子の魅惑に巻き込まれていく。
5. そのかみの事
瑠璃子の過去が描かれる。美しい男女と大正の実業家莊田勝平が登場。三人の小さな諍いが物語を大きく動かしていく。
6.父と子
瑠璃子の過去にうつる。瑠璃子の父と兄の諍いが描かれる。
7. 買ひ得るか
瑠璃子の父が、杉野子爵からの縁談を拒絶する一方、瑠璃子は家庭の経済的苦境を理解し、自己犠牲的な決断を下す。
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毎週土曜夜八時配信予定です!
1. 奇禍
2. 返すべき時計
3. 美しき遅参者
4. 女王蜘蛛
5. そのかみの事
6. 父と子
7. 買ひ得るか
8. 罠
9. ユーヂット
10. 美奈子
11. 心の武装
12. 護りの騎士
13. 余りに脆き
14. 嵐を衝いて
15. 魅惑
16. 客間の女王
17. 汝妖婦よ
18. 面罵
19. 彼女の云分
20. 初恋
21. 箱根行
22. ある三角関係
23. 夜の密語
24. 約束の夜に
25. 一条の光
26. 火を煽る者
27. 破裂点
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登場人物
・渥美信一郎
青木淳から託された時計を返そうと決意する。
・青木淳
事故で亡くなるが、時計と「瑠璃子」という名前が彼の思いを示す。
・瑠璃子
青木が最後に遺した名前。彼にとって特別な存在。
美貌と気品を持つ女性として登場。青木淳の死に関連している。
・静子
信一郎の妻として、彼の行動に影響を与える背景的存在。
■この動画の目次
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