軽井沢朗読館
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#置土産
#正岡容
#青木裕子
青木裕子(あおきゆうこ)
一般社団法人軽井沢朗読館
館長、朗読家、
元NHKアナウンサー
軽井沢町立図書館名誉館長
ごめんよはいごめん よ影の多い募集の午後の日を背中に若い 講釈士の一流祭万之助は菊人形見物で ごった返している団子坂の人波を分け ながら元気よく上がっていっ た年 25一文字に結んだ唇が不屈を思わせる 履行そうな色白の顔いっぱいに喜びの色が 輝いてい たウキウキとしたお林に菊の加工が流れて くるもうおっつけ今年もくれるんだふと 万之助は思っ た災難続きでろ月日のことも覚えてはい なかっ た昨年おっ母が死んで今年はお父さん それで本所の建川で細細営んでいた荒物屋 の店を畳んで分社師匠のところへ置いて もらったら今度は師匠がぽっくり死ん だ25は男の役だというが全くだ なあ大抵のことは苦がらないたちの万之助 だったがこう立て続けじゃやりきれなかっ たでもまあいいや悪い後は良いって言う から今度ジエ先生に見込まれたなんかも 差し詰めその1つだろうわずかに自分を 慰めてい た諸が死んだ上に師匠にまで死に別れたん だって なあ新内になるばっかりのところで かわいそうによしよし親代わり師匠代わり お前の芸ならばどんなにでも面倒は見て やるから安心して精一杯俺に甘え な先生はみんなのいる前でこんなに言って くだすっ たしかも音に響いたジエ先生の 桃川駅その中でもまたとっておきの鍋島の 猫の大ね子猫が群がり集まるフデの海王 教えてくださるというのじゃない か今あそこのところのやれる人は天下に 公爵王師といえどもジエ先生の他にはあり はし ないそこを親しくこの俺 におここだここの家だった目印の大きな くの木を万之助は見上げ たごめんください ごめん ください立て付けの悪い光子を開けて 薄暗いどへ立っ た小旗本の屋敷を直したようにガランと 汚い平屋で先生はご一心前から明治も30 年近い今日までここにおいでなさるの だ表のくの木がすっかり日の光を塞いで いるのでそこら中が嫌にけて いるごめん くださいもういぺん声をかけたが答えが ない遠くから菊人形の林がまだ
途切れ途切れに聞こえてきて いるあのもし 先生ジョエン先生オルスです か端にぼそぼそと低い物音がし たあの先生の坊主頭がニっと現れるかと 思いの 他続けて23枚破れたまんまになっている 生子の三越に細すすきのように白髪の光る 痩せこけた60くらいのばあさんが顔を 出し た底深くくぼんだ目が光り鼻が尖って唇が さながらジエン先生18番の化け猫を真の あたりに見る心地がし た一目見て万之助は肩先がぞくんとし た あの 私万之助という公爵士でいつも先生のご 厄介になっているものですがあの先生に ちょっとお取り次ぎを 薄味悪さを押しかしながら猫ばあさんの見 にくい顔をそっと見 た出かけましただようめくような小さな声 でばあさんは言っ たお 出かけとお湯ですか ええ神ゆいどですか いえ いえとんでもないという風に大間に首を 振ったあそうそうお湯も床屋も大嫌いだっ け芸人のくせにいつも髭ほほと生やして いる先生の顔を彼は目に描い たではあのどちら へ参られましたよえぞえ なえぞどこですえぞ帝と なんでもはや遠いところだそうで映像待つ 前のその映像でえ えええぞ 松前万之助は目を見張ったそそんなそんな わけは ない稽古に来いよと言われたのが昨日のお 昼だそれが今日きてえぞ松前北海道へ行っ てるなんて ばあさん猛々してやがるん だ心で腹を立ててい た何か間違いじゃありませんかおばあさん いつ言ったんです一体それ はだって私は昨日お会いしたばかりなん です ぜはいそれがあの昨晩急に なあ急に へえじゃ工業でえん えご親戚でもあちらにあってそこの御用で えいえまたばあさんは大間に首を振り出し た一体何しにいらしたん ですあのちょっとお遊びに
なあお遊びにだだってあなた そんな いいえそれがな 手前どもの先生ときましたらお気が向くと いつどこへ飛んでっておしまいなさるか わかりやせんの で本に嘘のよでござりますがふらりとお 出かけになったと思うと九州の天草やら日 の高山やら岩美の銀山やらから電神とやら が参り ますすぐ金をく れって土台よになるとこちらへ少ししか 置いてってくださらないんですものなルス のものはどうすることもできはしませ んこの間などもおゆえいらしったまんま 死後にお帰りがないと思ったらそのまま 朝鮮の形状を たえ いいえあんたほとのお話でな現に今度も私 の食べるだけお足は置いてってください ありましたがここのオタ先生の持ち家で買 ぜたら申します税金の取り立てが今日明日 にもございますそうでそれがもし払えませ ん時にはこの 家あなた差しをさえ にじ冗談万之助はバカバカしくなっ今を ときめく女先生が演技でもない差し押さえ だなんてこのばあさん少し変なのじゃない か いいえ いえ本当でござります ともこうしているうちにもあなたいつお髪 のお方がやっておいでかと私は針のむの上 に座っておりまするようでござりまし てその時入り乱れた靴の音の止まったのと 激しく行子の開いたのとが一緒だっ た蜂の地髭を生やした色の黒いいかめしい 黒服づめの中年の紳士が川カバを携え人相 の良くない爪いりの男と物々しく入ってき た 処分を思考させてもらい ます詰りへつと目で知らせつつか紳士は靴 を脱いで上がって行こうとし たなんとも明城しがい気持ちに彼は襲われ た襲われずにはいられなかっ たではやっぱりばあさんの言う通り かはっきり亡くなった師匠を分社の5倍も 収入のあるジエ先生のところへ差し押さえ がやって くるこれが世に言う名人かぎ聞いてごらく 見て地獄 かしらいくら考え回してみても万之助には 法則が合わなかったあもし慌てて万之助は 声をかけたちょっとあのお待ちなすって 軽減な顔で相手はこちらを振り向いた今お
祓いしてもいいんですですかその 差し押さえそしたら無事に住むんですか私 お金なら持ってるんです が荒物屋の店を畳んで1年30円近い蓄を 肌につけて持ってい たお払いになるあなたがあそうでは脱ぎ かけた靴をまた履いて再びカードを 取り上げると的に4円83戦 ですまた万之助は妙な気になっ たわずか4円83セとはどう安く見積もっ ても20円以上はあると思ったものをあ そうです かではここ へ五円兵を1枚勝負側の財布から取り出し て渡した こなく知った釣りは帰っていっ たすみませんねとんだご散在をおさせして でもおかげ様で本当に あのばあさん蘇ったような顔をして礼を 言うと問わず語りに話し出し たうちの先生には柳橋から自で芸者に出て いるおしんちゃんという娘さんがいる いつもならそのおしちゃんが万端やって くれるのだがこの頃先生のズボラが激しく お金が入ると無駄遣いをしてはいざという 時ヒャーもないのですっかり腹を立てて しまっているの で当分私が来なかったら頼りにするものが なくなって少しはおとさんも閉まるだろう からとわざと影もしないでいるの だそもそも芸者になったことの起りが何年 か前長いの挙句おっかさんが死んだ時その 長年の入院費を一時建て替えるがためだっ たという一一倍親思いの娘だけ に今度の立腹も全く無理ではないのでと ばあさんは言っ たそれはにも頷かれ たですけれど あのまた柄になくくぼんだ目を伏せると ばあさん は実はそのまだもう1つ別口の方へ 差し押さえ が今日明日 にこれもだいぶ溜まっていてダメなら 同じく差し押さえに来るというのだ 先生にはこれから色々お世話になるんです 払いましょうその方もでいくらなんです その口はきっぱりと万之助は言っ たすみませんです ねところがあなたこれがいって大口でして ねいくらですよだから 一体どうせ8円か9円物の10円とは出 ない だろう23000でございまして ええ
23000万之助の財布の中はとうとう 50戦銀貨を23枚余すばかりとなって しまっ たその年のくれるまで桃助演は帰っこ なかっ たやっとギリギリになって舞い戻ってきた らしく正月の初席にはそこここに大きく 助演の看板が見え た正月の5日に浅草の禁止の楽屋で ばったり万之助は大との女屋と顔を合わせ た力いっぱい踏んづけて潰したような ひらべったい奇妙な顔がもうだらしなく酔 て崩れてい たいようまん ちゃんすぐ助祭なくジエの方から声をかけ てすみませんでしたねまにどうも急冬 はうちのお金ばあさんから逐一受けたあり ましてねなんともはや申し訳ないことに 存じていましたよごめんなさいよまん ちゃん年がもなくズボラをし てひらべったい顔に恐縮と行為をいっぱい 見せてくしゃくしゃな笑顔をしながら何べ も何べもお辞儀をし たととんでもない先生恐れいりますあれ式 のことでどうかどうかその まま今一斉を封している桃女ともあろう大 先生が他の嫌にそっくり いる大内たちと違い自分ごとき弱いに こんなに詫びてい られるもったいなくて恐縮でわけもなく胸 がじとしてしまい慌てて彼は両手を振っ たそうですかではお怒り なくそれはそれは何ともはや恐縮 先番誠にありがたいことです なではちゃんこうしましょうお詫びの印に 妙5番7日席が跳ねたら老たへお約束の 化け猫をその説5殿 つまろえそれじゃ妙子に本当に先生あの私 に教えて教えましょうと教えましょうとも いや大丈夫大丈夫 明後日は命に誓って大丈夫金の 脇差しでは満ちゃんよろしいかお忘れ なくプーっと熟し臭い息を吐きかけながら 上場の期限でわっと湧き起こる完成に迎え られながらそのままジエは口座へ上がって いっ た7日の晩遅万之助は真っ暗な団子坂の家 へ押し た今夜は約束通り家にいた けれど肝心の化け猫の稽古はもうベロベロ になっているのでできなかっ た23本相手をしている うち明日の明日の朝きっとする よだからおとなしく止まっていけやいまこ 言いながら大きを
うつぶして寝てしまったの で戸棚を探してヤグ布団を敷きやっとその 中へ 運び入れ自分も裾の方からそっと潜らして 泣かせてもらっ た飲み助の先生は酒飲みの常でわずかの 時間によほど熟睡するものと見えて朝が 早い万之助もさして寝坊の方ででは ない翌朝はろに顔も洗わず早くから湯呑み で冷酒を煽っている先生の前に座って記念 を伺ってい たところ がにをするお金ばあさんが起きてこ ない先生に輪をかけて朝早いというばあ さんがいつまでもいつまでも起きてこない の だ変だなどうもまんちゃんちょいと覗いて みてきてお くれかしこまりまし た台所のそばの小部屋であの血の気のない 顔dirを真っ赤にしてお金ばあさん女の くせに凄まじいいびきを書いて眠っていた どうもその眠り方が尋常で ないおかさんおいおかさんってばヤグの上 から23度激しくゆすった 後汗びっしりなお金ばあさんの額の上へ そっと手をやってみてあ万之助は 飛び上がっ たた大変先生お金ばあさん大変ですよど どうしたお金が湯呑みを片手にドタドタ ジエがやってき たノイケらしいひどい熱だもう正体があり ませんよいびきは書いています けれどの脳一決それはいかんまんちゃん お前つまんが早くお医者を坂の中途の 向こう側にあるん ださすがにジエも顔色を変えた医者が来 た果たしてばあさんは脳一決でもうあとは 時間の問題だと捨て薬も置かず帰っていっ たジエの言うところにによるとこのお金 ばあさん元は色物の寄せの下座で身よりと 言っては神田岳山というしがないバエ周り の公爵師がある ばかりレスバ代わりにただで止めといて やったんだがいやどうもこんなことになる と大迷惑だ なあこのばあさんどうもがざのやの色 らしいんだ吐き出すように女は言ったえ ガザのへえそうですか私はまた先生の女か とおいおいまのじひでえことを言うなよ いくらジエおいてもまだまだこんなババた ゲジゲジ眉をピクピクさせて差し詰め拙者 の思いもなら竹本綾か 岡本宮残にこそなれおしきぬまずあの くらいの美人なら
ば危うく万之助は吹き出しかけ たそれにしてもそうだそうだ肝心のがざの 野郎を呼んでこねえこと にゃ慌ただしく立ち上がると京成学部に奴 はいるんだやまんさんお前さんは家の中の 方のことをやってくれ俺がりがざのやつを 呼んでくるからちくし本当にとんでもねえ 野郎だ な下打ちしながらジエンはぼたもち台の門 のついている黒門つと着替える とあたふた飛び出していっ たがさてそれっりマテ戸くらせ戸元山は 愚かジエその人が7日7番帰らなかった 嫌だよ先生仏様を置いてきぼりにしていっ ちまって一体どこへ行ってたんです よ8日目の朝ニヤニヤ笑いながら帰ってき たジエンの姿を見てさすがの万之助が軽い 剣の峰を雪もいで一層薄ぐらい奥のまで 直した をすすっていたところだっ たすまねえまんちゃんもろなじゃねえが 拙者この通りこの 通り犬つくばに張って謝る格好をしながら 近寄ってくるとどんとお前の上へ拳を乗せ たその拳の下に五円兵が1枚続いて懐中 から折り詰めを引っ張り出すと おい食べてくんな詫美の印だ商人落としに いむのエビの鬼 だなるほど黒と薄々で霧の縄文をすりだし てある異文の大神の間から美味しそうに 真っ赤なエビの尻尾がはみ出してい たいやこんなご馳走なんかいりませんけど ね一体どこへ行ってらしたんですよ困った ね私は先生はいず元山はこ ずおっとその元山ゆえなんだ遮るように 大きな手を突き出し て元山の行方を追いかけ追い回して まっこうどこへ行ってたんですがざはそれ が野郎ふてやつで旅だてんだ よ神奈川を振り出しに東海道を下ってっ たてからこっちも大急ぎでお上機で 追いかけてよ神奈川から横浜平沼程ヶ谷 戸塚と来たね紫仁王藤沢の野瀬に続く平塚 も元の哀れは大かかわずなくなる小田原は 箱根を超えて伊豆の海見島沼ずに腹よわ どこまで行くんですよバカバカしい先生 仏壇見てくださいよ 苦笑いをしながら万之助は正面を指差した 古びた黒塗りの仏壇に小さな白いコツが1 つ汚先行の水色の煙の中に包まれてい た初病後3日お金が息を引き取ると万之助 は自分の着物を何枚か融通して曲がりなり にも葬式万端たった1人で済ませたのだっ た いやこれはこれはいやすまないすまない
すまない なあなんともどうも面木次第もござせん 重ね重ねまんちゃんには本当にすまない だらけだねごめんなさい よ心からのように頭を下げて埋め合わせ ますよきっと近い うち先生他の埋め合わせなんかいらない からどうか例の鍋島だけを当たり前ですと もちゃんとえてますよそのくらいは今度 こそは洗剤一宮毛に不うどん毛に花という やつさお前さんの方でげんなりするほど 教えて教えて教え抜くつもりでいるんです から ねあそうですかではどうか何分お願いを 教えてくれるという一言にすっかり嬉しく させられてしまった万之助はつと 立ち上がって大所へ行くと冷酒をなな一杯 湯呑みへついできて先生の前へ備え たこの晩から正式に万之助はジエの家に 住みつくようになってしまっ たお金ばあさんのおをジエの夜中の母大所 へ葬る手伝いもしてやった が正式にと言ってもそれは寝起きの場所と しての正式にであって正式の内弟子でも なければサリとて留守bilでもイロでも なかったいやそのいずれでもなくまたその いずれでもあるようなことになってしまっ たのだがそれにしてもジエ先生聞きしに さるズボラだっ たそれもただ単のズボラじゃ ない出演する寄せの木戸口まで行ってみて あまり客が少ないとこれれっぽっちの客で やれる系とさっさと帰って しまう大入りなら大入りで高客が多くては 場内がざわついてやりにくいからとこれ またさっさと帰って しまう多くなし少なくなし頃合いの客の時 以外はかりながらジエは口座上がって喋れ ねえんだいとごごして いるしかしお客の方は勝手に木戸線を払っ て来るのだからそううまく注文通りの入り にはならないなるわけも ないしたって助演の出演したくなる日は なかなかやってこないことに なるある日などジエの真のひきばかりが 集まってす大切のカをも飲んだ勢いで客が きすぎてやりにくいからと休んで しまいこの時ばかりは差物彼が後返しが つかなくなっ たところでそういう場合よく一般の人たち は坊主になって謝るというが彼は元々坊主 頭なのだからこの上坊主にはなりようが ない そこ で安子に山星のような早発の桂を
借り受けそれをかって詫びに行くとその桂 をかったままでなんと唯小説を一石兆候に 熱延し た発の桂1つを無駄にせずその桂に ふさわしいゆい小説をやるなんてさすがは 助演 だそれではかって沸騰して飛んだ面目を 施した がしかしそういう場合は誠に稀で大抵は 喧嘩ずらで怒鳴り込ん れるその知りはことごとく万之助がさせ られるのだっ たその上叫びたりで太平落ばかり並べて いるのだからその日その日の暮らし向きに は四重さしえて いる毎晩の稼ぎ高をだんだん万之助はジエ の勝元へつぎ込むようになっ たでもまあいいこうもしたなら先生しまい には本当に気の毒がって私に鍋島の猫を 教えておくんなさる だろうそれまでは何事も辛抱辛抱意も彼は 覚悟を決め た がその鍋島をいつまでたってもかいくれ 教えてくれないのだった口へ出して頼む たびええやりましょういつ教えてあげ ましょういつでも私の方は喜んでやります よこう調子よく受け合いてはあっさりそれ なり蹴りにされてしまう だけしまいにはかって尋ねる方で顔負けが してしまっ たいやさでみっちり教わろうなんて欲張る からいけないんだこの上は先生の口座を脇 で聞いてて覚え込まそう考え た5月の夜関だっ た神田の小柳へ桃川駅の看板が上がった 前行は例のゆ小説後行はいつも百明電と 決まってい た自説東来親の仇が打てるようにいみたっ て万之助は早くから楽屋入りし たのの坊主頭の助演が口座へ上がって行く と猫猫頼むぜ先生鍋島を口口にお客も声を かけ た鍋島ですかジエンはさにひらべったい顔 を期と口がくっついてしまいそうに崩して 笑っ たやるなありがてえ 満之は体中を耳にした とこさに楽屋ゴを握りしめてじっとこちら を見つめている万之助の方へちらり目を やって せっかくですがいつも猫じゃ気が変わり ませんな犬にしましょう今夜は犬に極低金 先生作る発見殿は中堅やふさと伏姫がお 物語をけ勝手に
仕上がれ助さんでしょあなた本当に人方 ならないご迷惑をかけてごめんなさいね私 ジエンの娘でおしです の生子を外してすだれに殺風景に伸びすぎ た庭の雑草を 引き抜き白い小さな裏葉を見せては昼がる 夏はぎに打水を しガガに根の緩んでいる縁側へ腰を下ろし て万之助は今は冷やをラッパのみにしてい たところへ身近に花香水の流れを感じはっ と振り返ろうとしたところを挨拶され 少なからず彼はどぎまぎし たおとっさんにはこればかりも似ていない 眉の長い目のキリリとした鼻筋の美しく 通った色の浅黒い重長の女が片を浮かべて すらりと立ってい た22だと いう黒字へ目の覚めるような郡上で田端 だけを薄緑で短冊をあった素が身について 浮の女の生めかしさを目に描かせ た慌てて挨拶を返しながらラムネの瓶を 放り出した片っぽの手では口の周りの泡を 吹い た 私お父さんあまりでたらめすぎるから ひどいと思って喧嘩しちゃった のそしたらその後へあなたがいらしてとん だ本当に家のことからお金さんのことまで みんないえこの間あなたのおすにちょい ときましてすっかり近所で聞きましたの お客様と一緒に遊びにいらしったあなたの お仲間の方からも伺いました わすみません勘弁して ね見えも外分もないようにこくりと1つ 辞儀をし たいいなあこの 子おとっさんと違って何もかもお世辞なし に残らずさらけ出してしまう子なんだな 万之助は関心したどういたしましてそ そんなお礼じゃ恐れいり ますおうのことやら仏様のことやらでき ないながらにさせていただいたなんてこれ も何かのご縁だと思ってい ます生生のようですけどこの後とも私で できますことなら何でもしたいと思ってい ますジエ先生の酒臭い月と一緒に口から 飛び出すあの礼 は全くその日その日の出来心 だがこの娘さんの方はあけりゃんこだ けれど今本当に心からのお礼の言葉を言っ てくれて いるいわば万之助はこれまで桃かけ尽くし てきた数々について今日初めて正当のお礼 の言葉に接したのだっ た
なんともそれが万之助の気をよくさせ たありがとう俺言う わもう1度おしは頭を下げ ていいえ聞いてちょうだい うちのおとさんと来たら何しろあの通り そりゃ性質ですもの多少のズボラもいい何 もよざんす わけれども何よりもいけないのはあの腹に ないお世辞を言う こと自分は人一倍の大子のくせにその場 だけはなかなかいい子になりたがって とっても口当たりのいいことばかり言う でしょうけどそんなお世辞元々本人の腹に ないことなのだからとてもその言葉通りに なんか慣れやし ないそばからそばからお尻が割れて くる 生じ生な初めにお世辞を並べてるだけ余計 みんなを怒らせる の今度だって本当にそう よお前の土地だから柳橋の姉ちゃん方に俺 がお箱の百明電を見さがけただで聞かせに 行って やろう日は今度のどんたのお昼がよかろ うってこういう のさあみんな喜んでねおとっさんの好きな お酒もふだに買ってさ日曜にはマハで待っ てた のとどうでしょうこれが来るどころじゃ ない使いを出したが家にいない寄せにもい ない元々こっちから頼んだんじゃないわ 自分の方から言い出したことでしょう交配 収には済まないし私呆れて本当に物も言え なかった わいやうちの先生ならやりかねないゲトだ よ幾度か万之助は頷い たでもあなたのことを伺ったから私が 寄りつかないでいちゃ余計拉致が開かなく なると思ってそれからこの間ダンパに来た の無論あなたのこともうんと言ったわよ 言わなくっちゃすみま ものお父さんあなた万之助さんにあまり じゃない一体いつになったら鍋島教えてお あげなさるの てなんてましたそしたら 先生ごくりと生つばを飲み込んでキリリと したおしの口元を見守っ た教える教えるきっと教えるでも今はだめ だ今年の秋だって あれどうして今はダメなん でしょうだから私も聞いたのよどうして お父さん今はダメなのっ てそうしたら ねくくっとほっそりした手で唇を押さえ て今はいけね年回りが悪いだってと
年回り神さんをもらうんじゃある 呆れて万之助も腹を抱え たでも何しろくどくも言う通りうちの お父さんお世辞が良すぎるからだめなの よ仮に人と約束するんだってそうよ5時に 来てくれって言われるといいえ4時に伺い ます自分はズボラなんだからさあ5時半 くらいになりますよって言っとけばいいの それを必ず4時には私伺い ますそうしておいて本当は6時半頃行く もんだから向こうじゃカカになっちまうの よ失礼しちゃうわね本当にうちの ガタガタガタと立て付けの悪い光子度が 開いて草の顔を乗せた風がひやり流れてき たあ噂をすればお父さんかなおしは小さく 舌を出し た あのこちらの先生が横浜で今朝イギリスの 水平と大喧嘩をなさいまして ね聞きなれの大きな声が叫んだまあ大変だ 言い合わせたように玄関へかけ出してい た見慣れない発表を着た中年の男が生石 切って立ってい た無論イギリス野郎がよくねえんで 酔っ払ってのみやの娘を手ごめにしようと した 見ていたのがこちらの先生だから承知し ねえややいこら日本の娘に何をし上がる 立ちまち化を袋叩きにしちまったが先生の 方も適を追って花崎町の近所の12点って のみですすぐおいでなすって送ん なせえジエンがイギリスの水平を袋叩きに したなんて真っ赤な嘘だっ たサリとてジエンの方が袋叩きにされ たってわけでもなかっ たけしからん水平を散々の袋叩きにしたの は総子上がりの公爵士相木者知勇後の伊藤 知勇でジエンはその大立回りをぼんやり 見物しているうち八馬に突き飛ばされて溝 へ落っこち飛んだ大怪我をしたのだという ことがやがて分かっ たどうもができすぎてると思ったわうちの おさんにしちゃ道道おしがこう言うと全く 立ちすぎますからなでも東京にいると ばかり思ってた先生が寄せを休んで横浜 辺りで喧嘩を見物しているなんてところ だけは相変わらずで愉快そうに万之助も声 をあげ たどう考えてもこれから怪我人を引き取り に行くって景色じゃなかっ たが先方へついてみるとジエンの傷は案外 に大きかっ た坊主頭をぶちったためそこからバイ菌が 染み込んだ都旗への包帯をして酒も冷め はててうんうん真っ青な顔をして唸ってい
た23日向こうで手当てを加えそっと 釣り台で東京へ倉前の明治病院へ担ぎ込ま 夏場だけに傷口が可能しやすく領事に困る と医者たちも眉をしかめ た万之助さんおかけ なさい珍しく今日は体具合が良く武将ひも そらせてこざっぱりとしたジエが言っ た血の気のないむくんだ顔にいくらか生き た色がたい たいつの日にも聞いたことのない梅雨ほど も空せじの混じっていない調子にはっと 万之助は顔をあげた傍の旬も一緒 に隅田川の真夏の川風が吹き込んでくる 明治病院の 一室白い西洋風の丸天井に光が水林を描い てい た 悪かったと思うよお前 になげえことちゃらっぽこばかし言っ てでもジエはまんざらその日その日の でたらめばかし言ってたんでもねえつもり だ実は人様に教え申すにゃちっとばかり気 に入らねえところがあったから だがその工夫もついたよ教えよ 思わず万之助はひれ伏すようにしたおし までがとど にこの山寺の猫の出会いは誰もやらねえ 全くの助演の先輩で仲間がみんなさを投げ て いるしち立ちをしても真似もできねえから とあっさり諦めてしまって いるじゃどうしてででねえの かこの一石には筋がねえからだいいか 万之助さんバカでもちょんでも全人が出る 悪人が出る毒が出る帽子が出るそいつが きったりはったり始めるできるよどうにか そうなれ ばただそれがうまく立派にできねってだけ の話 だともかくもごまかしの形だけはつく ところがこの山寺の出会いはなそんな筋は 一切 ねえ出てくるのも出てくるのもみんな猫 化け猫ばかりだそいつが途組んでいざ鍋島 様へ祟りに行こうってただそれだけの ところなんだ味もなけりゃしゃりもねだ から奴らどうにも手心に負えねえん だ くどくも言う通り筋はねえんだ今行った だけの場面なん だ従って本当の芸で聞かすより ね真之助さんだから俺はお前にくどくど 段取りは教えねえ ぜ猫が7匹出る7匹その7匹の猫の姿だけ を梅に
かけよういいかあとはの猫勝手にどうでも お前が手てのいいように働かせ ねえゲってやつはな所詮1人1人の魂の うちに別々に生きて輝くものなんだお前は お前でなけりゃいけ ねえ忘れても俺の芸の川なんぞ真似し なさんなそうしてとるなら俺 の俺の肉の方を根こそぎとって わかったかなあ万之助さんわかった なあもう1度万之助はひれ伏したよほど体 の具合がいいと見えて寝台の上へきちんと 置き直しいるジエの言葉の1つ1つを尊い 限りに噛みしめ ながらじゃあ 始めよう最初は白猫だ よく見ていなさい俺の姿 をよくそこらにいるお座敷がいその綺麗な 真っ白な大きな猫 だそれこんな風 だたまこいたまこいたまたま たま手のひを見せて呼ぶようにしながら ジエは次第次第にその手を表へ返し片っぽ の手も表の方を出して前足のような格好に 置くと激しく左右へ首を振ってくるっと顔 をあげたとどう だろういつものだらしのないびた目が いっぺんに鈴を張ったように大きく住んで 輝いてきて いるどう見てもそれは白雪のように真っ白 な1匹のふっくらとした飼猫だっ た赤い首輪が金の鈴が見えていた鳴ってい た うーん万之助は目を見張っ たカラス猫だ今度 はみるみるジエンの目が三角形に尖り出し 青みをびた怪しい光が冴えて輝き出してき た好な体全体が夜行玉のような艶を放って 不気味な黒猫の姿に化けた化け尽くし たあた痩せた猫ちっと患ってる猫かもしれ ねえ よ今まで容器を放っていた騒音の目が旗と いぺに光を 失いとろんと灰色の二になった だらりと力なく垂れた下の先からたらたら 日経色のよだれが落ちてきそうだっ た少しも艶のない毛をすかして肋骨の伺わ れるような病い猫がそこにうまってい た今度は猫が余ったれてるところだ毛並み はブだ黒ブチだ ぞ霊のつぶしたような顔を嫌が上にも ぺちゃんこにし口をおちょぼに小さく結ぶ といきなり両の目を細くし た細く細く爪楊枝2本横に並べたごとく にゴロゴロ喉を鳴らせながら今にもこの 黒縁は体をこうこすりつけてきそうだっ
た続いて虎猫を見せようと言い今度は顔へ 大きく横を入れたそうして荒く波を打たせ たひった顔へ横島が大きく無数に入り乱れ てトラフの入った虎猫が超ワズ不勢だっ たさあおしめは12に人へをきた大ねだ こいつが化け猫の親玉だいいかさよく覚え なよ そうれあっと万之助は息を飲んだおしも 多元を顔へ当て た1人ふえ2人ふえいつか10何人 恐る恐る扉の近くへ固まって簡単して眺め ていた看護たちがキャーっと一斉に目を そらし声をあげ た口が耳まで避けていた大きく怪しく ものすごく今にも火炎を吐きそうだっ た普通の人間の目の3倍くらいの大きさの 目がはたと天地を平原してい た目からもいく筋もの火の線が真っ赤に 真っ青に紫に光輝き燃えてい た髪のことごとくが魚見打って山嵐の ごとくたけり狂い怒ってい た柱巻きの三のごくしっかり空間へ広げて 曲げた右腕の辺りに は金糸銀子の綴り糸もよれよれに春や昔の かかな光を音に立てている古い悲しい12 人への片袖が怪しく美しくおいてい た薄青い日が薄赤い日がやっぱりその古い 衣装からもメラメラ恐ろしく燃え出してい たさしげり乱れる三山の奥のアデラの ランマ隠れの昼の月をアーマンのすは はっきり拝ん だいつかお金ばあさんのコツのちんまり 乗せられてあった仏壇に立派な白木の牌が 1 つ桃 弁助演孤児ごまでも炊いているような高の 煙の中に目を泣きはらした万之助が しっかり手を合わせ拝んでい たいやもう万之助ではない今日の助演の 35日を木に新内に昇進して桃川駅り師匠 の助演はあの日あの時フデ海の下りの名 不思議な一時一角をことごとくくじし 尽くすとその晩から容大が変わって日近く 再びとは立たなかったので ある死んでおしまいなすったのだもうおし さんは待たしても込み上げてくるものに かかに縁りは耐えてい た私にこの私にやっとフデを教えてくだ すってありがとうございました ありがとうハハ新しい涙がまた育児なく こぼれてきた筋引いて頬に光っ たそれにしてもあのフルデラの一を教えて もらうまで に一体いく100何十日かかったこと だろうそうしてその間にはあらゆる色々
様々の出来事が なんと次々に現れては消えていったこと だろうそれすら今は皆 懐かしいあのことごとくがみんな勉強だっ たのだ修行だったの だわずか1年あまりの月日ではあるけれど 53月69月東海道基街道の山や川や森や 林や段階絶壁つの桟橋つ浦々を歩き尽くし て今ようやく自分はあがりの京和三条橋へ 一歩踏み込んだという 感じが晴れの都入りをした時に肝心のジエ 師匠がこの世においでなさらない と師匠ね師匠見ててくださいますかあなた は今日の私のこの姿 を追JUは破れ石垣崩れ見る影もないあじ なき湖上の庭に春の日浴びて燃え出して いる若草の姿を彼は自分の上に感じ たでもやりますよやりますと もきっと教えていただいたあの猫を びっくりするような大きな猫に成長させて 都の大空をまがり ます行ける人に物言うごとくエリは大きく 強く言っ た本当にその猫はあがりした後の桃か実る となって桃か一派ばかりでなく広く後段会 全体に不正室の名人として彼は晩弱重きを なしたのだっ たあどうえりさんこれ忘れていたわ何やら 封筒を持っておしが入ってきた表のくの木 を切ったので見違えるほど明るくなった古 や一ぱいに差し込んでいるお夏の午後の日 の光のうちに乗りの聞いた吉原つなぎの 浴衣姿が 美しい振り返ってエリはその風を切った 35日の日に開けてくれせめてもの俺の 遺言だそう言ってジエは死んだのだっ たパラリ為替が1枚落ちてきた手紙と一緒 に10円と20円の小がわせだっ た万之助お前にこの金をやる納めて くれもう5円やりたいのだが為替が組め ないからこれで負けてくれ残りの5円は また今度やるよ ジエこう手紙には書かれてあっ た顔見合わせて2人はしばらく黙っていた がやがておしが続いて縁りがプーっと 吹き出した果てはアハ笑い出し たまたこんな腹にもないことを言ってる 元々30円しかくれる料金なんかないのだ それをもう5円やりたいが為替が組めない なんて為せなんていくらでも組もうと思え ば組めるじゃない か第一残りの5円はまた今度やるが振って いる今度にも今度でもないにももう自分は 死んでしまっていてどうなるものじゃある まい
し本当に嘘つきのでたらめの大だった女 師匠でもゲだけはつくづく真剣だった なあしばらく2人は並んで座って空を見て いた今更ながらの死の念がぎゅっと胸を 熱くしてき たふっと何とも言えない好しさをお旬の上 にエリは感じ た にゃーん泣き父の記念におしんのかった 苦しいミケ猫が2人へ体をこすりつけてき たしりと喉を鳴らし ながら空が秋の色に青いのである