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1959年(昭和34年)12月24日~翌年10月31日 『北海道新聞、中日新聞、神港新聞に連載』
「樅の木は残った」が、毎日出版文化賞を受賞(辞退)。演劇化、映画化、テレビドラマ化がつづき、TBSの「山本周五郎アワー」が人気を博します。脂ののった56才の周五郎が著した、幕末小説。お聴きください。
「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」に続く作品
幕末、東北の小藩出身の青年が、学問の道を志しながら、激動期の日本に翻弄されていきます。
どう生きるのか? 新しい主義の台頭に葛藤する若者たちの姿を、小説の達人山本周五郎が描きます。
井伊直弼が大老に就任、安政の大獄へとつながる安政という時代の激震。物語は、安政の大地震からはじまります。
倒幕も佐幕もない。大きな主義を離れて、自分の生き方をみつめていく、透の生き方には、変革の現代人の心を打つものがあるのではないでしょうか?
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古い時代の終わりに、自己を確立させようとあがく若者の、成長と青春を描いた清涼な物語。英雄ではない、権力者でもないけれど、生きなければならない、では、どう生きるのか?変わりゆく時代に、変わらない自分を貫くのは難しい。そこに共感がうまれます。
■作者の言葉
「私はこの小説で主役を演ずる昌平黌の学生たちに託して、この『激しい変革』に当面しての不安やおびえや絶望にもめげず、こつこつと文明を開拓してゆく青年たちを書きたいと思います」昭和三十四年十二月十九日。北海道新聞。
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■登場人物
杉浦透……中邑藩士。学問で身を立てることを志す。
岩崎つじ……透と結婚。
杉浦勘右衛門……中邑藩重臣。透の父。尊王派。
杉浦たよ……透の母。
房野なほ……房野又十郎の妹。作田介二郎に嫁すも離縁。透が想いを寄せる。
水谷郷臣……中邑藩主の弟。藩籍におりている。
安方伝八郎……中邑藩士。透の友人。異人館焼討ちを企てる。
並木第六……中邑藩士。江戸詰。
吉岡市造……沼津藩士。郷臣の腰巾着。後に料理茶屋「深川」を開く。
おせん……元芸妓。郷臣にひかされて船宿「船仙」の女主人となる。
岩崎丈左衛門……中邑藩の老臣。つじの父。尊王派。
才助……髪結い職人。
佐伯角之進……中邑藩士。中目付。
松崎かの子……越前福井の人。小太刀の名手。
橋本左内……福井藩士
内藤伊一郎……中邑藩士、科学書窮理通の研究をする
ふく……伊一郎の妹
平石賴三郎……中邑藩士。透の学者仲間。
川上和助……中邑藩士。透の学者仲間。
松浦糺……中邑藩士。透の学者仲間。
大膳太夫充邦……郷臣の兄にして、中邑藩主
仲上藤六……房野なほの婚約者
川口ふみ……透の世話役。川口弥兵衛の女房
磯谷五兵衛……房野なほを江戸に連れ出し世話を焼く。
○下巻
お由……市造おせんのつかう、下女
マルケ……海外の料理人
橋田信十郎……市造の店に盗みに入る。元さむらい。
すみ……郷臣の思い人
大吉……大初の料理人
お初……大吉の妻
■用語集
公辺……コウヘン・おおやけ。公儀。
■この動画の目次
0:00 遠い燈火 1
10:55 遠い燈火 2
29:51 遠い燈火 3
43:56 遠い燈火 4
#朗読 #時代小説 #audiobook #山本周五郎 #七味春五郎 #音本
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遠い とし役場から帰った夜徹はまた内藤一郎と 話した一郎は主を開いたら教授を助けて くれと言った語学や歴史哲学入門などは 平石と川上が手伝ってくれるからとには 物理と数学を頼むというのであっ たはよく考えた上の暇でよければと答え それから思い切って殿との円を持ち出して みたそんなふと誰に聞いた一郎はいかし そうに眉を押しかめ服から聞いたと答える とその目にとめるような表情が現れ たくからそれを聞いてと一郎が言ったそれ でもなお円をまとめろというの かの問題はそう簡単ではないと思うさっき の話に調べ書の教官たちにも支度で問を 教えているものがあると言った実際にいる んだその連中が黙っていると思うかとトル はゆっくり言った仮を売って四宿を開いた ということはすぐに分かってしまう洋学を 死亡するものは指して多くはないだろう彼 らにとっては商売がきだ学問は商売では ない彼らにとっては商売なんだは自分の声 に悪意があるのを知って調子を和らげた 少し言いすぎかもしれないがそういう方面 からの圧迫もあると思わなければならない それには後編の領解を得ておくに越した ことはないし強電は多くに手があるだろう からそれは分かったと一郎が遮っていった その話は一応そうとして杉浦は服を兄弟へ 嫁にやっても構わないのか俺の身の上は 分かっているじゃないか気持ちのことを 聞いているんだそれだけで済むことかと トルは静かに言った俺はふさんが好きだ ちょっと言いにくいがふさんも俺が好きだ と思うしかし俺をすいているふさんの 気持ちに生じてふさんを惨めな生活に 引き入れたくはない惨めな生活だとどうし て決められるそれは今更説明するまでも ないだろう 殿との縁組を進めることが説明になって いんのだろうと一郎が言った要するに経済 的に豊かであることが幸せで貧しい生活は 惨めだというわけだろう杉浦そんな 情けないことを本気で考えていいのかその ことはもうふさとも話した聞いたよ杉浦は 俺たちが苦労を知らないと言ったそうだ 確かに杉浦は現に俺たちより苦労を多く 経験しているし貧しいより豊かな生活の方 がいいに決まっているだが極端に言うと 乞食だって食って生きているぞ生きて行く だけなら野良犬だって生きて行けるさと トルは微傷し た俺が生活の家庭を稼ぐためにだけ生きる なら夫婦と子供を養うぐらいのことは できるだろう俺にはそうはできない俺には
一生かかるかもしれない学問がある今だっ てデコに回る余でやっているじゃないか 1人暮らしだからさしかもこれが精一杯な ん だ一郎は黙ってトルの心にあるものを探り 出そうとでもするようにしばらくの間 じっとトルの顔を凝視していた念のために 聞くがと一郎がやがてそう言いかけると トルはまた唇で微傷しながら首を振った 聞くにはばないよ何を聞くのか分かるのか ふのほのことだろう一郎はうんと頷いた ナホには好きな人ができたとトルは言った この前と京都2度俺はこの目でそれを見た よ水谷という人か水谷さんだトルは安らか な口ぶりでいくらか楽しそうな調子まで 交えながら行ったあの人の世話をしている うちに深い愛情が生まれたらしい体つきや 顔も人が違ったように生き生きしてきたし 声までが水々しくなった俺はこれこそ本当 に愛するものを持った女の姿だなと思った 杉浦の時とは違ってか違うまるで違うと 言ってドルはため息をついた今考えてみる と俺は愛情を持ったと思っただけでしかも ナホが一度結婚に失敗したということに 同上した気持ちが主だったようだその点は ナホも気づいていたのだろういく度かそう 言われたことがあったおそらく女の本能で 分かったのだろうしナホの方に本心からの 愛情が湧かなかったからだろう今度は本心 から愛せる人に巡り合ったそういう感じな んだ杉浦の気持ちはどうなんだ良かったね と言ってやりたいと思ったアホがあんなに 幸福そうに見えたのは初めてのことだから ね未練はないのかとるはらしいなと言った 彼の顔は今冷たい水で洗ったばかりのよう にサバサバとしていたではこの話はまたの ことにしようと一郎が言った俺が至を開い たら透けてもらういや面倒なことがからよ につてだけはっておくよで稽古は続けるよ いいだろ宿がうまく運ぶようになるまでは 現状のままということにするただし1つ だけ言っておくが殿の話だけは忘れてくれ それでは服がかわいそうだからなトルは 黙って頷い たその翌日の夕方トルがデから帰ってくる とのまた郎が待っていた服にそ告げられて 隠居所へ行くとふ野は濡縁に腰をかけてい たいやここで帰るふ野は挨拶なしに行った 殿から水谷さんへ金を預かってきたん だ住所のことはどうだろうとトルはすぐに 聞かしたゴリのようだったので水谷さんは それを心配しておられた金のことはもう いいが居所を知られてはは困ると言うんだ 金ある野はふさを底へ置いて行った居所が 知れずに住むかどうか今俺の口からは何と
も言いかねると言うと殿は今朝5人の家臣 を救命された上5人とも放置の処置を取ら れたトルは息を飲んだ放置の処置だって 水谷さんが言い出されたのだと野は言った に自分の命を狙っているものがあるもし 疑わしいならと1人の名をあげられたそう だ佃島置きで救った男だなとトルは思った そこで殿はそのものを召されご自分で 厳しく吟味をされその男は他の4人の名を 自白したとふは続けた住職たちが知ったの は殿が5命に築を命じられた直後のことで その処分が他へ漏れると大きな問題になる から取りやめるようにと申し上げた仙台の 監視を恐れたんだな5人が仙台へ走ること は明白だからだとふが言った中村班は仙台 秋田山形合津など大雨連盟でがっちり囲ま れていてどんなに小さくとも政治に関する 出来事は筒抜けに探知されてしまう国元に いた自分俺がその事情をどんなに詳しく 説明したか覚えているだろう 水谷さん政治には全く無関係だったその ことも俺は繰り返し話したはずだ問題は 現実に起ってしまっていると野は言った 追放された5人は土仙台へかっこむだろう 杉浦は知らぬかもしれぬが今仙台では領員 様を預かると難題を持ちかけてきていると のごだね人質にしようというのだ谷さん からも聞いたよこんな5人の申し立ては おそらく中村班の不利なものになるだろう それは仙台からの圧迫を強めるだけだし領 員様のことがますます難しくなるに違い ない5人はもう退去したのかそれは言え ない野の表情は加わっていたトルは大きな 不安がゆっくりと心の中に広がっていくの を感じた元海暗殺のたみで5人を放したと いう大然の大部が自分で救命に当たったと すればその事実をどこで聞いたかという 疑問が起こらずにはいないそして元がまた 生きていること元の口から聞いたという ことが分からずにはいないだろうそう思っ たのでトルはそこを押して聞いてみた俺に は分からないと野は冷やかに言ったしかし 水谷さんが存命だということはもう はっきりしているだろうしそうなれば居所 が追求されるのは当然だとするとどうなる か検討がつくだろうそのために急いで金を 届けに来たんだどうしろと言うんだ伊谷 さんをよそへ移すのさそれはだめだ伊谷 さんはもう逃げ隠れはしないと言っている どうなろうと運次第だと言い切っていた 佐野は肩をすめていったそれなら運を試し てみるさナホさんも一緒だぞナホどういう 意味 だ夕べ話をして気づかなかったのがどう いう意味だほさんはあの人を愛している
それもおそらく命がけでだ野はじっとトル を睨んだあの人がばとトルは言ったほ さんも生きてはいない ぞ野はトルを睨んだまましばらく黙ってい てそれからもう一度肩をすめただからと 言って俺に何ができる三谷さんの安全を はってくれふにはそれができるはずだ杉浦 には俺の立場が分かっていないとふが言っ た杉浦は俺を砂漠派だと決めているが俺は それほど顔面じゃはない向こう水な金王派 には我慢がならないが幕府の名数が尽きて いることは明らかだどういう形で来るか わからないが復は必ず実現するだろう幕府 が海国に踏み切った時それは決定したこと だなぜなら主権が二分したままで外国との 就航はできないし日本全体が海国という 新しい情勢に当面すれば政治の形も新しく 生まれ変わるのが自然だから だ俺は後部合体に期待をかけていた須野は 続けていったそのためには中村の班を統一 して大雨連盟の枠の中で長底との絆を保た なくてはならないどちらに傾きすぎても 危険だこの複雑で微妙な時世の動きを 見誤ることなく反全体が生き延びることに 全力を尽くさなければならない大勢復興が 実現すればいく人かの英雄とその派閥が直 なすだろう1人の英雄の影には必ずい 100000人の犠牲者がいるものだ中村 班から英雄を出す必要はないが犠牲になる ことも避けなければならないこれが俺の 願っていることだトルは頷いた草野が そんな風に具体的に話したことはなかった しその口ぶりには真実がこもっていた しかし今幕府の無毛な弾圧策のため後部 合体の希望はなくなってしまったと野は名 を続けたいい大は海国の団を下す一方半不 勢力を一層しようとする危険を犯したみと 終りなどの審判をさえ罰したことは金王派 だけでなく一般諸行の間に半幕府の感情を 広める結果になるだろうこれは中村班に とっても一層自重しなければならない情勢 になったということだ要するになんだと トルが反問した一層自重するということ どちらにも偏らないというのために邪魔な ものは覗いてもいいということかそういう ものに使う時間がないということだそれで 中村班全体の安全だけは守りたいんだな徹 は珍しく興奮した口ぶりで言った人間の 1人1人は問題ではなく安全体の安全と いうことが重大だっってそんなバカな理屈 があるか1人1人の死を問題にしないで 全体の安全などということがあり得ると 思うか通俗に考えろ大事のためには正に目 をつるのは当然だ俺たち同胞に共通の逃げ 工場だとトルは言った犯にしろ国にしろ
全体は1人の人間から成り立っている理 不尽に1人の人間が殺されるのを正子だと 言って目をつるほどの大事があるものでは ないどんな意味にもせよ人間の命が警視さ れるようでは世の中はおしまいだ杉浦には 責任がないから 老人で自分の学問だけやっていればいいの なら一般の将来がどうなろうと痛くも痒く もないだろうし好きなことを好きなように 考えていられるわけ さその意見は分かったとトルバや乱暴に 言ったではほさんに満一のことがあるとし ても女力してはくれないんだな俺は砂漠派 に嫌われているその事情を今話したんだ俺 には彼らをえる力はない言うことはそれ だけかできるだけ早く金を届けに来た俺に はそれが精一ぱいだわかったちけえだが これで別れようトルは持っていた風色包を 座敷の中へ投げ入れてから紫色のずっしり と思いふさずを取り上げたそして 立ち上がって刀を腰にさしているふさ野を 見たふさに伝言はないかない 話すことは夕べみんな話した送らないぞ徹 は歩き出しながら言った俺は屋へ断って 行く草野は頷い た屋の方へ行こうとすると栗へ曲がる軒の 下に服の姿が見えたどうやら今の問答を 聞いていたらしいくれかかる下の暗がりの 中で服の後ろ姿は常よりもそりして見えた トルはしにそっちへ行ってこれからまた 出かけますと言った服は立ち止まったが こちらへ振りこうとはしなかったことに よると今夜は帰れないかもしれませんと トルは構わずに言った地獄になったら どうぞ閉めてください服は急に振り向いて トルを見たそして怯えているように彼の顔 を見上げながら震え声でそっと言った兄は 一緒に行ってくれます兄が帰るまで待って 一緒にいらしたらいや内藤には関係のない ことですそれにそんな必要もありませんよ と言ってトルは笑って見せた私のことなら 大丈夫どうか心配しないでください服は 何か言いかけたがトルはもう急ぎ足に歩き 出してい たお道で辻かごを拾い小梅まで急げと命じ た道が曲がるたに止めさせつけてくるもの の運を確かめたが夕方で大来の混む時刻だ しはっきりそれと判断はつかなかっ た役所へ着いた時はもう辺りはかなり暗く なっていたが中庭ではその暗がりの中で 子供たちがコトロの遊びに熱中していた1 日が終わろうとする時刻になると子供たち は皆その一時を逃す前として遊びに熱中 する時は去って帰ることがないということ を本能的に感じ始めるのだこうとろこう
とろどの子がよかろ彼らの歌う声を聞いて まだ何事もなかったと思ってほっとし ながらトルは裏手へ回っていっ たほはは口の外のところで1人の男が巻き 終わっているのを見ていたトルはこっち から呼びかけたナホは振り向いて彼を認め 驚いたように近寄ってきたすぐに水谷さん をうさなければならないと彼は声を潜めて 言ったここにいることが分かったようです 殿から金子が届いたから費用はあります ただしそれにはあなたがまず伏せてくれ なければですほはイかに彼を見 たトルはちょっとためだった昨日の元との やり取りは聞いたはずである廊下で泣いて いたのはそのためでそれなら事情は分かっ ていなければならないだが彼女が聞いてい たはずだとはちょっとぶつけで言い にくかったのである水谷さんの居所が 知れるとまたどんなことが起こるかわら ないその彩は知っていますねほは黙って 頷いたあは怒って帰られたとトルは言った ことによるとここにいることが漏れるかも しれないしばらくどこかへ移ってください と言ったところ水谷さんは嫌だと拒絶され たそれは伺っていましたとナホが遮った それで私でなければ伏せられないというの はどういうでしょうかそれだけで分かり ませんかとトルはつい強い調子で反問した ナフはドキっとしたように彼を見上げたが すぐにその目をそらした頬の辺りの色が 変わったようであるが夕明かりがすっかり 薄れていて赤くなったのかどうか見分けは つかなかったトルは少し苛立った口ぶりで 言った野が殿から金を預かってきたのです 谷さんに渡せというのですが彼はできる だけ急いで届けに来たと言っていました つまり水谷さんの居所が分かったようだと いう意味なんです兄はどういたしましたか 野は屋敷へ戻りましたトルはその時の問答 をかいつまんで話したナホの身に満一の ことがあっても自分には何もできないと 言ったことまで告げ たこんな場合だから遠に言いますが水谷 さんはあなたをすいている徹はそう続けた そしてあなたは水谷さんを愛している誰 よりもあなたは水谷さんの無事を願って いるはずだ私の言うことは聞かなくとも あなたなら水谷さんの気持ちを動かすこと ができる いえ私にはそんな力はございませんわあの 人の精子に関わるんですよ私にはできませ んよく聞いてください徹は抑えた声で言っ たあなたばかりではなく水谷さんを知って いるものは皆水谷さんに生きていてもらい たいんです私にしても随分お世話になった
がお世話にならなくともあの人のためなら できるだけのことはしたいどんな手段を 使ってもどうかして生きていてもらいたい んですあの方はそれを望んでは いらっしゃいませんわだからこそ あなたにこうして頼むんです私は嫌です ナホは片方で顔を押さえながら脇へ向き こみ上げてくるおえをこらえていったあの 方の将来を考えてみてくださいあのお体は もう満足には治りません立ち歩きはできて も骨に残った傷は一生あの方を苦しめる3 人の医者が相申しましたまさか そんなルダのままこの役所のようなところ で一生お過ごしなさるの見ていられる でしょうか いいえ私にはできませんそんな悲しいお姿 を見るくらいなら一緒のこと今おえがナホ の言葉を途せ たこれが女の愛情の1つの形だなソルは心 の中でこう呟いた元を深く愛しているため に帰って惨めに生きるより一層死んで もらいたいというその気持ちの半ばは おそらく元を自分1人で独占したいという 無意識な衝動であろうとトルは思った あなたの考えは分かったトルは反発する ように言ったそれでは私がやってみよう ただしどうか邪魔をしないでくださいほは そっと栗の外で巻きを割っている男の方へ 片手を振っ た夕べ遅杉浦様のお帰りになった後で いらしたのですご存じでしょうか安電波郎 という方です安があれがですかあの方の口 でここにいらっしゃることになったんです トルは力なくを振ったまるで肩に何か 背負っていてその上にまた重いものでも 乗せられたというような手振りだった安は さっきから気づいていたようでトルが そっちへ行くとナを持ったまま立ち上がり 手のこで額を押しったこの間の伝言でねと 安は言ったととここへやってきたよその ことで話があると徹は言ったこれから おさんに会うがその結果によってはすぐに ここを立ちのかなければならないかもしれ ないここ立ちぐってすぐに戻ってくるよ徹 はそう言ってそこを去っ た水谷元は小に向かって何か書き物をして いたアドの光が広い座敷の中で心細にまい ていたやだトルの話を聞くと元はふに目を をやりながら言った金はそのまま役所のマ に渡そう俺はここにいるそのことは夕べ 話してある私でも共にしてですかと徹は 聞いた元が不審そうに彼を見た共にしてと は打ち手が来れば私は防寒してはいません 安も足は藤勇ですがおそらく手をつねては いないでしょうそんなことは俺が許さない
しかし乙女になることはできません よ元海は軽く笑った止めることはできない かもしれないけれどもお前たちがそんな ことをするなら打手に切られる前に俺は 自害するトルは手のひらを返して見せた どうぞと彼は言ったあなたが自害なさるの を黙って見ているとお思いならやって くださいああ言い忘れましたがふのなほも あなたと一緒に死ぬつもりですよ元は鋭い 目でトルを見つめたまま呼吸5つほど唇を 引きてんでいたそれから静かに表情を緩め 柔らかな口ぶりで言ったスらは何のために 学問をしているんだこれは問題が違います いやこの問題について言ってるんだお前は 西洋の哲学を学び数学物理を学んでいる そう だろうトルは黙っていたこれまで日本には なかった新しい学問をしているしそれは 一生かかってもやり遂げなければならない ものだと元宮は言った学問をするには理性 と冷静な判断力がなければならないここへ 打ち手が来た時俺を守るために切り死を するというそれは何百年も前に禁じられた 蛮な純と同じことだそんな真似をして何か 得ることでもあるの か人が死ぬことには何の意味もないと元は 続けた俺自身俺でなければできなかった ようなことを何1つしていないということ に気がついた多少でも誰かに役立ったと すればそれはわずかながら金の補助をした くらいのものでそれも自分で働いた金では なく負けから与えられたものを分けたに すぎない金なんかが何ですかあなたは あなたご自身で人に多くのものを与えられ た私が自分の生きる道を見つけたのも あなたがいらしたからですそうごちするな 元は微傷していった人間は皆それぞれ 備わった才能を持っている杉浦が学問の中 に生きる道を見つけたのは杉浦自身にその 細分があったからだ俺がもし打ち手に かかって死ぬとすればそれは俺の運だと 言ったろう死ぬということを大大事に 考えるなこの世界では今この瞬間にも死ん でいくものが数えきれないほどある俺1人 のしぐい大したことじゃない杉浦には杉浦 の生きる道があるんだそうもしお前が俺 から生きる道を学んだと思うなら俺の分 までその道で生きてくれ伊坂でも俺に恩義 を感ずるなら生きていてその道を全頭する ことが恩返しになる俺は死ぬのに道連れ などはいらない断じて無用だしかし死を 急ぐ必要があるでしょうかとトルが言った しばらくよそへ移っているというだけで 避けられるのになぜここで運を試そうと などなさるのですそれは言えないお傷の
ことですかとトルは突っ込んだ骨に残った 傷のために一生苦しむだろうと医者の言っ たことが原因です かほから聞いたのかあなたがそんなに 心弱い方とは知りませんでしたとトルは 続けた医者の診断が絶対なものでないこと はよくご存知のはずですこに骨の傷など 外科が切開して調べでもしなければ確実な 診断はできないでしょうもしまたその 見立てが当たったとしても時々痛みに 悩まされるくらいのことが耐えられないん ですかお前は肝心なことを忘れているぞ 深いましょうなんですそうまけにおける俺 の立場だそれがどうしました兄は俺の言葉 を極quiteして五輪の家臣を放置した と言ったなふのま十郎が言いました 俺はそんなこと望みはしなかったどうして そう負けと絶縁し1人の無名の人間として いきたいかということを理解してもらう ために打ち手の指をしたものの名を告げた のだそれを兄は5人まで放置したこれは 家中の紛争をますます大きくするばかり だ徹は唇を噛んだおそらく仙台へ駆け込む だろう野がそういったことを思い出した からである5人が仙台範へ駆け込まないと しても内分の広がることは避けられないか もしれない下手な真似をすると自害 するそういった元海の言葉も脅しではない だろうだ がこのまま見殺しにはできないなんとか ここを切り抜ける手段を考えなければなら ないととるは思ったもう一度言うが俺の ことを心配するな元が静かに言った彼らが もし打ち手をよすなら俺は望み通りこの首 をやろうそうすれば少なくとも内分の 広がるのを防ぐことができる何の脳もなく 生きているより伊坂でも何かの役に立つ なら死んでも惜しくはないこれが俺の本心 だもう帰れ 杉浦トルは目を伏せたまま釈をし何も言わ ずに廊下へ出ていった八方はクリアのとろ で待っていたがナホの姿は見えなかった トルは安と外へ出 た来るとすらがニズはどのくらいだ話を 仲間まで聞いて安は相とい返した分から ないがあまり多くはないだろう門の外で 防ぐ手だなと安方は言った俺の知っている 限りでは並木大六が江戸屋敷では腕利き だった俺は脇差しで彼を仕留めたからね この通り足は不用だが2人や3人なら相手 にできると思う杉浦はどう だ食いなししかやったことがないんだね うん安はちょっと考えてから言ったそれ なら一層棒の方がいい本番所に六石棒が あるだろう棒あるそれでやろ問題はおさん
だとトルが言いかけると安方は首を振って 遮っ た自害すると言われたって俺たちがやる 現場を見なければ分かりはしないさ終わっ た後でもなお自害するほどおおさんもバカ じゃないだろうしかし安はと言ってトルは 口ごもった 心配するなよ八方は夕闇の中で軽く笑った 俺は脱走者の上になきを切っている発見さ れれば無事には済まないだろうしかしそう いう風な巡り合わせになったんだから しようがないさとにかく支度をしようそう いう 巡り合わせ元も自分の運に任せようと言っ た抜き差しならぬ立場に直面すると人間は 同じようなことを考えるものだろうかトル は落ち着かない気持ちでそんなことを思い ながら文板所の方へ行った1度戻った安方 は袴を吐き脇差しを左手に持って機してき たトルは借りた六石棒を振り試みていたが 近寄った安方はちょっと貸してみろと言っ て棒を受け取り脇差しを腰に刺してから その棒を十王に振ったてこだな これで十分だと安は言った相手の多いい時 は刀よりこの方が手てなんだえがこんな風 にやるん だふのま十郎が来たのはそれから約四半時 後のことであった羽織り袴はつけているが 顔は黒い頭巾で隠し羽織りの下にはたきを かけているのが見えた彼は同じような姿を したものを3人連れていたそこにいるのは 杉浦だなそう呼びかけながらふ野はこっち へ近寄ってきた通ると安は門番所の脇にい たがその声を聞くと後ろへ飛び上がった俺 だとふはまた言ったそこに誰かいるなふか なのよだ女性に来たおい気をつけろ杉浦と 安が言った野また十郎が女性に来るはずは ないぞその声には覚えがあるぞとふさ野が いい後ろにいた1人が袖で覆っていた五条 ちを差し出した何の印もない白原の小さな ちちでその時彼らの羽織りの下にたきが 見えたので ある覚えがあるわけさこの通り八方電波 治郎だ安がこんなとこに潜っていたのか びっくりしたらしいな八方は歯を見せて 笑った後ろにいる3人もしてか杉浦どう いうことだふがとめるようにトルを見た 水谷さんが安を呼ばれたとトルは答えた 一緒に暮らすようにと言って夕べ俺たちの 帰った後で来たということだそれはまずい 安方がどういう身の上か知っているだろう と野は言った 杉浦にしてもそうだ犯に席のないものがい たりしては水谷さんのため帰って不利に なるここは俺たちに任せて
くれ意見が変わったようだな口では言え なかったが意見は初めから決まっていたん だ証拠があるかお前が知っているはずだ 水谷さんを助けるような暇はないと言った ぞさっき俺は殿の死者だったと野は言った だが今は死者ではない中村半としてこれ 以上のことは口では言えないがこれだけは 言ってもいいだろうここには俺の妹がいる もし今度のことでナホの身が安全でないと したら兄の俺が守ってやろうと思うのは 当然ではないかはめられるな杉浦と八方が 言ったふのは砂漠派の中心人物だぞその 情勢の変わったことは杉浦に話したうでは どうとでも言えるさまあ待てとトルは安方 を制してふ野に問いかけた一言聞くが女性 に来たのは本当のことか安方のいることは 知らなかったが杉浦1人で防ぎ切れまいと 思ったんだふのはそう言って安方を見た それにさっきから見ていると安方は足が藤 らしいじゃないかうては5人だぞドルは 須野の顔を強く見つめたどうも臭いと安が 言ったこいつにはどこか臭いところがある 杉浦これは信じにくいぞするとふ野の後ろ にいた1人が面倒じゃありませんか帰り ましょうといいもう1人も無理にやっても しようがないですよと言った安は他のもう 1人1番後方に黙っている男にをやった彼 は初めからその男に注意していたのである その向こうにいるのは藤のじゃないかと 八方は言ったおいこっちを見ろお前藤の異 だろう藤のがどうしたとふが言った彼は お前の誤想を命じられたが脱走された角で 謹慎にせつけられ今度ようやく江戸になっ てきたの だごそではない安が激しく言い返した誤想 というのは名目で初めから俺を暗殺する つもりだった藤は俺に手はずを授け脇差し をくれたところが手はずの場所にはなき 大六が待っていたんだなきは誤想の人数に は加わっていなかったし江戸屋敷では誰 より腕の立つ人間だったそうだその男が 手はずの場所に待っていたそんな卑劣な役 を務めるような奴がいる以上女性などとは 言わせないぞお前の言うことは分かったと ふが静かに言った今度は杉浦の意見を 聞こう杉浦はどう思うんだトルは黙った まま歩いて行き藤の兵のそばで立ち止まっ た富信だなしばらくだったしばらくと富信 は席をしていった無事にやってるそうで 何よりだ正直に言ってくれここへ来たは 本当に女性のためか後ろで安方が唾を吐い た野さんの言う通りだと富信が答えた自分 の口からは言えないのかくどいぞ杉浦とふ が言った俺を信じることができないのなら 帰る信ずるか信じないかどっちにせよ
はっきり言ってくれトルは迷った打ち手は 5人来るという安方はびっこだし自分の腕 はたのみにならない安方は脱走者であり相 まけの人間には今でも強い再疑心を持って いるがそういう経験をした人間に特有の 直感力がある野たちがもし女性者ではなく 打ち手だったとしたらトルと安の2人だけ では防ぎきれないだろうふ野は学問でも 抜群だが剣術でも指よりの腕があるとすれ ばほがいるということで危険にかけてみる ないトルはそう決し た女性を頼もうとトルが言った杉浦後悔 するぞと安が怒鳴ったトルは安の方へ戻っ て行った他に逃れる手はないほしたのか あの4人だけでも俺と安方では防ぎきれ ないあの4人だけでもだそう思わないか 水谷さんは切られるぞここには野の妹が いる妹は水谷さんと士を共にする覚悟だ いくら野でも妹まで切ることはできない はずだ安はまた唾を吐いた杉浦がそんなに 世間知らずとは思わなかったよと安は言っ たよかろ俺は残るからお前は帰れ帰れだっ て杉浦はもうその家臣じゃないここのいは 俺が肩をつつけるどうせもさんはしないし 救えないと決まった以上無駄に死ぬことは ないさその方がいいとふ野も言ったいずれ にしても杉浦がここにいる必要はないんだ 今のうちに帰った方がいいぞ私は水谷さん のそばにいるとトルが言ったそれが何の役 に立つと安が言った水谷さんはそんなこと を承知しやしないしそばに至ってお前に できることはありやしない後のことは俺に 任せろやだと言いかけてトルはきっと 振り返った役所の門はさっき閉められてい たがその門内のどこかで急に人の和声が 聞こえ女の悲鳴と子供たちの騒ぎ出すのが 聞こえてきたよせすうなとふが言った入る なだがトルはくぐり門へ走り寄ってその扉 を力任せに叩きながら開けろ開けてくれと 叫んだその時安方は藤のに襲いかかったふ 3人がトールを静止しようと動き出し そっちに注意を引かれている隙に突然藤兵 に切りかかり脇差しではあったが相手の腹 を力いっぱいに切った富信の悲鳴で他の3 人が振り返ると八方が巻き出しを構えてる 藤が片手で傷を押さえ片手を刀の柄にかけ たまま崩れるように地面へ膝をつくところ であった貴様何と草野が驚きの声をあげた こいつに歌詞があったと八方は答えた今 その歌を取るところだ邪魔をするやは こいつの道連れにしてやるぞ彼はくぐり戸 の悪音を聞き藤な足を引きずりながら静か に位置を買えつつ怒鳴った行け杉浦こっち に構うなトルは門の中へ消えたどうすると 安方はふ野に言った藤のを見殺しにするか
それとも助けてみる か高なやつだと言ってふが刀を抜いた 大人しくしていれば逃してやったもの そんなことで水谷さんが救えるとでも思っ たのか三谷さんの方はもう間に合わない 貴様たちはここで時を重えていたんだ杉浦 はともかく俺がそこに気づかなかったのは 馬鹿だったと安言ったしかしそんなことは どっちでもいい俺が富信を切ったのは こいつが憎かったからだ俺はここにいられ なければ乞食にでもなるよりしようがない だろう富信に人たち報いることができれば 死んでもいいさあ相手は誰だ野は抜いた刀 をあげながら前へ出た富信は地面へ うつ伏せに倒れ片足を縮めながら大々に うめいていた 門内へ飛び込んだトルは万人たちが何か 呼びかけるのにも答えず中庭の方へ懸命に 走った真っ暗なので足元が分からず草の根 につまづいて危なく転びそうになった ちくしという子供たちの叫び声が向こう から聞こえてきた人殺し戻ってきやがれ 人殺しの 畜はが止まるかと思った人殺しではもう 終わってしまったのか彼はすっかり混乱し ほとんど逆上したようになった門の前では 八方が何かやりだしていた八方の叫びと その手にある白人の光を見ただけであるが ふたち3人が彼を取り巻くのも見えた安方 も切られるふは打手だったのかいや打手は 別にいた測られた測られた 走りながらトルの頭の中ではこれらのこと が違った小をバラバラに見るように何の脈 もなくひらめたり消えたりした子供たちが 彼に呼びかけたトルはそのまま栗へ 走り込み暗いどに立って何かわめき合って いる男女の間を走り抜けながらほさんと いたも叫ん だ廊下は曲がるところまで暗くありはとし ていた曲がるとすぐ渡り廊下の向こうに 明りで明るい生子が見えたトルは体全体が 中に浮くように感じ叫ぼうとしたが声は出 なかった駆け寄って商事を開けるとこの 匂いの満ちた座敷の底にナホが会見を持っ て座ってい元の姿は小名部で囲われていて 見えなかったトルは抜いた外見の刃を見る なりなさん引けないと怒鳴りながら 走り寄ったナフは静かに振り向いたトルを 見ると懐紙を取って外見を吹きながら そっと座を下がっ たどうぞとナホが言ったどうぞお水を取っ てあげてくださいましお見事な5最後で ございまし たトルは刀を投げて小の向こうへ行った元 はヤグの上に仰がし両手を胸の上に組んで
いたまるで眠っているような極めて平穏な 顔つき出し喉を白いさらしもめで巻いて いい神気をほいて束ねている他はどこにも 血の汚れは見えなかったおそらくナホが 綺麗に後始末をしたのだろう枕本にある見 慣れた小の上でコが緩やかに煙をあげてい たトルは振り向いてナホを見たナホは会見 をさやに納め人切りの神気を紙に包んで いるところだっ たご次いですかとトルが聞いた口が すっかり乾いていてそれだけのことを聞く のに行くたも唾を飲まなければならなかっ たほははいと答え た おお召されましたか真だけなさいまして それから喉を遊ばしました打ち手のもの は皆左方を正しく平服して拝見しており ました人数は5人ですか5人でございまし たそうかやはりふのしてのうちだったんだ なトルは歯を食いしってそう思っ それで徹は怒りを抑えてまた聞いた何かご 遺言はありませんでしたかございましたほ はそっと目を伏せ気持ちを沈めるために しばらく黙っていてやがて低い声で言っ た俺のために悲しむなこれでゆっくり休む ことができるのだ俺のことは 自分の学問をやいてくれこれは杉浦へと 押せられましたトは深い呼吸をした不思議 に涙は出ず元の言葉を素直に受け取ること ができ た彼はちょっとまいて名を見たあなたにも 何かおっしゃったんですねほは黙って頷い た私にもそれが心配だったと徹は言った あの人に毎日のことがあればあなたも生き てはいないと思いましたあの方もそう おっしゃいました私にそんな様子があった のでしょうかナホは静かにかぶりを振っ た死んではいけない死ぬことは許さないと 強い口ぶりでおっしゃいました私はそんな ことはいたしませんと申しまし たつもりはなかったというのですか ございませんでしたいつか杉浦様にも 申し上げましたでしょうこの製薬所の人 たちには私が必要なの ですこれは自慢で申すのではございません 私が来た時と私が住みついてからのことを 比べて私自身も自分がここでは必要だとと いうこと病んでいる老人たちは元より子供 にはどうしても私がいなくてはならない それがはっきり分かったのですしかし あなたはトルはちょっとためだったがすぐ にはっきりと言った水谷さんを愛していた でしょうほはしっかりと頷いたはい おっしゃる通りですと彼女は答えていった 本当ならあなたの前で口に出してはなら
ないことですけれどあの方が水谷元美様だ と分かる前から私は生まれて初めてと思う ほど激しくあの方に心を惹かれてしまい ましたそれは初め哀れみであったかもしれ ない重症で子の境をゆきしていた時元は身 も心もれ果てた人のように見えた切り裂か れた血まみれの衣服も高価な品だったし 顔立ちにも優れた気品が感じられたしかも そのままでいかにもよべなげなぞっとする ほどの孤独さを表しているように思えた この方のお世話をしてあげられるものは 広い世の中に自分以外にはないとナホは 思った そして谷様だと分かった時私はやはりそう だったのかと心の奥でアドの吐息をつき ましたナホはそう続けたそうではないかと 思っていたわけではございませんそんな ことは考えたこともないのですがお名前を 伺った時中村にいる時いつもあなたが話し ていらしたことを思い出したのですあなた も 中村で見かけていたはず ですそういう記憶は少しも浮かんでまいり ませんでしたただあこれがあのお様という 人だったのかと気づきこの方とはこういう 風に巡り合うはずだった今ようやく 巡り合うことができたのだというように 思ったのですナは指でそっと目を慣れた 初めて会った人ではなくずっと以前から 知っていたしいつかそんな風にして 巡り合うだろうその表現はとにもごく自然 なことのように聞こえた彼は中村にいた頃 しりに元のことを名に語った熱中し興奮し て元は在国中から若い仲間の人気の的で あったし崇拝していたものさえ少なく なかっ た俺もその1人だった彼も崇拝者の1人で あり江戸へ帰った元の世話で諸平行へ入学 できることになってからはほに話して聞か せる言葉もかなり故郷されていたように 思うナフがそう思ったのは極めて当然な ことだ彼女の心の中には元という人の姿が 焼きつけられていたおそらく理想的な姿 だったろし現実に愛あった時は完全にその 反対な姿であることによってこれまた理想 的な印象を受けたにそういないおそらく トルの空きに語った元その人よりも惨めな 廃山の姿であったためにほの心心に 焼きついていた元という人間が一層短く 鮮明に心を打ったのであろうとトルは考え たあの方は微笑んでいらっしゃいましたと ナホはしばらくして言っ た私がここの人たちのお世話をして一生 ここで暮らすつもりだと申し上げたことが よほどお気に入ったようなご様子でそれ
ならこの金も少しは役に立つだろうとこの お金包みを渡してくださいまし た発を包んだ紙の脇にあるふさ包みを 見やりながらとるは言ったそこに夜勤あり ますそれも伺いました葬儀のことで医療が かむと思いますが葬儀はいたしませんほは かぶりを振ったこれもご遺言ですけれど ここで死んだ無名の雪と同じようにして くれ焼いて残った骨は無縁ばに埋めるも よし言に巻いてくれても良い決してそれ 以上のことをするなと固くせつけられたの ですしかしまさかあなたは私そのつもり ですとナホははっきり言ったそれがあの方 には何よりふさわしいと存じます から トルは神戸を垂れたナホはずっと元の世話 をしてい真実元を愛していた元もまたナホ を愛していたことは確かだしナホがそう いう以上それが最も正しいことかもしれ ないトルがそう思ってそれならあなたの いいようにと言おうとした時ふのま十郎が 入ってきたトルは知らずにいたが引けませ んというほの声で振り向くと草野が座敷へ 入ったところであったここへ入ってはいけ ませんとほは叫ぶように言ったあの方も ホイにはなりません帰って ください落ち着け野はすり足で進み寄った 俺は剣士役だひめたことが事実かどうかを 見届けなければならないさなは素早く見を いて兄の前に立ちふさがったふ野は鋭く妹 を睨んだがそのまま足を踏み出しナホは 黙ったままさっと兄に突きかかったふ野は 太陽かわしもせず妹の右の手首を掴んで ぐいっと後ろへ引いたナホはあけなく転倒 をしたがすぐに羽をきた馬鹿な真似は寄せ とふは妹に言ったそんなことをして水谷 さんが喜ぶと思うかかほは体をふわせたふ は刀を出してそこに置き小平部を回った ナホは立ちつくしだまま震えていた手に 持った会見の動きでナホの震えていること が分かっ たトルは黙って座ってい た佐野は死体に向かって礼をしすり寄って 元が死んでいることを確かめたそれから 後ろへ下がって平服し たお見事に遊ばしましたとふは言った すでにご承知のこととは思いますが家中の 紛争を避けるためには病を得なかったの ですご明服を祈りますナホの口から始めて 激しいおえの声が漏れ全身の力を失った ようにそこへ座ると会見を置き両手で顔を 押さえて泣いたそれは長い間押さえに抑え ていたものをいぺに吐き出すような泣き方 であっ た1つだけ聞きたいと徹がふに言ったこれ
は殿の五行でやったことかその問いには 答えられない殿の虚ではなかったのだな殿 は個人ではないとふ野は言った一般の攻防 に関わるようなことには阪神の責任こそ あれ個人の意見など問題にはなら ないそれはもう聞いたと徹は遮っていった 反先体の安全のためというが世が変われば 中村などのちっぽけな班は人たまりもなく 揉み消されてしまうしかもそういう時期の 切迫していることが明白であるのに個人の 意志が踏みにられ罪もない人間が殺される そんなことが正当であると本当に信じて いるなら巨人だ俺は巨人の言うことなど 聞きたくはない佐野は何も言わなかった道 の言葉など聞きもしなかったように無表情 のまま立ち上がり小平部を回っていって そこに置いてあった刀を取り上げると右手 に持ち直して振り返っ た安方の死体は引き取っていくと野は言っ た彼は脱走の罪と藤の兵を切ったのとで 処分した 藤を切った逆恨みだとふが言ったバカな奴 だし片だったが富信を切った一等は見事 だったイはその一等で絶命したよトルは目 を積った安それで本毛か彼にはそうし なければならなかった安の気持ちがおよそ 推察できるように思っ たなに言って 野は出ていく前に言ったただいま限りふ から絶縁するこれからは野のせいを名乗っ てはならんぞなまだ追えしていたガラガラ と崩れる何もかもガラガラと崩れていく トルにはその音が現実に聞こえるように 感じられ た死ぬことには何の意味も ないの言葉がまだ生々と頭に残っている俺 の分まで生きてくれ生きてお前の学問を やりにくことだトルはつっていた目を開い て元の死顔をじっと見つめた安土の火が ゆらめきその死に顔が微傷するように見え たナホはまだえしてい た JA
臣さん、、、亡くなってしまうとは・・・(涙)